Opera,Richard Wagner

はじめに

昨日が初日だった新国立劇場「ローエングリン」ですが、今は見ざる聞かざる読まざるでシャットダウンしています。

きっとうまくいっていると思います。

映像の予習

さて、今日はDVDで予習中。

私が見ているのは以下の映像。ですが、絶版で、マーケットプレイスでは5万円になっていました。

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以下の映像は、キャストを見る限りでは、私の見ているDVDと同じ映像のようですが、リージョンコードが1で、北米専用となっていますのでご注意を。
 
 
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この音源は、1990年1月28日にウィーン国立歌劇場で収録されたライヴ映像。ドイツ、オーストリアでテレビ放送されたものがDVD化されているものです。

演出は、完全な新制作ではないのですが、大幅に手を入れて、プレミエ扱いにして、グレードを上げたそうです。

第一幕実況風

というわけで、第一幕を実況風にお届けしてみたいと思います。

若きアバド。とはいえ、56歳です。はにかむような表情がドミンゴのそれと似ているのは気のせいでしょうか。

この年、アバドはベルリンフィルの芸術監督に就任することになります。まさに絶頂期です。いや、今も絶頂ですね。

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ロバート・ロイドが歌うハインリッヒ国王陛下。かなり重々しい歌い方です。良い感じ。

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ハートゥムート・ウェルカーが歌うフリードリヒ・フォン・テルラムント。かっこいいです。この短髪はローマ貴族のようだ。高音域も割合にのびがあって巧いという印象です。

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新国立劇場にもいらしていたゲオルグ・ティッヒが伝令役です。つうか、すごくパワフル。

私が新国で聞いたのは2004/2005シーズンの「道化師」のトニオ役と2007年「ばらの騎士」ファニナル役で、ずいぶん渋い役を歌ういぶし銀的感覚だったが、ここでのティッヒは実に力強い歌だし、外見も強面でかっこいい。

この方はウィーンで宮廷歌手の称号を持っているはずです。

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そして、エルザ・フォン・ブラバントを歌うシュリル・ステューダー。同じく1990年のバイロイトでもペーター・シュナイダー指揮のもとでエルザを歌っています。

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これは、アイーダトランペット

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そして、ドミンゴの登場!

この場面は何度聞いてもカッコイイ。このシーンはテノールのもっともカッコイイ登場場面の一つでしょう。ソプラノであれば蝶々夫人の登場場面に匹敵するぐらいのもの。きっと感動して泣いてしまうと思います。

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ライナーによるとドミンゴは、当時「悪性の風邪」から回復したばかりだったそうです。このプレミエに出るかでないかでマスコミが大変盛り上がったそうですが、ドミンゴはこのライブ映像にきちんと照準を合わせていたのです。そしてこのパフォーマンス。

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このあと、もったいぶって客席に背を向けて歌うのが良いのですよ。ローエングリンの登場にあっても、聴衆はしばし直接の歌声をお預けにされてしまう感じ。

背中向けて吹いて良いのはマイルスとローエングリンだけなのだろう。

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っつうか、ドミンゴかっこいいぞ。

世界でもっともカッコイイ中年男の一人。

ドミンゴは、ショルティに起用されて1985年にもローエングリンを録音しています。とはいえ、やはりドイツ系ヘルデン・テノールとは一線を画しています。

ドミンゴは生粋のワーグナー歌いではないとしても、この甘美な歌い方は一つの価値の頂点を極めています。。力強い闘士のようなローエングリンではなく、なにかミステリアスで霊的なローエングリンですね。英雄ではなく神の使者です。

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そして、ローエングリンはテルラムントと刃を交えるのですが……。

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ローエングリンは、剣を振り下ろすことはなく……、

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なんと、剣をを頭上にかざすだけで、テルラムントが打ち負かされてしまいます。

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剣がふれあう音はまったくありません。これは神的な力がみなぎる決闘です。決闘に際しては魔法を使ってはならぬと言われていたのだが、これは魔法ではないのです。

 

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プレミエともなると、正装でないと。

 

終わりに

というわけで、イメージは伝わったでしょうか。

やはり、音楽、物語、視覚が混合していますから、切り離すことは出来ません。平日はさすがに映像を見る機会がほとんどありませんので、音楽だけを聞くことになってしまいますが、映像もふくめてもう少し見ないとなあ、と思います。

少し長くなりましたが、今日はこのあたりで。

それでは、You have.