品川をめぐる辻邦生の思い出

受験のために、東京へ向かったのが1992年のこと。宿泊は格安プランの品川プリンスホテルでした。プリンスホテルとはいえ、古い部屋で、窓も小さく、だから格安プランなんだ、と納得した記憶があります

その東京へ行くにあたっては、中公文庫の辻邦生全短篇を1冊持って行きました。「洪水の終わり」を新幹線ホームで列車を持ちながら読んだ記憶があります。

それはそうと、その品川プリンスホテルの中に入っていた小さな書店で、辻邦生の本を見つけたわけです。「霧の聖マリ」でした。ある生涯の七つの場所が中公文庫から刊行されましたが、その最初の一冊でした。その頃は、まだ辻邦生という作家のことをまだよくわかっていなかったわけですが、そうであったとしても、ここで出会ったのも縁だと思い、購入したんだと思います。

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それで、あとがきを見て驚いたのでした。辻邦生によるあとがきの最後は「高輪にて」と締めくくられていたのでした。品川プリンスホテルは高輪に面しています。そうか、ここで辻邦生の本を買ったということは、本当にすごい縁なのだ、と勝手ながら思ったものです。

辻邦生のマンションは高輪にあったというのは有名な話。逝去をつたえる新聞記事にもご住所が掲載されました。部屋は二つお持ちだったのではないでしょうか。一つは生活される部屋。もう一つは仕事部屋。エッセイの中で、夕暮れをマンションから見ていたら、変人扱いをされた、というような話も載っていたかと思います。

私は、辻邦生がなくなった1999年の後、そのマンションまで五反田駅から歩いて見たことがあります。その道は、「銀杏散りやまず」の冒頭で描かれたあの通り道だったはずです。その通り道にあった古書店で、シュティフターの「ヴィティコ」という本を見つけて書った記憶があります。

この話、以前も書いたかどうか、忘れてしまいました。

それ以外にも辻邦生と個人的な縁を感じることがいくつか会ったように記憶しています。折があれば書いてみようと思います。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

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