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なにごとも陽気に明るく、心配事なんて忘れて、生きていこう。ひと時ひと時の幸福を味わうことこそが、生きていく上で大切なんだから

Richard Strauss


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辻邦生「ある生涯の七つの場所」の再読を

Tsuji

 辻先生の「ある生涯の七つの場所」について、2006年から2007年に掛けて集中的に書いていた時期がありました。そのころの記事を読んでくださったのだと思うのですが、先日ある方から心のこもったメールをいただきまして、本当にうれしい経験でした。この場を借りて改めてお礼申し上げます。

さて、私がこの連作短編集「ある生涯の七つの場所」を始めて手に取ったのは1992年の2月だったと記憶しています。場所は品川プリンスホテル内の書店にて。辻先生のお住まいは高輪でしたので、きわめて近い場所でこの短編に出会って驚きうれしかったのを覚えています。そのころのことは以下のリンク先の記事もお読みください。

http://museum.projectmnh.com/2006/11/29233753.php

さて、1992年といえば、もう17年も前のことになります。当時私は受験生でしたので(年がばれますが)、いろいろと思い悩んだということもあり、各月で刊行されていった「ある生涯の七つの場所」全7冊を発売当日に買い求め、そこになにか浄化のようなものを求めていました。 当初は法学部や政治学科を志望していましたが、おそらくはこの「ある生涯の七つの場所」をはじめとした辻邦生作品を読むことで半年後にはずいぶんと人間が変わってしまい、結局文学部に進むことにしたのでした。それはそれで本当に良かったと思います。

先日高校時代の友人達と会ったのですが(富士登山の友人です)、彼らと知り合ったのが16歳ぐらいですので、そこからまた17年とか経ってしまっているわけで、あのときまでの人生時間と同じ時間がたっているのだなあ、と愕然といたしました。

「ある生涯の七つの場所」は七つの色をモティーフとしたそれぞれ14の短編(7×14=98)に、プロローグとエピローグを加えた100の短編から構成される小説群で、長編小説ととらえることもできると思います。主人公は三代にわたる男たち。すなわち、

  1. 戦前にアメリカにわたって農業関係の研究をしている「父」の挿話群
  2. その息子である「私A」が戦前の日本で織りなす人間模様のなかで成長していく姿を描く挿話群
  3. 「私A」の息子である「私B」が、フランス留学中に知り合ったエマニュエルとの出来事や、スペイン内戦に関わる出来事に出会っていく挿話群

というぐあいです。

ともあれ、もう「霧の聖マリ」を半分以上呼んでしまいました。すでに通読しているからこそ意味がわかってくる挿話などがあって、特にスペイン内戦を巡って小説の水面下で繰り広げられる人民戦線に参加した男たちの物語を浮かび上がってくるのがとても興味深いです。このあたりは本格的に研究してみたいと思っているところです。時間をとれるといいのですが。研究したいと思ってからもう15年は経っていますね。光陰矢のごとし。されど「もう遅い」という言葉はありませんので、なんとか取り組もう、という決意。

さて、今週末の日曜日は新国立劇場で「ラインの黄金」を鑑賞予定。安い指環のセット売っていないかしら……。さすがにカラヤン盤とショルティ盤ばかり聴くのも芸がないような気がしてきましたので。超久しぶりにタワレコを急襲しようか、などと思案中です。

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コメント(2)

haynes50030 :

先日からこの話題で興味深いお話に興じさせて頂いておりますTです。
再び「ある生涯の七つの場所」を取り上げて下さって嬉しい限りです。今後の展開を楽しみにしております。

こちらも「霧の聖マリ」を再読し始めてます。
全部記憶には残っていますが、ゲオルグとか駒子とか、最初の方に出てくる人物は、衝撃的で新鮮で、やはり鮮烈な記憶として残っています。

全てを再読後に、またお聞きしてみたいところですが、この100の短編の中で、Shushiさんが一番お好きだったのはどれでしょうか。

ちなみに私は「椎の木のほとり」の中の赤い扇です。
この短編に鳥肌が立ちました。

Shushi :

Tさん、コメントありがとうございます。今週の通勤時間も「ある生涯の七つの場所」になりそうです。二度目に読むとまた違う味わいとか驚きがあってとても興味深いです。「赤い扇」はいい話ですよね。確か、別の短編で種明かしがあったような。偶然性と運命性の混合が胸を打つ作品だったと記憶しています。
まだ再読途中ではありますが、一番好きなのは「夏の海の色」でした。この作品はもっとも人気があるようです。そのほかにもおぼろげながらいろいろと印象深い作品がありましたので、再読しつつピックアップしていきたいと思います。引き続き書いていこうと思いますので、どうかおつきあいください。

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2010 年 9 月 4 日
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