フランス式論理と典雅──読売日響サントリー定期

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本日早帰りデーのため、早帰りを実践しました。会社帰りにサントリーホールで読売日本交響楽団の定期公演を聞いてきました。
モーツァルト 交響曲第29番イ長調K201
モーツァルト 協奏交響曲変ホ長調K364
メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調作品56《スコットランド》
最初のモーツァルト。こういうのを典雅というのでしょう、という感じ。オケの音も薫り立つようでした。席は前から三列目下手側。カンブルランの横顔が見える位置でした。まるで指揮台でステップを踏んで踊っているように見えました。
二曲目の協奏交響曲は、ドイツ名門オケでコンマスあるいは首席奏者を務める二人の日本人女性。ヴァイオリンは萩原尚子さんで、ケルンWDR交響楽団のコンマス。ビオラはベルリン・フィルの首席ビオラ奏者の清水直子さん。そういえば、ふたりともなおこさんなんですね。萩原さんのヴァイオリンは硬く引き締まった音でした。清水さんの方の音はしなやかに思いました。
ここまでで一時間過ぎ。二曲とも充実していましたので、随分とお腹いっぱいな感じで、これで終わりでもいいかも、などと。
ですが、次がすごかったのです。
《スコットランド》は、実演を聴くのは初めて。というか、私が実演に触れられるように鳴ったのは会社が都内になってからが主なので、まあ当たり前なんですが、この曲は小さい頃によく聴いていたので、ほとんど覚えていて、なんだか懐かしい気分でした。
カンブルランの指揮は、第一楽章で、第二主題で突然テンポを上げたりと、当初は少し戸惑いもありました。が、そのうちにだんだんと引き込まれて言った感があります。テンポは、確かに変えるのですが、旋律の途中でもたらせたりというようなことはほとんどなく、おおむねインテンポで進めていました。特筆すべきはむしろダイナミズムで、パートごとの音量調整を細かくやることで曲の表情を引き出していました。
この曲、第二楽章は民謡風というか舞曲風なんですが、なんで第二楽章なんですかね。普通はこのたぐいは第三楽章なんですが。まあ、それはいいとして、クラリネットの旋律になぜかころりとやられてしまって、落涙しました。木管が素敵でした。
カンブルランの指揮は、この辺になると随分とわかってきました。まずはリズムががっしりしていて、ほとんどぶれません。これはインテンポであるからそう思えたのでしょう。それでいて、ダイナミズムで華麗な音を引き出しているのです。これは本当に驚きでした。
フランスといえば、軽やかで華やかなイメージがありながらもロジックの国です。論理的でありながら典雅であるという、辻邦生の小説のような世界です。
聴きながら、ゴシック聖堂のような堅牢でありながら、細部の美しさを保っている構造体を観ているようでした。
で、カンブルランの出身のアミアン大聖堂を思い出したというわけ。単純は偉大なり。なんて。

といわけで、早帰りを利用して行ってきた次第です。
東京オペラ・オケ事情を作ったのは、私が、いつどこで何を演るのかを知りたかったということがあります。自分のためにも作ってよかった、などと勝手に思ってます。
本当は、東京芸術劇場のホールオペラにも行きたかったのですが、散々迷ってサントリーホールにしてしまいました。仕事が忙しかったので、モーツァルトを聴きたかったから、というのが大きな理由でしたが、目的以上に満足した演奏会でした。
週末は本職を頑張ります。
では、グーテナハト。

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