2010年6月アーカイブ

5月の読書記録

ちょっと実用本が多かったが、一応9冊達成というところ。でもちょっと違和感あり。もっとちゃんとした本を読まないとね。。。まあ、仕事で使うんで仕方ないのですけれど。

期間 : 2010年05月
読了数 : 9 冊
沈まぬ太陽(1)アフリカ篇(上)
山崎 豊子 / 新潮社 (2001-11)
全部フリーソフトで作る自宅サーバー for Windows
林 和孝 / ラトルズ (2001-04)
オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)
岡田 暁生 / 中央公論新社 (2001-04)
AjaxとPHPによる MovableType高速&最強システム構築法
藤本 壱 / 技術評論社 (2007-07-03)
PHP統合開発環境PDT2入門
岸本 忠士 / 秀和システム (2009-04)
本・雑誌
辻 邦生 / 岩波書店 (1988-07)
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)
岡田 暁生 / 中央公論新社 (2005-10)
コイカツ―恋活
坂井 希久子 / 文藝春秋 (2009-07)
Windows XPでつくる一歩先行く自宅サーバ―フリーソフトで自宅サーバをもっとおもしろく!
犬塚 信也 , 御影 伸哉 / 毎日コミュニケーションズ (2003-08)

5月は、岡田暁生さんの著作2冊(そのうち1冊は再読)を読んだのが大きかった。これ、ちゃんと記事にしたいのだが、少しお待ちを。お勧めです。あともう一冊あるんだが、こちらも興味深そう。

山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」、まだ全五巻の一巻を読んだだけなんですが、なんだか先がみえている感じかなあ。期待があまりに大きすぎたか。でも主人公は、あの悲惨な境遇からどうやって立ち直るんだろう。実生活にも関係あるので、そういう観点ではとても興味がある。たぶん全部読むと思います。

6月の展望

とある事情で、六月は篠田節子さんの本を読んでいます。それがまずは加わりそう。

それから一向に進まない漱石も読まないとなあ。青空文庫をiPadで簡単に読めるようになったので達成出来るといいのですが。

ああ、 それから辻先生の本を読まないと。初期の短篇集のアンニュイな感じに浸ってみたい。「城」、「見知らぬ町」、「ある生涯」などなど。まずは中公文庫の初期短編集を鞄に入れよう!

音楽の方は相変わらず新国にいきます。今月は「カルメン」と、世界初演の池辺晋一郎の「鹿鳴館」にいく予定。二回も行くなんて贅沢過ぎる。ごめんなさい。

全然進まないEWIの練習もしないと。っつうか、来月TOEICもあるしね。

野望や「やるべきこと」はたんまりある感じ。老け込んでいる暇はない。

iPadつれづれ

やっとiPadの入力に慣れてきました。基本的には携帯のように変換予想方式で、キータッチに気をつければかなりうち易くなってきました。外付けキーボードも検討したのですが今のところ必要ないと思っています。

ただまだ慣れないのがカーソルの挙動かな。文章上に指をしばらく置くと、拡大鏡が現れて、カーソル位置を調整できるのですが、これが少し癖のある感じなのですよ。いろいろ研究が必要。ATOKとまではいかなくても、もう少し上手く入力出来るようになりたいなあ。

また発見。横置きにするとキーボードが大きくなるんですね。そうするとブラインドタッチと同じ感じで打てる。これはいい!

こちらが縦置き。

こちらが横書き。

iPadが来て以来、旧来のキーボード付きPCがレガシーシステム(過去の遺産、古いシステムのことを、僕らの業界ではこう言います)に見えてきて困っています。

私は今エポックメイキングな大事な時間を過ごしているんだろうなあ、

すごいなあiPad。

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Wagner

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シュナイダー師の「ローエングリン」

今日聴いているのは、ペーター・シュナイダー氏が振っておられるローエングリンです。これは、DVDで発売されているものをAMAZON.UKから個人輸入したものです。海外でDVDを買うときは、言うまでもありませんがリージョンコードにご注意を。

まだ、演奏全体を云々できるほど聴いていませんが、アンサンブルが美しく、速度の微妙なコントロールが絶妙で素晴らしい。シュナイダー師、やっぱり凄いなあ。もっとCDでないかな、と思うのですが、

あ、そういえば、昨年のバイロイトでシュナイダー師が振った「トリスタンとイゾルデ」ですが、画像をiPadに入れました。あの感動を再び、という感じ。こちらも楽しみ。

最近シュトラウスばかり聴いていたのですが、ワーグナーに戻ってくると、なんだか心現れる気がします。シュトラウスはもちろん大好きですが、ワーグナーのほうが愚直なドイツ的精神性が強いように思います。心に直接揺さぶりがかけられる感じ。ワーグナーは凄いのですね。

iPadつれづれ

さすがにここのところiPadが気になります。

今日は所用で都心に出たので、UQ-WImaxの一日プランを試してみようと思ったのですが、上手くいかない。

私の認識では、無線LANに接続し、UQ-WImaxの一日600円プランの申込み画面に遷移したところで申し込み、接続確立となる想定でしたが、無線LANには接続できますが、申込画面に遷移しません。

ポイントは無線LANルータのWM3300Rの挙動でした。WiMAXと書かれたアンテナ型のLEDが赤く光っているのです。どうやらこれはWiMAXの電波は受信しているけれどインターネット接続が出来ていないことを指しているらしい。で、このアンテナ型のLEDが緑になるととりあえずはインターネットに接続出来ていることになる模様なのです。

1) まずは、ルーターのWM3300Rの電源をいれて、以下の写真のようになるのを待ちます。

``

2) 続いてルータの画面 http;//web.setup ないしは、192.268.0.1にアクセスします。すると、管理者パスワードが出てきますので、入力します。

3) すると、こちらの画面となります。ウェブウィザードの画面ですね。すでに契約はしていると思いますが、右下の
「今すぐ契約」ボタンを押します。

4) すると、ガチャガチャ、動き出すんですが、

私の環境だと以下の「サインアップ中」のままで、無限ループ状態になりいつまで待っても何も起きません。

5) このとき、ルータのWiMAXと書かれたアンテナ型のLEDが緑色になっていることに注目。この時点でウェブにつながっているのです。

6) すかさず、サファリ(ブラウザ)右上の検索ボックスに適当に検索値を入れて、検索してみます。あるいは、ブックマークでヤフーやグーグルなど一般的なウェブサイトに飛んでみるのも良いでしょう。すると、UQ-WiMaxのログイン画面に遷移します。やった!

