日本で最も熱い現代音楽──佐村河内守 交響曲第一番《HIROSHIMA》

2015-04-22

ご存知のように、佐村河内氏の件は種々の問題を孕んでおりますが、あえてこの記事を残しているものです。関連記事としてはこちらもご覧ください。

今回の問題についての感想

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昨日今日と少し涼しいですが、今日も熱い音楽を。
今最も熱い現代音楽かもしれません。佐村河内守の交響曲第一番《HIROSHIMA》を、みなとみらいホールで聴いてきました。
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音楽の印象

音楽は、幾重にも折り重ねられた静謐と爆発の繰り返し。原爆の投下、被爆者の苦しみ、被爆者の怒り、そして絶望。それらが繰り返し繰り返し現れてくるように聞こえてきました。
先日からCDを何度か聞いているのですが、曲の構成が我々の聴き知ったものと異なるようです。知らず知らずに私はソナタ形式を探そうとしているのですが、私にはうまく見つけられません。
代わりに、何人もの作曲家のイメージを見つける事になります。メシアン、レスピーギ、ニールセン、ブルックナー、そしてマーラー。
こうなると、こうしたイメージのコラージュとして理解すると、かなり面白い聴き方をすることができます。

フィナーレ

暗い色調の音楽は、フィナーレで、やっと調性がメジャーとなり、救済へと至ります。
このフィナーレは、マーラーが二番や三番で構築した壮大なフィナーレを思い起こさせる程のものです。マーラー二番のフィナーレを初めて聴いた時(小学六年生の時)私の中ではここまでやってしまっていいのか、と思うほど戸惑ったのを覚えています。こんなにもフィナーレらしいフィナーレは、いかがなものかという違和感でした。
今日の《HIROSHIMA》のフィナーレもやはりそういうもの。ただ、今の私は、こうして当たり前のものをきちんと作れるということが凄いのだ、ということを知っています。
また、単なる救済でありながらもチューバとコントラバスが低音でなにか水を差すような旋律を奏でます。単なるカタルシスではない、という予感。ここは本当に感動しました。

音列

もちろん、だからといってオリジナリティがないとか、曲の印象がバラバラといったようなことはありません。一貫して、BACGisの4つ音を中心とするテーマが流れています。循環形式というか、変奏曲というか。あるいは変奏曲に近いのかもしれません。
この4つの音がBACHとくるとバッハのフーガの技法になりますし、ショスタコーヴィチ十番で執拗に登場するDSCHの音列になります。そんなことも思い出しながら聴いていました。

打楽器

また、破壊的なまでに凄まじい打楽器群の使い方。こんなにオケで大音響を聴いたのは初めてかもしれません。一番前の席ならきっと凄いことになっていたはず。今日は前から十五列目でしたが、それでもあの凄まじさでしたので。ティンパニー、スネアドラム、大太鼓の全力打撃は凄いですよ。

ご本人の登場

どのツアー開場でもそうなのかもしれませんが、佐村河内守さんご本人が最後に舞台に上がられ、スタンディング・オベーションを受けていましたね。胸が熱くなります。
ベートーヴェンと同じく全聾ながら交響曲を書いてしまったという事実。ベートーヴェンは、自分に向けられた喝采を理解できなかったという逸話が残っていますが、今日の佐村河内さんは、オケのメンバーに感謝を表してから、客席のほうに、手話でありがとう、と言ってました。意外にも気さくな感じを受けました。もっと鬼気迫る感じの方かと思っていたので。

終わりに

みなとみらいの入り口、いつもに増して人がたくさん並んでいて、客足が多かったことがよくわかります。ただ、こんなに並んでいるのは初めて観たので、ダブルブッキングが起きているんじゃないか、と心配になるほどでした。まあそういうことはありませんでしたが。
あとは、曲が終わって拍手をしている時に、座席に辿り着いたお客さんが数名いました。まさか、終わるまで外で待たされていたということはないでしょうけれどちょっと心配してしまいました。
みなとみらいの音は素晴らしかったですよ。残響が天井を走り回るのがよく聞こえました。本当によくまとまって輪郭のある残響だと思います。また行きたいですね、みなとみらいホール。
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