Alban Berg,Classical

歳をかさねると判断力とか注意力が落ちてきますね。ただでさえ記憶力も落ちているのに。別のところで力を出したいと思うのですが。ようは仕事がうまくいっていないのですね。まあ、どうにかなるものなのですが。

落ち込んだときにベルクを聴くなんてどうかしていますね。それでもなおムターが弾くヴァイオリン協奏曲を聴いてしまい、一緒に暗鬱な穴の中に落ちていく感じ。 しかし、この演奏の退廃美はすさまじい。甘くもあるけれど、その奥には牙を向いた野獣がこちらをにらんでいるのがよくわかります。第二楽章の最後でほんの少し救済の余地が残っているけれど、それも最近の株式市場よりもずっと不確かで、はかないもの。

ムターは高音域の微細な音程のコントロールまでかなり健闘していて(少し不安はあるけれど)、勇気ある演奏家なんだなあ、ということを改めて認識。ある意味演奏家は勇者でなければならないでしょうから。

まあ、落ち込んだときに聴くベルクもいいかな、というのが結論。そういうときは、派手で陽気な曲を聴いても仕方がなくて、陰鬱な茂みの中で休むような曲を聴いてもよいものだ、と思います。

帰宅時もやっぱりベルク。オッターさまの歌う「初期の七つの歌(オケ版)」と演奏会用アリア「酒」を聴いてうっとり。帰りの電車で読んだ「アルバンベルク年報も面白かったですよ。こちらは明日にでも書いてみようと思います。