7)あとは、ユーザー名を入れてログイン

8) 以下の画面に到達するので、利用時間の購入ボタンへと進みます。

9) ゴールです。ここで、利用時間を設定し、「次へ」ボタンを押せば、ネットが開通するはずです。

私の場合、ここでいったん止めました。この先、ちゃんと利用時間が購入できてネットにつなげるはずです。おそらく今週の週末に同じことを試しますので、またレポートします。

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Return of the Brecker Brothers
The Brecker Brothers
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うー、苦しい。一日更新サボりました。この埋め合わせは週末には必ず。

で、苦しいときは、やっぱり僕の場合はブレッカーやハービーなんですよねえ。
とりあえず、1992年といいますから18年前に再結成当時の初アルバム「Retrun of the Brecker Brothers」を、昼休みに最大音響で聞いています。もちろんBOSEのクワイエットコンフォート2にて。

このクワイエットコンフォートのケーブル、よく断線するんですよねえ。で、これが交換部品になっているのがすばらしいところ。

ここを一体型にしていると某社製品の場合、本体まで修理対象になってしまい「お客さん、そらなら新しい買ったほうが得ですぜ」なんて、店員に言われるなんていう状況を容易に想像することができます。

それも8年ほど前の話。

しかし、ここまでガチャガチャ騒がしく格好良く激しく強靭な音楽を聴かされると、なぜか心が落ち着きます。まあ、今の私の心の中身を表しているのでしょう。

そうそう、この前「スコラ」で、チャーリー・パーカー以上のアルト・サックス奏者はいない、と言っていましたが、テナー・サックスだとやっぱりマイケル・ブレッカーになってしまうんだろうか。たしかに、ビル・エヴァンス(テナー奏者のほう)がランディー・ブレッカーと吹いているサムスカンクファンクなんて、聞くのに大変苦労しますしね。

まあ、タイプは似ているけれど、ボブ・バーグも巧かったなあ。テクニックはかなり肉薄しているし、作る音楽も大好きなんですけれど、ブレッカーのようななにかしらがない気がする。ボブ・バーグは美しすぎるのかもしれない。

で、今日は相変わらず、Return of the Brecker Brothersでストレス解消。こういう音楽の聴き方は許されるのだろうか。広義の音楽療法です。

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沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社
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今更ですが、「沈まぬ太陽 (1)アフリカ編」を読みました。

私は、基本的にはドラマはあまり見ません。最近は映画も見なくなってしまった。なので、頼りとなるプロットのネタの仕入れもとは、既存の小説か、知り合いが教えてくださることぐらいでしょうかね。

この本は、1960年代から1970年代のJALがモデルになっていて、今読むと、まあ右肩上がりの時代なので何がしかの未来への希望はあったとはいえ、今と比べて、もっともっと劣悪な労働環境だったのだなあ、という感じ。昔も今も大変です。

書かれていることは、JALにとって、相当厳しい批判的な内容でしたので、険悪な空気となったようで、当時連載していた新潮社の雑誌をJALは積み込まなかったそうです。

しかし、まあ、ここに書かれていることがおおむね真実だとしたら、まあ、今のていたらくぶりはさもありなむ、という感じ。まさに事業仕分けで滅多斬りにすべき内容。

しかし、描かれていることはアクチュアルなもの。普遍性をきちんと持っている。組織と個人の問題、自己保身に走る情けない男たち。信念を曲げることなく振る舞おうとすれば、無邪気な奴だと陰口をたたかれ、批判を浴びるという蟻地獄。

もちろん小説ですから、すべて本当なわけはないんですけれど、明らかに取材しないと分からないことがたくさん含まれていて、リアリティはかなり高いです。

カラチの描写は実体験か取材をしなければ書くことができない内容でした。昔のパキスタンって、あんなんだったんですねえ。それから、飛行機の描写が少いのが残念ですが、一カ所だけ出てきました。ILSを掴んで着陸しようとしたDC-8がゴー・アラウンドする、つまり着陸復行するシーンでした。あれも取材が無いとできないはず。

とりあえずは二巻目以降でどういう動きになるのかが楽しみです。御巣鷹編、というのもあって、JALにしてみれば目の上のたんこぶの様な小説ですねえ。

小説の機能として、バルザックやらの時代から、現実認識や伝聞の媒体である、ということが言えましょうが、この小説は、そうした伝聞告発的な要素もありますね。もちろんそれだけではありませんが。

ただ言えることは、このような小説を新人作家が書いたとしても、評価されることはないだろう、ということ。山崎豊子さんのビジネスモデルなんですから、二匹目のドジョウはなんとやら、だとおもいます。

もちろん最後まで読んで、主人公がどのような運命をたどるのか、興味はつきません。次の巻がが楽しみです。

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iPadが到着して一週間がたちました。感想などを少々。

全体的には大変満足しています。ただ、もう少しのところもあるので、ちょっとぼやいてみると。

  • かな漢字変換についてですが、ATOKだと自動的に修正してくれる、「ん」や小さい「っ」の連続を補正してくれない。
  • 単語登録が難しい。できるんだけど、連絡先に登録する、というトリッキーな方法らしい。
  • これはぼくの練習不足ですが、まだタッチパネル入力に慣れていない。でも、ここが踏ん張りどころ。
  • カーソルの動かし方にもっと慣れないと。シングルパッドして数秒経つとマグ二ファイア、つまり虫眼鏡が現れてカーソルの位置を調整するのですが、まだぎこちないです。
  • やっぱりWiFiなどでネットにに繋いでないとその真価を発揮出来ない気がします。あれ、なんだっけ? みたいな感じで、Wikipediaを無性にみたくなるとき、かなり不自由感があります。こちらは少々検討中。
  • シングルタスクは痛い。マルチタスク渇望。まあ、アプリの切り替えは素早くて、そんなにストレスないんだけど、Radikoや音楽聴きながらウェブサーフィン、っつうのをiPadでもやってみたい。
  • サファリにアドオンとか追加できるといいのですが。。ちょっと単機能。

とはいえ、繰り返しますが、良いですよ、iPad。お勧めです。これは、まさにエポックメイキングな製品だと思いました。ここまで立ち上がりが早くて、ウェブに接続できるというのはあまりに画期的すぎます。いま、パラダイムシフトの最前線にいるんだなあ、と、ちょっと大げさですが、それぐらい凄いなあ、と思っています。

ところで、10年以上も昔、まだ、Windows3.1の時代に、未来のPCを想像していたことがありました。PCの進化形は、机全面がPCの画面になっているだろう、と思っていましたが、どうやら机を飛び越えて機動性のあるタブレット型になったのですね。

それから、高校時代にブラインドタッチを習得したとき、次のあたらしい入力方式についていけだろうか、と不安に思ったものです。僕はそれは携帯のテンキー入力だったと思っていましたが、それも通り過ぎていまはタッチパネル入力なのだな、と実感しています。

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新国立劇場の平成22年度収支予算案が発表になっているようです。

http://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/budget.html

おわび

 今年の3月17日付けの以下の記事で、平成21年度の予算案をご紹介していたのですが、私がソースとしていた資料が誤っていたか、私が誤認していたか、差し替えや訂正がなされたのか、よくわかりませんが、最新の資料を見る限り、実際とは全く違うことがわかりました。お詫びして訂正いたします。

http://museum.projectmnh.com/2010/03/17032228.php

先日もソースが不可解な動きをしました。私が間違えたのかもしれませんが、かなり気をつけて書いたつもりですので、何とも言えません。

収入について

平成20年度から22年度の3年分の収入の部を以下の通りあげておきます。

先日も書いた通り、委託費というのが、おそらくは国庫が元となる金額です。5億円ほど削減されています。

これは、さすがに仕方がないでしょう。こういうご時世ですので。といって、流してしまってもならないですし、事業仕分けでのコメントによれば、今後「圧倒的縮減」が予想されますので、油断してはならないのですけれど。

予算削減のポイント

3月17日の記事では、平成20年度と平成21年度を比べて、平成21年度は9億円ほどの受託収入が減ったと書きましたが、最新のソースを見てみると、実際には5千万円ほど削られていただけでした。

