Opera,Richard Strauss

すべての写真-2658

上の変な写真になってしまいましたが、行ってきました東京二期会公演の《ダナエの愛》。東京二期会は、意欲的な演目をやりますが、今回は本当に運良く行かせていただいた感じです。

いや、本当に面白かったです。演出も最高だったし、なによりオケが素晴らしかった。歌手の方々も。10年以上前にもやはり同じ団体の別のオペラを東京文化会館で観たことがあったんですが、そのときよりも全体に底上げされている!、と本当に思いました。

今日は短信にとどめますが、深作さんの演出は、シュトラウスが指環へのオマージュとして《ダナエの愛》を書いた、と思わせる演出になっています。神々から人間へ世界が渡される、というテーマを色濃く描く演出で、これはもうほとんど指環の世界観でした。第三幕のユピテルは、全くもってさすらい人ヴォータンでした。シュトラウスのパロディ精神をすくい取っているなあ、と感動です。

演出の深作健太さんのアフタートークも聴きましたが、いや、本当にオペラが好きで演出をやりたくて夢を掴んだ、ということだったようです。

というか本当に面白い演出でした。

<ここからさき、ネタバレ&ご覧になった方しかわからないはずです。すいません>

ざっと、思いついたことを書きなぐってみます。ブログじゃないな、これは。本当なら、誰かと話したいところですが、そういう知り合いがいない。。

演出の深作健太さんが登壇したアフタートークでは、深作さんがコンヴィチュニーに影響を受けているというコメントがあり、それを受けて、今回の公演についても聴衆の質問の中からもコンヴィチュニー的な演出だ、というようなコメントが有りました。たしかに、コンヴィチュニーの《ばらの騎士》など、未来の暗い世界が舞台になっているということもありますし。

最初は、第三幕が急激に現代劇になってしまい、あまりの唐突感に驚いたのですが、劇が進むに連れて、第一幕から第二幕がダナエの夢で、第三幕が現実なのだ、という解釈なのか、というところで、なるほど、と思いました。

クリムトはダナエを題材とした絵を描いています。ミダス王は触れたものを黄金に変えるということで、このオペラのなかに通底する黄金のイメージ。ここから、クリムトの「ダナエ」につながり、クリムトが好んでつかった金のイメージに繋がり、ということで、クリムトのデザインが衣装に採用されていました。これも少しやり過ぎもあったんですが、その衣装を着ているのが4人王女で、彼女らは《トゥーランドット》のピン、ポン、パンのような位置づけですので、そうしたパロディ精神も面白いなあ、と思いました。

で、この四人の王女は、実際には三重唱なんだそうです。四人いるのに。私なりの持論はあるのですが、今回は一旦は伏せておきます。

また、第三幕最後において、ダナエが懐胎しているという読み替えなんですが、この衣装とメイクは完全にボッティチェリの「春」をモチーフにしています。これ、辻邦生の「春の戴冠」においては、懐胎しているシモネッタをモデルに描かれたもの、とされていますので、ここもとてもおもしろかったです。

短信になっていませんが、半分メモ的なエントリー。

で、指揮・オケ最高でした。シュトラウスは本当に素晴らしい。明日ももう少し書くかも。

では、おやすみなさい。グーテナハトです。