世の中変化球

うーん、書いた文章が全部消えてしまった。

気を取り直して。思い出しながら書きます。

昨日はシュトラウス。シュトラウスの大人の知恵が好きです。《エレクトラ》で前衛をあきらめ、《ばらの騎士》でモーツァルトに回帰する大人の知恵。

作品の登場人物も大人ばかり。若い恋人をあきらめる《ばらの騎士》元帥夫人、二人の求婚者のどちらを選ぶか結論を出さない《カプリッチョ》の伯爵夫人マドレーヌ。

音楽的にも、美しいながらも不協和音や変拍子に溢れています。綺麗なんだけど、肩透かしのようにその旋律はどこかに過ぎ去ってしまったり。

結局世の中を変えるのはそういう大人の知恵なんだろうなあ、と。

辻邦生のテーマは「性急な改革の失敗」です。結局、若さで押し切ることは、行き詰まるだけです。時間がかかっても、じわりと改革をする知恵が勝つのかもしれません。

きっと今も、目立たないようにひっそりと、あるいはまったく別物に姿を変えてわからないように何かの改革が動いているのかも、と思います。その改革がよいことでありますように、と願います。

ですので、世の中は直球勝負では勝てません。変化球や、ときに四球を与えながら買っていくものなのかも。がゆえに、身の回りでもいろいろなことが起きますね。

はしごをはずされる感覚、というのもその一つですまあ、慣れていますので、普通に対処できてはいますが、少しばかりの寂しさは避けようはないですね。

先日読んだ本に、本来人間は種の保存のために助け合うことに快感を覚える本能を持つ、といったようなことが書いてありましたが、その逆もあるわけで、そうだとすると、それに寂しさを覚えるのも理性外の本能のようなもんなのでしょうか。

で、今日は、「ダナエの愛」を。絢爛で巨大な音楽。昨年、二期会の公演に出かけましたが、本当に楽しく充実したしたものでした。オペラは素晴らしいものですが、気づくとこの一年見に行けていないです。また行ける日が来るといいなあ、と思います。

Richard Strauss: Die Liebe der Danae
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ではおやすみなさい。グーテナハトです。