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<< つれづれなるままにひぐらし | 寂しき思い──新国立劇場「影のない女」に思うこと >>

Richard Strauss

行って参りました、「影のない女」@新国立劇場。
あいにくの雨模様で、少々気が滅入っていたのかもしれませんし、昨週は相当忙しかったので、体調が万全ではなかったということはだけは最初に申し上げておいた方が良いかもしれません。

驚きの再会──ジェーン・ヘンシェル

しかし、驚いたことが一つあります。

このオペラで最初に口を開いて歌を歌うのは乳母役のメゾソプラノ。始まったとたんに身震いしたんです。凄いパワーなのですよ。

声の大きさも十分で、倍音を豊かに含んだ声。技術的にも凄いと思ったのは、伝令とともに、「皇帝は石化する」と歌うところ。

ここ、相当低い音まで出さなければならなくて、CDで聴いていたとき、この部分をメゾが歌うのは、ピッチコントロール含めて、かなり大変そうだな、と思っていたのです。

ところが、この方は難なく最低音域に到達しピッチも狂うことなく、音楽的な価値を保っている。

このメゾソプラノのお名前はジェーン・ヘンシェル女史。

で、わたし、デジャ・ヴに襲われたのです。ヘンシェル女史の姿、お顔や体型など、どこかで見たことがあるな、と。

もしかして、あの悔い多きバスティーユ・オペラでの「影のない女」で乳母を歌っていたのがこのヘンシェル女史ではないか、と。

家に帰って、ごそごそと当時のプログラムを見つけて見てみると......。

やはり!

2002年の冬といいますから、もう9年半前になりますが、当時、ウルフ・シルマーが振ったパリ・バスティーユオペラでの「影のない女」の公演で乳母役を歌っていたのは、間違いないくジェーン・ヘンシェル女史! まじですか! 凄い偶然というか運命というか。

この方のパワーで、この公演の音楽的部分は下支えされていたはず。相当なものでしたから。もう8年半前経っていて、かなりお年を召した感じなのですが、バイタリティ溢れておられる。体力的にもきわめて大変なはずの乳母役であるというのに。平伏します。

強力なヒロイン──皇后のエミリー・マギー

まずは、皇后を歌ったエミリー・マギーさんについても書かなければ。

この方、の高音の伸びは凄かった。ピッチコントロールを保ちながら、かなり高い音域でパワー全開で歌っている。テオリン様よりも高めの倍音を含んでいる感じ。容姿も端麗でいらして、皇后の持つ霊界の玄妙さと人間的な苦悩をうまく演じておられました。しかし、ハイトーンが凄かったです。新国には何度かいらしているようですが、またいらして欲しい方です。

もう一人のヒロイン──バラクの妻のステファニー・フリーデ

そして、もう一つの感動が、バラクの妻を歌ったステファニー・フリーデさん。この方を聴くのは「西部の娘」、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に続いて三度目です。

しかし、ここまで凄い歌唱を聴かせてくれたのは今回が初めてだった気がします。バラクの妻は、エヴァ・マルトンのようなブリュンヒルデを歌えるドラマティック・ソプラノの役柄なので、相当なパワーを要求される役柄。

フリーデさんは、少し語弊があるかもしれませんが、咆吼とでもいえる凄まじいパワーを見せてくれました。ピッチで若干揺れたところもありましたが、バラクの妻の切実な苦悩がストレートに伝わってきました。特に第三幕の冒頭部分から、バラクとの二重唱にかけての部分の迫力は衝撃的。凄かったなあ。

しかし残念なことが。

しかし、今回のパフォーマンス、どうにもしっくりこない。なぜなのか。

雨が降っていたこと、私の体力が十分でなかった、という事実はありましょう。

しかし、それを吹き飛ばすだけのものがなかったのかもしれない。

それは、音楽的な面ではなく、演出面を私が理解できなかったからではないか、と書かざるを得ない苦悩。これ以上、書けるかはわかりません。一日頭を冷やして考えてみます。

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新国立歌劇公演、R・シュトラウスの「影のない女」最終日上演を観劇。このオペラが国 続きを読む

コメント(4)

dezire :

記事を興味深く拝見しました。いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
私も新国立劇場でR.シュトラウスの「影のない女」を鑑賞してきました。
私の感想などをブログに書きましたので是非読んでみてください。
http://desireart.exblog.jp/10678873/
よろしかったらブログの中に書き込みして下さい。
何でも気軽に書き込んでください。

yokochan :

こんにちは。
遅ればせながらの最終公演観劇でした。
平日マチネにもかかわらず、客席はほぼ満席。
寝て、落ちていらっしゃる方はほとんどおらず、シュトラウスの素晴らしい音楽と劇に皆さん集中していらっしゃいました。
 他日は、指揮にブーイングが出たようですが、私の回では見事な音をピットから引き出してまして、ブラボーを浴びてました。

そして、なによりも3人の女声の素晴らしさ。
まったくもって同感です。
カーテンコールで、バラクの妻がトリでしたが、これはやはり演出上の意図通りの仕儀だったのでしょうか?
昔の舞台は覚えてませんので、DVDを確認しようと思いますが・・・・。

音楽面に加え、舞台はちょっと安直にすぎましたね。
欲求不満がつのりましたが、どこまでが演出家の責任で、どこまでが運営側の責任か即断しかねるところです。
意志疎通や、修正の時間等、今後外来演出家の皆さんにはやりにくい劇場となりそうで、ちょっと不安なところです。

Shushi :

dezireさん、dezireさんの記事を拝読しました。思いが蘇りました。次のカルメンこそいい舞台だといいですね。またのご来訪をお待ちしています。

Shushi :

yokochanさん、コメントありがとうございます。おっしゃるとおり音楽は素晴らしかったですね。音楽的緊張感は極めて高くて、本当に引き込まれそうになったのですが、やはりまあ、舞台が、というところで、少々寂しい思いをしました。バックステージツアーで、舞台裏の方々の並々ならぬ能力やご苦労を知っていただけに、という本当に複雑な思いです。どこに問題があるのかは分かりませんが、それが事業仕分などであったとしたら、ますます寂しい思いです。芸術全般に及ぼす経済の影響はますます大きくなっていきそうです。これからどうなるのだろう。眼を開いてよく見ていきたいと思います。

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