ところが、平成22年度となると、5億円ほど削られていることがわかります。このしわ寄せはどこに来たのか、といいますと、

  1. 施設維持管理費支出が4億円強の削減
  2. 公演事業費支出が1億9千万円の削減
  3. 管理費給料手当支出が6千万円強の削減

となっています。

気になるのは今年から「協賛収入」が一般会計から特別会計に移ってきました。これは何を意味するのか。謎。

会計知識、全くないですなあ、私。一応簿記の資格は取りましたが、10年以上前のことなので。

公演事業費支出

以下の通りですが、やはり公演費本体の削減は避けられません。

人件費

さすがに人件費が削られているのですが、これがちょっと興味深いのです。

「事業費」にぶら下がっている職員給与は5千万円ほど増えているのですが、「管理費」にぶら下がっている職員給与のほうは6千万円強削減されています。これは、管理職の方々が相当身を削っていると見て正しいでしょうか。もちろん、従前の水準が一般的に見てどうなのか、というのはわかりませんので、なんともコメントするのが難しいところでもありましょう。こういうご時世ですので。役員給与の下げ幅についてもよくわかりませんので、こちらもノーコメント。

まとめ

私は、平成21年度で9億円もすでに削減されていると誤解していましたが、実際には、公演事業費支出だけで言うと、3億4千万円も増やされていたのでした。それに対して、平成22年度は逆に1億9千万円削減されています。

これ、意外でして、平成20年度よりも公演事業費支出は高いという計算になります。平成20年度は「軍人たち」をやっていますので、相当お金がかかったはずなんですが。ですので、「自主公演ができなくなるのでは?」という懸念はまだなさそうです。

一番減らされている施設維持管理費とは、いったい何なのでしょうか? 施設のメンテナンスをリストラで4億円捻出とは具体的にはどういったところなのか、よくわからないです。たとえば、前庭の水を抜いてしまう、とかでしょうか。あの水を張った美しい前庭は、相当維持費がかかるはず。放っておくと水苔が出てきますので、定期的に水を抜いてきちんと洗わないといけないはず。相当大変な作業ですから。。

会計に明るい人がごらんになったら、もっといろいろつかめるのかもしれませんが、私の考え得る限るのと頃は今のところこんな感じです。

こういう世知辛い世の中ではありますが、人間を人間たらしめている芸術活動の基盤である新国立劇場の、一層の発展を願いつつ、応援しつつ、という感じです。頑張ってください!

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女たちのジハード (集英社文庫)
篠田 節子
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篠田節子さんの「女たちのジハード」を読んでいますが、本当に素晴らしいです。

バブル崩壊後の中堅保険会社に勤めるOLたちが主人公。歳は25歳前後から30歳過ぎの女声たち。自己実現とか恋愛とか、婚活とか、女性達をとりまく事情が、今と変わらぬ普遍性とともに語られていて、興味深かいといったらないかんじ。

まだ、今ほど女性に活躍の機会が少なかった時代というのもあって、彼女たちの真剣さにはハッとするものがあります。

そうした事情を、毒や皮肉をたくさん盛り込んでくる。セクハラ、ドメスティックヴァイオレンス、宗教まがいのセミナー、などなど。

私が言うのも偉そうで気が引けるのですが、なにより、文章や構成に隙がないのです。ここまで疵がない小説を読んだのは久々です。辻邦生ぐらいの構築美と行って良いでしょう。

そういえば、好きな日本人作家は女性が多いなあ。永井路子、岡本かの子、塩野七生などの方々。辻邦生の小説も女性的な繊細さを持ち合わせていますし、なにより主人公が女性であることが多いですし。

最初の読み始めは、なんだか短編小説のオムニバスのような気がしたのですが、wikiを見るとやはり、最初は短編集だったのだそうです。

この小説、1997年にNHKでドラマ化されているのだそうです。

そうか、時代設定は1997年ぐらいですか。主人公達は私たちと同輩か少し上の方々ですね。バブル崩壊し、金融危機前夜の厳しい時代。当時もやっぱり就職難で、今も昔も大変さは変わらないです。

こうも時代が繰り返すと、やはり進歩史観が間違っているのですね。

といいながらも、この小説の主人公達のように進歩を目指して生く予定。いや、そうあるべし。

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ほぼ読み終わりました。あともう少し。結構長いんですが、私には、まだ隙や疵があるようには感じられません。それほど完成度が高いと言うこと。

また好きな作家さんがふえました。

カミさんも読んだことがあるとのことで、読みやすくてすてきだよねえ、って少し盛り上がりました。読みやすく書く、というのは、本当に難しいことなのですから。

読みやすさに加えて、繊細さや優雅さのようなものも感じられる。だから、女性作家が好きなんだなあ。

小さいころ読んでいた本も結局は女性作家は少なくなかった。。リンドグレーンや、オルコット、モンゴメリばかり読んでいた気もするし。

この本、長編といっても、オムニバス形式であることには代わりはなくて、一つ一つのエピソードはちょうど良い感じの長さなんですが、それらが絡み合いつつも、付かず離れず、というところ。ドラマにするにはちょうどいい。見たかったなあ。どこかに映像でていないかな?

それにしても、冷徹なリアリズムは女性作家ならでは。夢物語の裏側にある汚れた世界や、厳しさなどが繰り出されてきて、なんだか妙に親近感を覚える。そうそう、そうなんだよなあ、みたいな。ある意味、主人公の女性たちに共感を覚えている気もする。

男も女も生きるには難しい。難しさの質は違うけれど、みんな野望を抱いて、社会に飛び出して、優秀な奴らは、どんどん会社を飛び出していき、結局顔色の悪い体形の崩れた同期しか残っていない、みたいな。

通勤時間を、幸福な読書の時間に充てられるというのは、本当に幸せなこと。感謝しなければ。

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沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
山崎 豊子
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ふう、たったいま読了。帰宅の通勤電車にて。

この本は引きつけてやまない魅力に満ち溢れています。会社で厳しい立場に置かれる主人公にはなぜだか強く感情移入してしまいます。少し境遇が似ているからかもしれません。これかどうなっていくのでしょうか。僕の生き方にヒントになることはあるかしら......。

描かれるエピソードは、何時の世にも共通な組織と個人の葛藤が描かれています。あまりに普遍性を持つテーマですので、ここに飛び込める作家さんを本当に尊敬してしまいます。

山崎豊子さんの場合、それは綿密な取材や堅牢な構成によって克服しているように見えます。よくもここまで調べたなあ、という感嘆。ネット時代でもないのに。

とは言え、ネット時代の取材も難しいでしょうね。ネットに流れている情報が真実であったり正しいものである、という保障はありませんから。

加えるなら、昔は鷹揚な時代で、取材と称して色々な会社に電話してみると、スルスルと教えてくれたんだそうです。でも、こういう世知辛いよのなかですので、そんな鷹揚さはとうに失われているでしょう。

さて、会社でショックな出来事。まあ、誰もが通る道なんですが、最近、小さな文字が読みにくくて、とこぼしていると、それはどうやら目の筋肉力の低下によるものなのだそうです。度の強い眼鏡で遠くに焦点を合わせることに慣れてしまった目の筋肉が、さて、では近くをみようか、となると、力を失い、適切に焦点を合わせることが出来なくなってくるのだとか。

この現象に気づいたのは2008年頃から。まあ、歳のせいということ。早くいえば老眼の入口に立ったとでも言いましょうか。

というわけで、こまめに眼鏡をはずして過ごして見ることにしました。いまも眼鏡をはずしてiPadで作文中です。

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昨日は池辺晋一郎氏の新作オペラ「鹿鳴館」のオペラトークに行きましたが、今日も引続き初台に赴きまして、「カルメン」を聴いて参りました。

