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東京国立近代美術館で開催されていました竹内栖鳳展に行ってまいりました。
10年ほど前、関西に出張する機会が何度か有り、そのたびに京都の平安神宮前にある京都国立近代美術館に出かけていました。そこで、日本画の素晴らしさや美しさの愉しみ方を覚えたものです。もちろんそれらの収蔵品の中には竹内栖鳳の絵もあったわけで、その淡い色彩が描くリアリティに感銘をうけたわけでした。
これはもう実物を見ないとわからないのですが、例えばカモやウサギの柔らかい羽毛を、絵の具のにじみの効果を使って表現している部分などは、おそらくは水の量を細かく調整するなどの緻密な計算のもとで成立しているものなのでしょう。その技巧の裏側には想像することさえ難しいほどの努力があるはずです。
明治から昭和初期にかけての風景が描かれている作品もいくつか有りました。画像では海の色の素晴らしさはわかりません。海の色は、深い群青色に緑色が加わったもので、現実の海を超えた美しさでした。
個々に描かれている海浜の風景は100年以上前のもので、我々はそれを現実として見ることはできません。ですが、我々は、かつての日本の海浜風景というものをなにか先験的に知っているはずで、その先験的知識と絵画を重ねあわせることで、一気に原体験へと昇華するのだと思います。それは実態を伴った、もしかしたら触ることすらできるほどのリアリティをもった体験でした。
このような芸術作品が持つ、現実へ働きかける力というのは、共通しているみたいで、私はこの直観をルーヴル美術館でヴェロネーゼの《カナの結婚》を観た時に感じました。

今日は一日中床に臥せっていました。ですが、一向に回復しません。明日は早出の召集がありましたので、早く寝ないと。
では、グーテナハト。