シノポリの振るマーラーの9番を聴きながら

いよいよ週末が訪れました。この一週間は忙しくて息をつく暇もなかったです(言い過ぎですが……)。おかげで時間が経つのがとても早く感じます。あっという間に「魔弾の射手」まで残り一日となりました。今晩はゆっくり休んで明日に備えようと思います。

とはいえ、今日もいつものカフェで仕事をしようと思ってきているのですが、気圧が下がっているせいか(?)り、ちと、はかどりが悪い。こんな時は音楽を聴いてやる気を高めたいものです。

普通なら、ショスタコーヴィチの「祝典序曲」などを聴いて自らを鼓舞するところですが、昨日何の気もなく選んでしまったシノポリ先生のマーラーを聴いています。交響曲第9番です。

シノポリのマーラー全集を買ったのは、亡くなった直後ぐらいで、私もまだ自由にお金が使える頃だったこともあって大人買いをしたのでした。何曲か聴いたのですが、あとでも触れますが、すこしリズムに難ありだな、という印象を持ってしまってあまり聴いていませんでした。

シノポリの演奏、まず録音がわりと良いんですよ。ダイナミックレンジもしっかり確保されているし、一音一音が良く聞こえます。もちろんシノポリ先生の棒に因るところが大きいとも言えますが。リズムの粒状感もしっかりしていて、あまり乱れを感じるようなこともないです。昔聴いたときは、リズムが甘いなあ、と思ったこともあったのですが、今のところそういう感想を持つことはないです。

第二楽章の三拍子なんて、本当にメカニカルに刻んでいますね。僕はこういう演奏が好きな方ではあるのですが、ここは評価が分かれるところでしょうか。それにしても譜面が頭に浮かんでくる(これも言い過ぎ)ような演奏で、シノポリ先生がここで表現している美意識は建築的なものではないか、と思えます。もちろん、オケの方々の技量も並々ならぬものがあると思います。聴いて損はない演奏です。

大好きな第四楽章に至ると、今度は厚みのある弦楽器群が出迎えてくれます。良いですね。この感じ。哀切で慎み深い色調に覆われています。

僕もこのタイミングで聴くことができて本当にラッキーです。「名盤はCDラックの奥に眠っている」という格言(?)は本当です。

シノポリ先生には、プッチーニ作品(マノン・レスコー)、シュトラウス作品(影のない女、エレクトラ)などでお世話になっていますが、マーラーでもお世話になりそうです。