私のカルメン体験は、クライバー&ドミンゴのDVDを観たのと、2006年にドレスデンで不祥ながら実演に接した、という二回限りですが、このところは、もっぱらクライバー盤とカラヤンの抜粋盤を交互に聴いておりました。

今日驚いたこととと言えば、まずは前奏曲が速い速い。疾風のように軽やかにギャロップする駿馬のよう。のっけからノックアウトされた気分。バルバッツィの指揮は、最近はやりのためるような棒ではなく、砂塵を巻き起こして走り去る軽騎兵のよう。すごく新鮮に感じました。私が予習で聴いていたクライバーよりずっと速くて流れるような演奏で溜飲の下がるおもいです。こういう指揮もいいなあ、と本当に感激でした。

一方、カルメンを歌ったキルスティン・シャベスも素晴らしかった。確かに終幕部にかけていくぶんかの疲れを見せましたが、第一幕の登場から、妖艶なカルメンを歌い演じきっていました。この方は生まれたときからカルメンだったのではないか、と思うぐらいはまり役です。歌唱のほうも素晴らしく安定していました。ピッチの狂いもあまり感じませんでしたし。何より演技が大胆で、迫力さえ覚えたぐらい。見ているだけで、ちょっと気恥ずかしくなるような場面も。まさに、ファム・ファタールたるカルメン。

ホセを歌ったトルステン・ケールですが、最初はかなりセーブぎみに歌っていたのですが、後半に進めば進むほど迫力と力強さを増して行きました。最初は少し細く軽めな声だと思っていたのですが、クライマックスでは正確なピッチで美しいロングトーンを聴かせてくれました。

あとは、ミカエラを歌った浜田理恵さんが素晴らしかった。この方を聞くのは二度目です。2008年に新国で「トゥーランドット」リュウを歌われたのですが、あの時に続いて、今日も日本人離れした太くて豊かなメゾソプラノで、感激しました。でも、よく考えると、リュウもミカエラも決してかなうことのない恋のに殉じていますね。

演出、その他については、また明日書いてみたいと思います。

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昨日に続き「カルメン」がらみ。

ここのところ、録りためていた「スコラ」と「男と女はトメラレナイ」を順調に消化しているのですが、両番組とも本当に興味深いです。「スコラ」は音楽的に興味深く、「男と女はトメラレナイ」は、ああ、こういうことを女性たちが話しているのね、みたいな、感じ。前にも書いたけれど、是非アルコールを入れて語って欲しい。

スコラ 坂本龍一 音楽の学校

http://museum.projectmnh.com/2010/04/22094240.php

男と女はトメラレナイ

http://museum.projectmnh.com/2010/04/30212528.php

それで、昨日見てきた「カルメン」に重ね合わせてみると......。

やっぱり、女性は実に現実的。いつも引きずる外れくじを引くのは男と決まっているらしい。「カルメン」のホセなんて、本当手にその典型です。帰営ラッパが鳴り響いて、兵舎に戻らないと、とホセがサラリーマン精神を発揮するのを、カルマンは、なによ、私と仕事どっちが好きなのよ、とすごんでみせる。しまいには密輸団の仲間にさせられてしまって「自由、最高!」みたいな勘違いな状態。最後にはカルメンに愛想を尽かされ、カルメンを刺し殺すだなんて。

こんなの、本当に今のサラリーマン哀詩に他ならない。私は、もう、ホセが意地らしくて仕方がない。ああいう運命をたどるサラリーマン男子は少なくないはず。ニュースになるのはそのひとかけらです。ハインリヒの法則。

ハインリヒの法則

それに対して、やはり女性は強い。女声も強いですが。常に現実を見極めながら、悪意が湧き出でる現実という沼沢地のか細い道を、きちんと歩み進んでいく。

そうした姿を、この一ヶ月間、たくさん見てきた気がします。「カルメン」しかり、「女たちのジハード」しかり。

あっしらもがんばらんとなあ。負けまへんで。

次の新国立劇場は今シーズン最後、池辺晋一郎さんの新作オペラ「鹿鳴館」です。土曜日にオペラトークに出かけてきたのですが、そのことについてちょっと触れていこうと思います。

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4 海を見おろす瀟洒な家・ノッヴェラの香り‥アラフォー世代の男女の行く末は?
5 読んで良かった!
4 こわいくらいにリアル
5 早い夏休みに、これだけ思いを馳せることになるとは…
5 生きることはこれほど厳しく、そして愛おしい

人生は巻くことのできないぜんまい。一度ゆるむと、もうねじ巻くことは許されない。

それで、今日読み終わった伊吹有喜氏の「風待ちのひと」。

ポプラ社小説大賞特別賞の受賞作品。いわゆるうつ病と思われる「心の風邪」にかかったエリートサラリーマンと、家族を失いどん底に落ちながらも、明るく楽しく振舞う女性との一風変わった恋愛模様を描いた快作、って一言で書いちゃうとあっけないけれど、構造的にも話的にもいろいろ面白くて、1日ちょっとで矢のように読み終えてしまいました。快い読後感。だから本読みはやめられない。

読み始めると、意外にもオペラの話題が多いなあ、と思ったら、最終部にかけて「椿姫」がモティーフに使われ始めて、重要な役割を果たし始める。後付を見ると、原題は「夏の終わりのトラヴィアータ」だったとのことで、改題し「風待ちのひと」になったのだそうです。

いろいろ特殊な設定があって、きっと苦労してかかれたんだろうなあ、と思いますが、構成的にもよくできていてすばらしい。おそらく主人公は私と同年代かすこし前後するのでしょうけれど、まあ、30代はつらいこともあるし、わかるなあ、という感じです。

この本を読んでいて、昔読んだベルンハルト・シュリンクの「朗読者」を思い出しました。あれも、やっぱり世界の違う男女のきわめて異例な関係を描いていました。あちらは、たしか悲劇的結末を迎えたはずですが「風待ちのひと」ではどうでしょうか? 読んでのお楽しみ。

というわけで、今日はクライバー盤の「椿姫」を。ヴェルディには少々苦手意識を持つ私ですので、あまりバリエーションは聞いていないのはお恥ずかしい限り。やっぱりいろいろ聞かないとね。ストイックにオペラばかり聴こう、と決心。

ちなみに、「風待ちのひと」の主人公が語るオペラの聴き方が、私と同じなのでちと驚きました。つまり、何度も何度も聞いて曲を覚えて、それから演奏者を変えたり、実演に接したりしながら、聴くレパートリーを増やすというもの。私と同じ。ちょっと勇気がわいてきました。

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Wagner

うーむ、やっぱり、ニーナ・シュテンメは凄いですね。

iTuneで、何気なく選んだ、昨年の冬に録音したニーナ・シュテンメ、ペータ・ザイフェルト、ダニエル・ハーディングが演奏する、「トリスタンとイゾルデ」の第二幕抜粋版の音源。聴いているのは2009年1月に、ダニエル・ハーディングが振ったウェブ・ラジオ音源。

ニーナ・シュテンメの中低音域に翳りを含み憂いを帯び、それでいて矜持を失わない強さをも含んだイゾルデに甘い痺れを覚えます。この音源、何度か聴いているのですが、こんなに凄かったのか、と改めて感涙。

