Apple Music,Jazz,Michale Brecker

「6月から」とされていた、AppleMusicのロスレス配信、全く音沙汰がなかったので優先度を下げていたのですが、昨夜思い立ってネットで調べてみると、ちょうど昨日から配信が始ったようです。

iOSはバージョンを14.6以降、MacOSはバージョンを11.4以降、tvOSはバージョンを14.6以降に挙げることで対応できるとのことです。

早速昨夜から聞き比べていますが、先ず気をつけないと行けないのは、優先接続でないとロスレスの音質で聞くことはできません。またハイレゾは別途DAコンバータが必要です。

私はさしあたり、ヘッドフォンで試してみましたが、そもそもヘッドフォンの音を気に入っていたこともあり、ロスレスに上がったことの効果をあまり聴きとれることができませんでした。しかし、AppleTVで、旧来音源とロスレスの聞きくらべをしたところ、さすがにこれは音質があがったね、ということがよく分りました。音の繊細さと拡がりは、やはりロスレス音源はひと味違うものと思いました。

で、悩みとは、この「優先接続でないとロスレス音質を享受できない」ということです。いままでBluetooth接続の利便性をよしとしてきた身に取っては、また優先に戻るのか、という感覚があります。もうしばらくすると新たなテクノロジによりそのあたりも佳くなるのでしょうけれど。そもそも、Appleがこのタイミングでロスレス導入をしたのはドルビー・アトモスを入れる必然性であったり、Spotifyなど競合の動向を踏まえたもののようで、ハードウェアが追付かないまま見切発車をしたという側面もあるようですから。

とはいえ、追加料金なく、ロスレスを楽しめる可能性をコンシューマが得たということは大変ありがたいことです。いろいろ工夫しつつ、テクノロジがさらに追付くの期待しながら、音楽を楽しむことにいたしましょうか。

写真は、マイケル・ブレッカーの初めてのソロアルバムをAppleMusicで表示させたところ。ロスレスのアイコンがついています。
で、聞かないわけにはいかない最後のMy One and Only Loveをひとしきり。この曲は、セッションでもよく吹いています。Bに移行するフレーズはいつもブレッカーのフレーズを使わせてもらっております。さすがに冒頭のソローは真似できないですしやらせてもらえません。ソロからメロディーに移行するところ、ソロからスイングし始める切替えの感覚もたまらないです。またなにげにいいのがメセニーのギター。この頃のメセニーは本当にいいです。メセニーのフレーズも真似して使っております。

まあ聴いていて、確かに音が良くなった気はしますね。。

ということで、今日はこのあたりで。梅雨に入らぬ間に暑い日が始りましたがが、お身体にお気をつけてお過しください。
おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz,Michale Brecker

大学時代、サクソフォーンのマイケル・ブレッカーのプレイが大好きで仕方がありませんでした。今日、Apple TVでAppleMusicをザッピングしていたところ、マイケル・ブレッカーが1995年にヘルシンキでビッグバンドとともに録音した音源が出てきました。2015年に発売された音源のようです。記録によると2018年に購入したみたいです。

 

実のところ、80年代後半から90年代前半のマイケル・ブレッカーのプレイが一番フィットする感覚があり、初代のブレッカー・ブラザーズが終わり、ソロアルバムを出し始めた頃から、再結成したブレッカー・ブラザーズの終わりあたりが、個人的には聴いていてもっとも心がひかれます。ソ連がなくなり、これからは平和な時代が訪れるのではないか、と感じた90年代前半。インターネットが出始め、これからなにかバラ色のワクワクする時代が来るのではないか、という予感。ヘーゲル的にいよいよ世界史の完成ではないか、という思いがあったころでした。私だけだったかも知れませんし、あるいは、いまから振り返って、そう思っていたと今認識しているだけなのかも知れませんが。

ともかく、やはりこの録音が1995年である、と言うことは私にとっては極めて重要で、もっとも惹かれるマイケル・ブレッカーのインプロヴァイズが聴けるという間隔があります。先鋭的に攻めるインプロヴァイズでは、聞き慣れたフレージングをエキサイティングに繰り出してくる感覚がありますし、バラードナンバーでメロウに歌う感じも実にすばらしいです。何よりサックスの音が実に良くて、太い倍音に彩られた確固とした音は、サックスという楽器は、フレージングよりなにより音質においてアドバンテージを発揮しなければならない、という思いにとらわれます。それは、楽器、マウスピース、リードと、身体的なバランス、それはつまり息の入れ方という訓練によって得られるものに加えて、おそらくは体格であったり気道の太さと行ったサックス奏者の身体的アドバンテージによって得られるものだなあと思うわけです。まあ、悪い音のサックスで、どんなに良いフレーズが吹けたとしても、さまざま難しいんだろうなあ、と思います。良い音のサックスで、フレーズが吹けない場合は、1曲だけ持つ場合はありますから。

ともかく、AppleTVで、昔聴いた音源を振り返ることができるというのはなかなかに在りがたいものだなあ、と思いつつも、余りに古い記憶が勢いよく溢れ出てしまうのが厳しい感覚は在ります。この音源に収められたInvitationもNica’s Dreamも、学生時代にコンボでやったことがあるなあとか、ブレッカーのように吹けずに(当たり前ですが)悩んだり(不遜な悩みですが)という記憶も、世界にワクワクしていた記憶とともに出てきますし。
まあ、音楽を聴くと言うことは、プルースト的に言うと、マドレーヌにおいてなにかしらを想起させるということと同じであり、さまざま折り合いをつける必要があると言うことなんだろうなあ、と思います。

と言うわけで、みなさま良い夜を。おやすみなさい。グーテナハトです。