新社会人に勧める本 その1

昔、うちの組織の新人に「何かいい本を紹介してください」と言われたことがありました。とっさに出てきたのはこちら。


神の代理人 (新潮文庫)


神の代理人 (新潮文庫)

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塩野 七生
新潮社 (2012-10-29)
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多分、想定と違う本だったようで、その後読まれたかどうかは定かではありません。
なぜ、この本を勧めたのかというと、教皇たちの権力や事業への意志の強さに感銘を受けたから、だと記憶しています。本を読んだのは10年ほど前で、勧めたのは5年前ですので。しかし、おそらくは、イタリアあるいはヨーロッパの政治世界において絶対的な権力を握るということは、やはりイタリアは政治の国であり、マキャベリを産んだ国なんだなあ、と思うのです。

マキャベリといえば、昔、電子書籍で買ったこちらの本も少し読み返したのですが、まあ、組織の中で行われていることとは、こういうこと、というのがわかるので、こちらも新社会人にはいいかも。





KADOKAWA / メディアファクトリー (2012-10-15)
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今年の学習院大学史料館の講演展示情報

今年の目白参りの季節まであと4ヶ月。早いものです。
学習院大学史料館の講演や展示会のお知らせがTwitterで掲示されていました。

講演


2017年7月22日14時 学習院大学創立百周年記念会館
加賀乙彦氏による講演「辻邦生の出発──『夏の砦』」

展示


7月18日(火)から8月11日(金・祝) 学習院大学史料館
永遠の光─辻邦生「夏の砦」を書いた頃

今年もまた行かないと。講演の日はきっと展示会は混むと思いますので、別の日の静かな夏の午後にでも行きたいなあ、と思っています。

今日は取り急ぎです。きょうは振替休日。あすからまた仕事場へ。
それでは、みなさまおやすみなさい。

書店の匂い

しあわせ…。

会社帰りに本屋に寄りました。何も買わなかったのですが、なんだか、すごく幸せな気分になりました。書店の匂い。糊とか、紙とか、インクとか、そういう匂いが立ち込めていて、引き込まれる感覚。本の一つ一つに巨大な物語世界が収められているのか、と思うと、本の背表紙に手を触れるだけで、痺れを感じる気分でした。

週末は自宅で様々なことをやらなければなりません。少し忙しそうです。

それではみなさまも良い週末を御過ごしください。

しばらく小説は読めないのか。

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なんだか、しばらくは小説は読めそうもありません。騎士団長にやられました。次の小説の次の世界には入っていけないかんじ。まだ、早いです。騎士団長にずいぶんのめり込んでしまったようです。

それにしても「騎士団長殺し」、おもしろい小説でした。私は、もっと読みながら、これはスティーブン・キングだなあ、と思ったのです。非現実的で非論理で、ただそれだけだと全く意味をなさないことであっても、圧倒的な筆力で、リアリティとイメージを腕力で積み上げていくような。

物語は閉じることなく、解決されないまま終わるというのも、まあ当然といえば当然なんですが、たくさんの仕掛けが残されていて、読んでいる時も、読み終わった後も、ずっと考え続けているという状態です。先日も書いたように、演出家が先進的な演出をしたオペラを見て、その後ずっと考えている感じに似ています。

じゃあ、何を考えているのか、という話ですが、古くからの村上春樹ファンを差し置いて、何かを語るというのは何か気がひけるのですが、一点。

(ネタバレ注意)

メタファー界の旅路は、まさに擬似的な死と再生=リバース= Rebirthだなあ、と思います。川を渡り(三途の川)、狭い洞窟を通る(出産)。そして石造りの由来不明の祠の裏の穴は女性のメタファーとされています。

ですが、なぜ主人公が再生しなければならないのか、はわかりません。そして、「まりえ」の不在があまりに現実的というのも引っかかります。主人公の体験と比べるとあまりに普通で、肩透かしでした。その意味はなんなのか。男と女の違いなのか、など。そこにもなにかいみがあるはず。

ただ、そうした謎の解決は、おそらくは読者の専権事項です。人それぞの解釈なんだと思います。

今日は早めに帰って、仕事に使う資源を調達。明日は早めに出ないと。

それではみなさま、御休みなさい。

自分のために書かれた小説ではないか、と思う、ということ。


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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ようやく「騎士団長殺し」読み終わりました。第2部の後半は少しスピードアップして読んでしまいました。良いのか悪いのか。