シュテンメは、ドミンゴとも「トリスタンとイゾルデ」の録音をしていますが、こちらの音源は遙かに緊張感がある気がします。

それは、やっぱりハーディングの音作りによるのかもしれません。ハーディングの指揮は、かなりドライヴしています。速度は少々早めで、妙なアゴーギクを聴かせることなく、アスリートのような引き締まった筋肉質の音作り。いやあ、いまちょうど1時間ぐらいのところなんですが、ハーディングの牽引力は凄いですよ。ぐいぐいと緊張感を引き上げていく。音量のうねりと微妙な速度調整でグルーヴしている。鳥肌が立つぐらい。

トリスタンのザイフェルトも素晴らしいです。倍音域は少々高めで、切迫感があって、追い詰められた男という感じ。

実は、幸いにもニーナ・シュテンメの実演に接しております。2007年の秋にチューリヒ歌劇場の来日公演「ばらの騎士」の元帥夫人がシュテンメでした。あのときは、かなり神経質な元帥夫人を演じていて、演出的に少し違和感を覚えた記憶があります。それから、声の質感の印象もあまり強くないのです。

ですが、その後、「四つの最後の歌」や「サロメ」最終部が納められたCDで感動を新たに。

Four Last Songs
Four Last Songs
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Covent Garden Royal Opera House Orchestra
EMI Classics (2007-02-28)
売り上げランキング: 501517

元帥夫人のような包容力のある女性よりも、サロメやイゾルデのような強さを持った役が似合いそう。そういう意味では、ブリュンヒルデを聴いてみたいです。

また日本にいらっしゃらないかなあ。

音楽でゾクゾク来たのは久々かもしれないです。最近、忙しすぎて感動する暇がないんですが、今日は久々に早起きができて、感動する余裕が出てきた感じ。

ニーナ・シュテンメ(ソプラノ)カタリーナ・カルネウス(メゾソプラノ)ペーター・ザイフェルト(テノール)ブリンドレイ・シェラット(バリトン)ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送響
ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲と第2幕
(2009.1.24 ベルワルド・ホール)

今日もこれから、都心に出かけて、お昼に地元にとって返して、ジムやら図書館やら。頑張ろう。

しかし、肩こりがひどいな。

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Wagner

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うーん、昨日無理したらしく、今日はなんだか気が抜けた一日になってしまいましたが、オペラばかり聴いて過ごしていました。ちと散漫な聴き方でしたけれど。

さすがに、毎朝五時半過ぎに起きて、仕事でフルフル働いて、土曜日はジムに行き、で、この暑さと来れば、ちょっと無理した感じかもしれないですねえ。

Twitter風に。。

  • 昨日ご紹介した、ハーディングやシュテンメの「トリスタンとイゾルデ」をもう一度聴きなおしたり、NHK-FMで「ドン・カルロ」を聴いたり、最近入手したパヴァロッティの「道化師」を聴いたり、シュナイダー師とテオリン様の「トリスタンとイゾルデ」のDVDをiPodに入れたり。
  • オペラ、もっとガツガツ聴かないと、と思います。がんばらんと。
  • あとは、古いノートにWindows7を入れたり、なんやかんやと。あっという間の一日でした。
  • しかし、Windows7は、軽くていいOSです。
  • あ、今読んでいる本、凄いです。読み終わったらブログに書きます。
  • 久々に髪の毛切っていただいたら、頭が軽い、軽い。今まで三頭身でしたが、ようやく五頭身ぐらいにはなった気がします。

で、早速テオリン様のイゾルデが凄いことを実感。幸せ。シュナイダーの指揮は本当に素晴らしい。抑制され、羽毛のように快い弦の響きは、おそらくはバイロイトの絶妙な残響とあいまって、恍惚感さえ感じます。

この音源において、シュナイダーが最高に素晴らしいのは、第二幕の最後、メロートを刺し殺したあとのアインザッツですね。いつもここで、えもいわれぬ感覚、魔法にかけられたような気分になります。

ああ、そうこうしているうちに、絶妙なテンポの動かし方にまた感動してしまう。決して大きくテンポを揺らすことは決してないのです。すべてが抑制された微妙なテンポ取りなのです。あまりにテンポを揺らすのは、見え透いた感じであまり感心しなくなってきたんですが、シュナイダー師のテンポの取り方は、自然で上品で高貴ささえ感じます。

今年はバイロイトに登場しないシュナイダー師。たしか今頃、ウィーンで「カプリッチョ」を振っていて、来月はチューリヒで「ばらの騎士」を振るはず。いずれもプリマはフレミング。私は仕事で絶対に行けません。無念。

シュナイダー師のファンクラブってないのかな。嵐みたいに。

あとはシュナイダー師の古い音源を入手したいのだが、あまりないんだよなあ。このDVDが出たのもほとんど奇跡的だと思いますし。

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Wagner

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うーん、すごいなあ、シュナイダー師。昨日に引き続き「トリスタンとイゾルデ」第二幕を聞いているんですけれど、絶妙なテンポの揺らし方がすばらしくてため息が出てしまう。第二幕の白眉はトリスタンが登場して、二人で歌い続けるところでして、まあ、現実の恋人達はあんなにたくさん歌うことなんてないかもしれないんですがね。意外にも、というか、やっぱりというか、ブランゲーネ役のミシェル・ブリートさんもいいんですよねえ。見張り台に立って、「二人ともいちゃいちゃしないで注意しないとだめよ~」と歌うところ、最高ですね。

「トリスタンとイゾルデ」は、来年1月に新国立劇場の新製作で登場します。指揮は、欧州で大活躍の大野和士さん。イゾルデはもちろんイレーネ・テオリン様! ブランゲーネはなんと、エレナ・ツィトコーワというコンビ。想像しただけでゾクゾクきますね。

エレナ・ツィトコーワの思い出。

ツィトコーワの実演に接したのは4回ですね。

まずは、2003年だったと思うのですが、新国立劇場で「フィガロの結婚」のケルビーノを歌っていたんですが、それはそれはすばらしかった。華奢な体だというのに深みのあるメゾ的ソプラノで、すごく感嘆した覚えがあります。

次が、私の中では人生最良最大演奏のひとつとして数えている新国立劇場2007年の「ばらの騎士」のオクタヴィアン。美人なのに、ショートカットにして、男装すると、それはそれは格好のよいオクタヴィアン。演技も巧い巧い。第三幕の、オクタヴィアン役のソプラノが女装するという不可思議な演技を十全に演じていて、私はもう涙が止まらなかったですよ。

それから、彼女は、昨年2009年の「ラインの黄金」と「ヴァルキューレ」でフリッカを演じました。けれども、フリッカにしてはかわいらしすぎてちょっと拍子抜けしてしまった。フリッカといえば、ギリシャ神話で言うとヘラのような存在で、ヴォータンにしてみれば口うるさい妻といった、ちょっと癖のある役柄なんですが、ツィトコーワは美しすぎたんですねえ。もっと体格のたっぷりとした方だと似合ったのかも。でも、声はすばらしかったです。

期待膨らむ新国の「トリスタンとイゾルデ」

で、来年1月に、ツィトコーワは新国の「トリスタンとイゾルデ」でブランゲーネを歌うのですよ。しかも、テオリン様と競演とは! お二人はどう見ても対照的。きっと、強き女性たるイゾルデと、従順で忠実で、ちょっと気を利かせすぎてしまったブランゲーネという感じで、しっくり来るパフォーマンスになるんじゃないでしょうか。期待は膨らむ膨らむ。

