Italy2007

フランクフルトへはほぼ定刻に到着。 味を占めた(?)フランクフルト空港の無料コーヒーを飲んでしばし休憩し、マインツへ向かうべくドイチェ・バーン(DB:ドイツ鉄道)の地下駅へ。昔は長距離列車もSバーン(近郊列車)もいっしょくたに地下駅で乗り降りしたらしいが、長距離列車は地上の新しい駅へ移って、地下駅にはSバーンが残された格好。切符を買うのにやっぱり一苦労。何とかクレジットカードが使えないかと試したのだけれど、やっぱり無理っぽい。ユーロの現金が少なくて困っているのですが……。

今回どうして番外編を書くことにしたかというと、とある感動的な出来事を書きたかったから。それは、なんと、この地方には珍しく、ドイツ人に親切にされたということ。フランクフルト近郊は、なんだかぎすぎすしていて、駅員や車掌に怒鳴られたり、ホテルのチェックインで気まずい思いをしたり、というわけで、なんともかんともあまり良いイメージを持っていなかったのです。ところが、親切なドイツ人に救われたのですよ!

マインツに向かうSバーンで、マインツのガイドマップを見ていたら、同じボックスに座っていた中年の男性が、何か質問はある? と話しかけてきました。どうやらマインツ在住の方らしい。いろいろ教えてもらったのです。マインツ大聖堂はマインツ南駅から歩いてどれぐらいですか? とか、ショッピングできるとしたらどのあたり?とか、マインツ南駅がいまはマインツローマ劇場駅(Mainz Römisches Theater)と名前を変えているということも教えてもらったいました。駅名変わっていたので、知らないでいたら、間違いなく降りられませんでしたね。列車がライン川を渡るときに、「Shönes Landschaf ! (いい景色ですね)」とよいしょしてあげたら、肩をすくめてました。このあたりのライン川の水の色、茶色なんですよね……。

もう一人の親切なドイツ人は、マインツ南駅でであったビジネスマン。ユーロをこまかく崩してくれたのですよ。見知らぬアジア人観光客を相手にしてくれるなんて、このあたりの方って、こんなに親切でしたっけ、みたいな。

Mainz3
Mainz3 posted by (C)shushi

さらに極めつけの親切なドイツ人は、マインツローマ劇場駅のプラットホームでであったご婦人。ちょうどSバーンが遅れていて、ダイヤがわからなくて、間違えてレギオン・エクスプレスに乗ろうとしたのですが、なんとご婦人が声をかけてくださって、間違いを指摘してくれたのです! これに乗ってしまうとあさっての方向についてしまうところでした。あぶないあぶない。

Mainz1
Mainz1 posted by (C)shushi

マインツの街は静かでした。マインツ大聖堂は薄暗くて、フィレンツェやヴェネツィアの大聖堂の絢爛さを見てしまうと、ちょっとさびしい気もする。もっとも、マインツ大聖堂自体、ロマネスク建築ですから、雰囲気が違うのは当たり前。堂内が暗いのも、壁で重量を支えているので、まどを小さくしなければならないから。

Mainz2
Mainz2 posted by (C)shushi

マインツで昼食を取ったのですが、ヴァイスビアがめちゃうまい。やっぱりドイツにきたらヴァイスビアだよなあ、という感じです。

フランクフルト空港には予定より遅く到着。免税店で買い物をして、出発ロビーへ。ファーストクラス、ビジネスクラスの優先搭乗なのに、我先にと飛行機に乗り込んでいくエコノミー席の浅ましき方々に、なんだかすごく憂鬱な気分。いつもそうなんですよ。日本へ向かう飛行機の団体旅行帰りのお客様って、本当にパワフルで、我が強いのですよ。いつも圧倒されてしまいます。気をつけなきゃ。

これで、イタリア紀行は本当におしまいです。次はどこの紀行文になるでしょうか? この経済情勢だとなかなか旅行にも行けそうにありませんが、希望は捨てずにいきましょう!

Italy2007

ヴェネツィアを発ったのはその翌日。7時半をまわったころに宿を出発したのだが、まだ日は昇らない。それでもヴァポレットは通勤客でいっぱいだった。ジャンパーを着た男、ズボンに赤い太い線の入った国家警察カラヴィニエリの将校……。夕食の調達で御世話になったスーパーマーケットBILLAの店の前には、台船に載せられたBILLAマークのトラックが。なるほど、ヴェネツィアにはトラックが乗り入れられないから、台船にトラック毎載せて店の前に着岸し、荷物の搬入を行うのだった。軽いカルチャーショック。

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Italy2007 posted by (C)shushi

ローマ広場でヴァポレットからバスに乗り換える。バスはとても空いていて、本当に空港に行くのか心配。バスがラグーナにかけられた長い橋を渡りはじめると、なんだかヴェネツィアへの惜別の念がこみ上げてくる。ああ、また車の支配する文明社会に戻らなければならないのか、という感じ。車道の傍らには捨てられたゴミが片付けられないまま放ってあって、落書きも見られる。ヴェネツィアの美しさとは対極的な本土メストレ地区の風情。突然バスに小学生が乗ってくる。小さな男の子や女の子が色とりどりのジャンパーを着ている。乗ってきたと思ったらすぐに下車。学校の前だった。歩ける距離なんだがなあ……。

空港には定刻に到着。バスは到着ロビーについたものだから、閑散としている。出発ロビーに上がるとすごい混雑ぶり。フランクフルト行き、ミュンヘン行き、驚いたのはニューヨーク行きの飛行機もあったこと。ルフトハンザのチェックインカウンターへの列は乱れに乱れていて、割り込みしている男もいるが、腹の立つのを抑えてただただまつ。チェックイン出来たのは出発の直前で、あわてて手荷物検査場を通り過ぎて、搭乗口の列に並ぶ。

機材は、エアバス320。隣にはUS Airwaysのボーイングが並んでいる。きっとニューヨーク行きだ。アメリカ路線がヴェネツィアに乗り込んでいるのは、それだけ観光客がたくさん訪れていると言うことか。そう言えば、ロビーには裕福そうなアメリカ人が多かった気がする。思うところは色々。

エアバスが離陸すると、ラグーナに横たわる左側の窓に魚の形をしたヴェネツィア市街地が見える。今度この街に来るのはいつになるのだろう。きっと、もう一度来てみせる、そう誓いを新たにする。

Italy2007
Italy2007 posted by (C)shushi

エアバスは、アルプスを越え、フランクフルトへお昼前には到着。日本へのANA機は夜の20時に出発だから、まだまだ時間はたっぷりある、ということで、ドイチェ・バーンにのってマインツに向かうのであった。 (続く)