たぶん話し始めると1時間も2時間もかかるネタなんだろうなあ。この感覚は、オペラを見たあとに、その演出をめぐる解釈をひたすら考える感覚と似ています。ですので、読み終わりながら思ったことは、本当にオペラ演出のように解釈多様性のある小説だったなあ、と思います。

個人的には、住んだことがあったり、行ったことのある土地がいくつも出てきて、描写に表れる対潜哨戒機も何度も満たし、小田原近辺で正午になるチャイムも聞いたことがあったりと、イメージが目に浮かびました。こういう読み手の共感を呼ぶポイントが多くあるのが人気のひみつなんだろうなあ、とも思いました。つまり、みんなが自分のために書かれた小説ではないか、と思うということ。それが、小説の価値なんだろうな、と思います。

今日はこちら。気だるい夜。


Kind of Blue


Kind of Blue

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Miles Davis Jimmy Cobb John Coltrane Paul Chambers Wynton Kelly Cannonball Adderley Bill Evans
COLUMBIA/LEGACY (1997-03-27)
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それではみなさま、おやすみなさい。

読み方のくせ

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先日から書き続けている「騎士団長殺し」ですが、昨日の夜に第1部を読み終えました。はっきり言って遅いです。先週金曜日の歌に読み終えたかたもいると思います。なぜこんなな遅いのかを考えてみました。先日も書いたように、短篇を読むときにもそうなのですが、なにか奔流のように流れ込んでくる作品世界をじっくりと咀嚼したいということなんだと思います。あまり、早くどんどんと結論を出すタイプでもないのかも。寝かせると、いいものがたくさん出てくるということなんだと思います。それは、まるで、何か投資のようなもので、時間がたてばたつほど複利効果で価値がます、というものに似ています。
先日、このような記事を書きました。

短編を読んだ記憶。

確かに、短編とは違う感覚はあります。長編の牽引力という斧はありますが、それにしても、やはり物語世界の意味の重みや圧のようなものは短編とは違う激しさがあります。ストーリが長いだけに、考えることも多くあります。時間をかけて考えているうちに、いろいろな発見を得ることもあります。

物語というののはスピードや効率では測れないものなのかも、と思いました。それ以外の実用本は速読が可能です。ですが、物語は、読み手の持つ決められたスピードを超えてはいけないのでは、などと思ったりしました。が故に、流し読みがやりにくいKindleは、むしろ物語(小説)に向いた媒体ではないか、と思ったりもしています。

さて、明日は仕事場の山。そして、土曜日も仕事場の山。それが火曜日ぐらいまで続きます。さらにその先も幾重にも連なる山が。でもいつものように登ることになるでしょう。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

リヒャルト・シュトラウスを味わう一枚。

村上春樹「騎士団長殺し」で、ショルティの《ばらの騎士》が取り上げられていました。

リヒアルト・シュトラウスがその絶頂期に到達した至福の世界です。初演当時には懐古趣味、退嬰的という批判も多くあったようですが、実際にはとても革新的で奔放な音楽になっています。ワグナーの影響を受けながらも、彼独自の不思議な音楽世界が繰り広げられます。いったんこの音楽を気にいると、癖になってしまうところがあります。

152ページ


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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おっしゃる通り、どうやら癖になってしまったようで、今日もシュトラウス。しかし、この退嬰的で懐古主義だが、奔放な音楽であることを1枚で味わえるアルバムを聞きました。


Strauss Heroines


Strauss Heroines

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Vienna Philharmonic Orchestra
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アメリカのソプラノ、ルネ・フレミングがシュトラウスを歌った一枚。これを聞けば、《ばらの騎士》のようなシュトラウスのオペラを味わうことができると思います。もちろん、シュトラウスは《ばらの騎士》のようなオペラだけではなく、若い頃はいくつもの長大な交響詩や交響曲を書きましたし、《サロメ》や《エレクトラ》といった当時の前衛オペラも書きました。あるいは、《インテルメッツォ》や《ナクソス島のアリアドネ》のような洒脱なオペラも。ですが、やはり《ばらの騎士》とか《カプリッチョ》のような豊かで甘い音楽がリヒャルト・シュトラウスの魅了を占める部分であることには間違いなく、このアルバムだけ聞けば、それの多くを理解できるのではないか、と思うのです。また、演奏も他の演奏に比べて、一層甘くて豊かで、指揮するエッシェンバッハも、オーケストラをかなり分厚くゆったりと官能的に鳴らしていて、それが何か少しやりすぎのような気もする場面もあるのですが、そうはいっても、これが西欧の甘美な豊かさなのだ、と説得されてしまうような感覚があるのです。