ただ、このオペラは、長いのが欠点。体に十分に音楽をしみこませておかないと、最後まで聞きとおすのはつらいかも。私も2008年の秋に、バレンボイムがベルリン・シュターツオーパーを振った「トリスタンとイゾルデ」をNHKホールで聞きましたが、かなりつらかった記憶があります。風邪引いていましたし、前々日にイタリア旅行から帰ってきたというかなりハードなスケジュールでしたから。

そうこうしているうちに、第二幕の盛り上がりのひとつの頂点、愛の死のテーマに入ってきました。ロバート・ディーン・スミスとイレーネ・テオリンの二重唱炸裂中。

あ、昨日知ったんですが、ロバート・ディーン・スミスって、新国で 「 ローエングリン ワルキューレ」に出ているんですね。今度、新国の情報資料室に入り浸ろうかと画策中です。

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ゴサインタン―神の座 (文春文庫)
篠田 節子
文藝春秋
売り上げランキング: 68507
おすすめ度の平均: 4.5
5 究極の求愛?
4 世相なんか無視しろ!
5 何で賞をとるか……
5 超重量級で、ズシンと来ます。
5 「愛」によりて

忘れないうちに、この本もご紹介。

いやー、またスケールの大きなストーリーに感涙です。あえてストーリーは書きません。一言で言うと、「斜陽」、ですかね。あまりに縮めすぎかな。

うまくいっている小説の一つの特徴として、余韻というものがあって、それは、謎が謎のまま残され、その後の展開が読者の想像力にゆだねられるというものなのですが、この本で語られたストーリーは謎だらけで、論理的な説明は全くなされない。だが、それが小説の面白さの一つなのでしょう。次々に起きる不可思議な出来事は、オカルト的でもあるけれど、だからといって現実離れした者でもない。もしかしたら、隣の部屋や近所の家で起きていることなのかもしれない、と思わせるほど現実的リアルに満ちた筆致で、ぐいぐいと物語世界に引き込まれてしまいました。

後表紙のストーリー解説なんて、全然役に立ちませんでした。それほどストーリーはある意味霊感に満ちていて、突飛とも言えましょうが、破綻していないので全然許せます。

それから、取材しないとこの小説は書けません。その取材力にも脱帽。私もどんなに小さくてもいいから、どこかのマスコミに入れるもんなら入っておけばよかったです。まあ、入れなかったんですけれどね。というか、受けなかったですが。だから、そもそもだめか。。。

小説巧者ってこういう方のことを言うんですねえ。

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Puccini

なんだかiPodの調子がおかしい。いやな予感。。。HDD160GB積んでいること自体に無理があるのかもしれません。SSDはまだ高いので仕方がないんですけれど。

今朝は、マノン・レスコーを。

いま、追っかけで「男と女はトメラレナイ」を見ています。リアルのほうは、人形浄瑠璃を取り上げています。うーむ、オペラだけが対象ではなかったのか。。。残念。

で、「男と女はトメラレナイ」での「マノン・レスコー」の回は、マノンは「魔性の女」である、という観点から、トークが繰り広げられていて、実に面白い。

デ・グリューと愛を誓いながらも、やっぱり金持ちじゃないとイヤ、というわんばかりに、金持ちの老人ジェロンテの屋敷に転がり込み贅沢三昧。けれども、デ・グリューが現れると、やっぱり心変わり。やっぱり年寄りじゃいやなの、みたいな。デ・グリューも人がよすぎる。「魔性の女」マノンに完全にイカレテしまっている。姦通罪で有罪になったマノンを追っかけて、辺境の地、ルイジアナまでいってしまうんですから。

しかし、「魔性の女」、いますよねえ。被害者を何人か知っていますが。。。「男と女はトメラレナイ」では、鴻上尚史さんがゲストだったのですが、一度「魔性の女」に引っかかってしまい、あまりの辛さに、仕事を入れまくって、しのいだそうです。なるほど。仕事入れればいいのか。

今日の魔性の女、マノンを歌うのはマリア・カラスです。古いモノラル録音ですが、音質はかなりいいです。指揮はセラフィン。デ・グリューはジュゼッペ・ディ・ステファノ。この方は激烈な人生を送っておられる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%8E

マリア・カラスの声は、私には硬質に思えます。むしろ、ちょっと硬すぎるのかもしれない、と思うぐらい。ピッチも微妙な部分があるかもしれない。でも存在感はすごい。きっと、実演だとものすごいことになるんでしょうけれど。私のデフォルト盤は、シノポリ&ドミンゴ&フレーニ盤です。フレーニの柔らかみを帯びた声のほうが好みかもしれない。今は、ですが。

「マノン・レスコー」は、新国立劇場でも次シーズンで上演が予定されています。

私は、一度だけ実演に触れています。2003年にミュンヘンでアンドレアス・ホモキの演出で見ました。

これは、2004年にミュンヘン行ったときの写真。ちと威張って立ってみました。まだリーマン・ショックを知らない時代。

ミュンヘンの「マノン・レスコー」の読み替えは凄烈でした。もちろん、会場はバイエルン・シュターツ・オーパーなんですが、幕が開くと、舞台も、同じシュターツオーパーで、客席に座るわれわれの頭上にぶら下がる巨大なシャンデリアがそのまま舞台上にも現れたんですから。合唱は正装したオペラ観客に扮していて、みんなプログラムなんかを持っているんですよ。警官役は歌劇場の守衛の制服を着ているんです。マノンが捕らえられるシーン、あそこは、マノンが覚せい剤を持っていたという設定になっていて、警官役がマノンのハンドバッグを取り上げると、中から白い粉が舞台にばら撒かれるという仕掛け。リアリティが刺激的過ぎる。

これが、くだんのシャンデリア

当日は、全四幕を連続して2時間休みなしで演奏。指揮は誰だったんだろう。当時のリブレットにはファビオ・ルイジの名前が書かれているのですが、絶対に違う。もっと年配の職人気質的指揮者だった記憶が。ちょっと探してみないと。。

ともかく、演奏者も、客席も、私も、強烈な集中力のなかで舞台は進行していって、あっと今の2時間。あれほど集中したオペラはそうそうありません。私は舞台に向かって一番左端の一番前という席で、目の前がオケピットでした。インテルメッツォの恍惚感が忘れられません。昨日のことのようだ。

ホモキ氏って、1960年生まれなんですね。若いのにすごい。ホモキ氏は、新国立劇場でも「フィガロの結婚」、「西部の娘」を演出しています。「フィガロ」のほうも斬新な読み替えでエキサイティングしたおぼえがあります。これも2003年のこと。「西部の娘」は2007年でした。ダンボールを巧く使った演出で、現代アメリカに読み替えていました。

来シーズン、「フィガロの結婚」が再演されますので、こちらでアンドレアス・ホモキ氏のアグレッシブな演出を楽しめます。私も観るのは二度目になりそうですが、楽しみですね。同演出異歌手に巡り会えるのも新国立劇場がしっかりしてくれているからこそ、ですから。

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Puccini

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Puccini: Manon Lescaut (Complete)
Tebaldi Del Monaco Boriello Corena
Universal France (2006-08-22)
売り上げランキング: 794088

やっと最近眠れるようになって来ました。まあ、ナイトキャップってやつですかね。おかげで、朝方に少し眠気は起きるものの、睡眠時間は結構いい感じ。下手な薬飲むよりいいかも。でも、実は医者に禁止されている。なので、ほんの少しなめるぐらいです(?)。もっとも、アルコールは睡眠の質を下げる、という説もありますので、何がいいのかよくわかりませんし、アル中にはなりたくないですしねえ。あ、アルコールは太るんですよ。やめようかな。。。

さて、今朝は「マノン・レスコー」をテバルディとデル・モナコのバージョンで聞いたんですが、デ・グリューを歌うモナコが格好良すぎて、なんだか、勇敢なるデ・グリューになっていました。ドミンゴのように甘さを加えると、まだ青い未熟な青年的な微妙な甘え具合が出るんですけれど、オテロやカラフを歌わせたトランペットの声で、デ・グリューというのはちょっとモナコにしてみれば役が足りないのかもしれません。このマッチョな男らしい歌には、凱旋帰還するオテロの姿思い浮かんでしまう。なーんて、えらそうなことを言ってますが、「マノン・レスコー」は本当に素敵なオペラ。

テバルディもすごくいいですよ。伸びがあってピッチの微妙な傷も気にならない。特に高音域の伸びは絶品です。ああ、これをお昼休みに聞ける幸せ。 iPodラヴ。

あ、もうひとつちょっと由々しき思い出。私が「マノン・レスコー」をはじめてみたのは実はBS2で10年以上前に放送されたグラインドボーン音楽祭の映像でした。たしか、なぜかジョン・エリオット・ガーディナーが指揮をしていたはず。

しかしながら、この音源だけは理解することができなかったです。やはり、VHSビデオで録画したものだったので、音質も画質もきわめて悪い状態で音楽の美しさを掬い取ることができませんでした。

あとは、これは今だから言える想像ですが、古楽派のガーディナーがプッチーニを振るという違和感のなせる事象なのではなかった、とも。演出はグラハム・ヴィックで、彼の演出である同じくグラインドボーンの「ルル」がすばらしかっただけに、ちょっと残念な思いもしました。

あのときに、環境が整っていれば、今はもっとオペラを聞けていたはず。私はこの「マノン・レスコー」の映像をみて、オペラを一度あきらめたんですから。代わりにブラームスの室内楽の世界やブルックナーの敬虔で激しい交響曲群を惑溺するようになったんです。

やはり、出会いというものは重要です。早くても遅くても巧くいかない。まあ、そういう糸の通し違いが人生を面白くしているんですけれどね。なるべくならそういうことがないように生きていこうとするのも正しいあり方ですけれど。

でも、仕事に関してだけは、糸の通し違いは決して起こしちゃいけません。それが最近見てきたいろいろな出来事から導いた結論です。

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あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ローリー・リン ドラモンド
早川書房
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おすすめ度の平均: 4.5
5 リアル
5 リアリティが凄い
3 暗くスカッとしない話
4 ハードボイルドではない、純文学のような味わいあり!
5 女性警官が主人公の短編10作

今朝は四時半に目を覚ましました。あわててテレビをつけるのだが、メガネをかけていないので、点数がよく見えません。目を瞬いてとっくりとみると、あれれ、勝っているじゃないですか! 後半始まったばかり。まだわからないけれど、2点差。すごいなあ。

というわけで、少し早めの朝食をとりながら、日本の勝利を鑑賞しました。次はパラグアイですか。がんばって欲しい。

あなたに不利な証拠としてを読もう

で、先日から読んでいる「あなたに不利な証拠として」のことを。この本は、都心で売っているBig Issueの書評で紹介されていたもの。うちの奥さんが読んでみたら、と薦めてくれたので、早速入手してみたんですが、いやあ、すごいですわ。ここまでの強靭な粘りを持った小説家に出会ったのは久しぶりです。

著者横顔

著者はローリー・リン・ドラモンド。名前だけでは、一瞬、男性か女性かわからない。ローリーとくれば、ローリーですからね。でもミドルネームのリンは女性の名前であることに気づく。だが、この方の経歴がすごい。女性でありながら制服警官として5年間勤務し、30歳で交通事故にあって辞職し、ルイジアナ州立大学で英語の学士号とクリエイティブ・ライティングの修士号を取得した。現在は大学で教鞭をとりながら親筆活動を続けている。

構成と内容

この本、キャサリン、リズ、モナ、キャシー、サラという5人の女性をめぐるオムニバス形式の中短編。やっぱり、女性作家はすごい。ひれ伏すのみ。

たとえば、執拗なまでの完璧な描写を無限大に繰り出してくるし、難しいはずの「匂い」の描写を数ページにわたって粘り強く、執拗といってもいいかもしれないけれど、とにかく気迫に満ちた描写力に心を強く打たれました。

描かれているのは、女性警官たちをめぐる勤務の日常なのですが、われわれサラリーマンのように定型化された仕事などはなく、常に死と隣り合わせの世界。警察官の死亡率は交通事故が一番高いという意外な事実も。

緊迫感のある犯人との対峙シーンも読み応え抜群で、これは現役警官か、現役警官をきちんと取材した人でないとかけないだろう、と思わされてしまう。

一番心に残るのは冒頭のキャサリンだと思う。優秀な警官で、伝説の女性で、そして最後はやっぱり......。心打たれるものがある。

心の和む描写、そして開かれた謎

描写が凄い、と書きましたが、特に、ところどころに織り込まれる自然描写が美しくて、ラヴリー。私はアメリカに行ったことがないのですが、映画で見るアメリカの中流階級の住む住宅街の風情なんかが直接伝わってくる。たとえば、枯葉が風に吹かれて乾いた音を立てているシーンとか、葉の色が黄色になった広葉樹が重い枝を街路にたれていたり、リスが時折現れたり、とか。描写力は絶品で、これはもうなかなかまねできないと思う。かなり鍛練を積んだんだろうなあ。

それから、事態についての説明はあまりなされない。原因究明も。それは以前も言ったように謎のまま温存してある。だから、読者は、開かれた物語世界の真ん中に放り出されて、どこに行くのも自由。それを許す包容力がこの本にはあるのです。

緻密な描写、説明をしない奥ゆかしさ。

そうかあ、ここまで書かねばならんのかあ、とかなり勇気付けられた感じ。

だから本読みはやめられません。

女性作家万歳!