このアルバムを聴いて、仕事場への行き帰りを終始しました。なんだかいい気分でした。

明日は木曜日。気がつけば、木、金、土と、三連続で山が連なっています。なんとか乗り切らないと。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

騎士団長な日々


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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引き続き騎士団長な日々。思った以上に面白く、また示唆に富んでいて、本当に面白いです。

村上春樹が多くの受容者を得るのは、村上作品にある間口の広さなのではないか、という気がしています。音楽、絵画、文学、ミステリー、大衆性、経済、歴史、古典といった様々な要素が盛り込まれていて、詠み手に何かしらの共感を得られるようになっている、ということなのかも、と思います。その間口の広さは、単に広いだけではなく、深いもののように思えるということもあるのだと思いました。やはり、村上春樹の古い詠み手にはなかなか叶わなさそう、と思います。

今日は、やはりこちらを聴き通しました。ショルティらしい推進力や爆発力がある《ばらの騎士》でした。


Der Rosenkavalier


Der Rosenkavalier

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しかし、考えることたくさん。どうすればいいんだろうか、と。ただ進むだけですけれど。

というわけで、今日は短く、おやすみなさい。グーテナハトです。

「騎士団長殺し」におけるショルティ《ばらの騎士》


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編



村上 春樹
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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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日本の大方の村上春樹ファンはすでに読み終わっているはずの「騎士団長殺し」。

私はなかなか読む時間が持てませんので、少しずつ読んでいる感じです。どうも、小説は読むのが遅くなりがちです。飛ばし読みができませんので。小説ではない新書などはざっと読んで、大事なこところを頭に入れる、という感じなのですが。

で、少しずつ物語は進みますが、《ばらの騎士》が出てきたのは面白かったです。ショルティ盤を聴く場面が出てきて、あのCDですか、と思う次第。


Der Rosenkavalier


Der Rosenkavalier
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本文中では、カラヤンか、エーリッヒ・クライバー(単に、クライバーと書かないところが、オペラをよく知っておられることを物語っているのですが)が好みですが、聞いてみましょう、ということにっていました。カラヤンは、2枚あるうちのどっちかな、と思ってみたり。

ともかく、このショルティ盤の《ばらの騎士》を聞きながら、作品中で、登場人物たちが同じ音源を聴いているのを想像してみたりすると面白いです。聞きなおすと、ショルティ盤もなかなかいけている感じがします。村上春樹もこの盤を聞きながら書いていたのかも、と想像したり。

ちなみに、この作品に登場するオペラや日本画、いずれも2002年ごろから個人的に興味を持ち始めたテーマですし、以前少しばかり物語の舞台の小田原近辺にも縁があったりしましたので、なんだか読みながら、親近感を覚えながら読んでいます。誰しも、作品には親近感を覚えるものですので、それはそれで特別なものではないのかもしれませんけれど。何か複雑な気分です。こう言う文学もあるのだなあ、ととても親近感を覚えます。

ちなみに、「騎士団長」とは、《ドン・ジョヴァンニ》に出てくる騎士団長から来ていました。そう言った指摘はすでに題名発表の直後に鋭い方は予想されていたようです。確かに「騎士団長」という言葉には突拍子も無いのですが、個人的にはそんなに違和感を覚えることもなく、という感じでした。それもまた親近感なのかも、と。まあ、親近感などというと手練れな村上春樹ファンに怒られそうです。

今日はそろそろ眠らなければ。明日もまたいろいろありそうな1日な予感。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

騎士団長の件


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編



村上 春樹
新潮社 (2017-02-24)
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こちら、今日発売ということで、生まれて初めて本を予約するということをやって見ました。お昼に受け取り。帰りの電車で読み始めましたが、うーむ、なんだか面白いんだよなあ。まだ最初しか読んでいませんけれど。
物語の時間構成をうまく見せているので、ぐいっと引っ張り込まれるわけです。で、やはり絵画とか音楽とか、興味ある人にとっては、垂涎のネタがいくつも散りばめられていて、うなってしまうわけです。さすがだなあ、と思います。最近小説に置ける語りのパースペクティブに興味があるのですが、これは、回想しながら語るというもので、手前味噌で恐縮ですが辻邦生でいうと「風越峠にて」のような時間の扱いがあって、なるほどなあ、と思いながら読んでいます。
しかし、主人公がやっている、プッチーニの《トゥーランドット》と《ボエーム》をタンノイでひたすら聴く、とか、羨ましいな生活。
今日は取り急ぎ。おやすみなさい。グーテナハトです。