しかし、最近気づいたんですが、やっぱり女性作家さんの小説が好きかもしれない。まあ、いろいろ芸風はあるでしょうけれど。私が感銘を受けた女性作家といえば。。。

  • 塩野七生
  • 永井路子
  • 篠田 節子
  • 岡本かの子
  • リンドグレーン
  • アニタ・ブルックナー
  • 澤田ふじ子
  • ジュンパ・ラヒリ

加えて、辻邦生師の作品は女性的甘美さや緻密さを湛えているし、マルセル・プルーストだって、いろんな意味で女性的なものをもっていますので。そういうくくりでは辻邦生師もプルーストも女性的だといえるのでは、と勝手に思い込んでいます。

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鹿鳴館 (新潮文庫)
鹿鳴館 (新潮文庫)
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三島 由紀夫
新潮社
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三島の戯曲「鹿鳴館」を読み終えました。明日の池辺晋一郎「鹿鳴館」にちゃんと間に合いました。

さすが三島です。織り成す人間関係の複雑さをきちんと理解させ、なおも二重三重にもロジックを絡み合わせるあたりは本当に素晴らしい。解釈多様性を持ち、謎を謎のまま飾り付けるやり方も見事。

夫婦の愛憎、親子の愛憎、社会階層間の憎悪、様々な対立軸が提示していくやりかた。文学の一つの大きな使命は、対立軸を鮮明に浮き上がらせるというものがあるでしょうから。

男らしい影山男爵は、男性のシンボルに他ならない。朝子の描き方が随分冷徹で、三島は影山に花を持たせているように思えます。最後の部分で、誰かが殺されるという暗示が示されていて、それが朝子が拠り所にする人物であることを想像しますが、真実は誰にもわかりますまい。

これを明日オペラで見ることができるのは幸せ。感謝しないと。どんな刺激的な体験が待っているんだろう? 詳細は明日の新国立劇場で明らかになるはず。

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今日は本当に湿っぽい一日でした。もう夏です。昨年の今頃は屋久島に行っていたなあ、なんて。

早速、本日見てきた池辺先生の「鹿鳴館」のことを。

中劇場といういつもより小降りの箱で、凄く一体感のあるパフォーマンスでした。

男の論理と女の論理

この作品、影山伯爵と伯爵夫人朝子の対立軸が一つのポイントとなっていると思います。すべて憎悪が政治を動かすのである、という極めて現実主義的権力主義的影山と、我が子を守ろうとする朝子が知らず知らずのうちに対決しているという構図。最後はもちろん朝子は敗れ去ります。影山には何らの傷もつかない。朝子は、影山と別れて、影山の政敵である清原の元へ向かうことを示唆しますが、劇の最終部の銃声で、清原の死が暗示されています。男の論理の完全勝利。

だが、どうにもこれには釈然としないのです。本当に影山は完全勝利を得たのか? やはり朝子を失ったことは疵ではないのか? 影山は、朝子と清原に関係があったことを知って、嫉妬があると吐露しますが、影山が感情らしいところを出したのはあの場面だけ。あとは、淡々と政敵を追い詰め、さらには嫉妬を覚えた清原や久雄を始末するという結末。勝利はしたけれど、おそらくはむなしさも覚えていているのではないか、とも思えます。どうしようとも朝子との関係修復は無理でしょうから。

けれども、男の論理ではそんなことはどうでもいいのかもしれません。けれど、なぜか悔しさを覚える。朝子の敗戦が気の毒に思えるからなのか。

演奏について

歌手の方々で言うと、影山夫妻を歌ったお二方が大変素晴らしかったです。ソプラノの腰越満美さんの朝子は、実に気品溢れる演技で、歌の方もピッチの狂いも感じられず、特に伸びやかな高音域は素晴らしかったです。そうか、イタリアに留学された方でしたか。この方、実は「ばらの騎士」の元帥夫人とか、「カプリッチョ」の伯爵夫人を歌えるフレミングタイプのソプラノの方ではないか、と思いました。

影山伯爵の与那城敬さんも素晴らしかった。落ち着き払った演技で、巧かったですし、歌唱も善かった。

で、思ったのですが、やはり、日本語の歌詞を日本人が歌われると実にしっくり来るのですよ。ごくたまに感じる物足りなさなんて微塵もない。やっぱり日本語の歌詞は日本人のためにあるのだなあ、と。なんだか偏狭なナショナリスト的言動ですが、正直な感想です。ドイツ人のネイティブスピーカーがドイツ語を歌う日本人を聴いてどう感じているのか、ちょっと分かった気がします。

音楽は、もうなんというか、いろいろな要素がミクスチャされたもの。調性はめまぐるしく変わりますし、鹿鳴館の舞踏シーンのシニカルな音楽は、鵜山仁さんの、これまたシニックな演出と相まって、鹿鳴館時代の日本の一生懸命さを皮肉っぽく表現していました。

今の日本のオペラも、鹿鳴館時代と同じなのかもしれない。そうした批判意識があるのでは、とも深読みしてしまいました。

それから、飛田をセリフなしにしたのは第正解。怪しさ満点で、政治の裏でなされているダーティーな仕事を示唆していて効果的でした。飛猿みたい。

まとめ

実に刺激的な一日。三島の文学と、池辺さんの音楽に、鵜山さんの演出が混ざり合って一つの大きな価値が生み出された瞬間に立ち会えたという幸福な一日でした。

カーテンコールの最後、舞台奥に故若杉弘さんの写真が映し出されました。カーテンコールを受けていた演奏者や池辺さんも後ろを振り返って、若杉さんの遺影に拍手を送りました。

これで、若杉さんが企画した2009年/2010年シーズンは終了です。明日はちょっと今シーズンを振り返ってみたいと思います。

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オペラ・ノート (白水uブックス)
吉田 秀和
白水社
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今日は、とある記念日でしたので、仕事をハイスピードで終えて、家族で近所の街のレストランで食事を。なかなか良い気分で食事ができました。幸い私の自宅近辺では大雨に見舞われることもなく、ぬれずに帰宅できました。

最近の通勤時間はなかなか楽しくて、今週に入ってから「沈まぬ太陽」御巣鷹篇をあっという間に読み終えて、吉田秀和氏の「オペラ・ノート」を。

さすが、吉田秀和先生。本当に天才的ですね。中原中也と友達だったとか、桐朋学園を設立したとか、文化勲章をもらっているとか、伝説的な事績に触れるごとに、この方を超える音楽批評をできる方はそうそういらっしゃらないのではないかという思いを新たにします。

この本、まだ半分ほど読んだところです。冒頭に「利口な女狐の物語」を取り上げるという変化球に圧倒されて、それから私の大好きな「ばらの騎士」の考察、それから、ワーグナーのリングを取り上げる。バイロイトにおけるパトリス・シェローの演出を様々な角度から考察していらして面白いです。「ラインの黄金」で巨人が登場するところ、リアリズム的に本当に大きな巨人が出現して、思わず笑ってしまったとか。ヴィーラント・ワーグナーの新バイロイト様式に慣れた目には、シェローのある種リアルな演出が突飛に思えたというところでしょうか。

シェローの映像は、私も持っていますが、リングともなると惰弱な精神力では観ることは能いません。ちゃんと劇場にいって、5時間みっちり缶詰にされないとなかなか観ることができないというところ。これを、トーマス・マンは幸福な孤独と言っていたはずですが、私も同感です。

どうやら、前半が終わったようですが、得点は入っていないようです。これから眠るか、起きているか、ちと迷う。

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  • Shushiは"浮かび上がる山陵はあさぎ色に縁取られる。富士は虚空へと頂を向ける。"をtweetしました
  • Shushiは"ブロムシュテットのシベリウス2番。いいですなあ。上質な映画音楽を聴いている気分。だが、曲が進むにつれ、そんな優雅な気分でもなくなるんだが。それがシベリウスの凄いところだと、最近思っています。"をtweetしました
  • Shushiは"EWI 吹いた。18年ぶり(?)にTruth吹いてみた。あはは。"をtweetしました
  • Shushiは"これぞ読書の愉悦──ダン・ブラウン「ロスト・シンボル」 (http://tinyurl.com/23zlkax)"をtweetしました
  • Shushiは"ランラン&ラトルのラフマニノフのピアノ協奏曲第二番。なぜか、ラトルの顔がスーザン・ボイルに見えた。ラトル、ちょっと、太ったみたい"をtweetしました

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