Classical

昨日は所用で学習院大学のキャンパスにいってまいりました。学習院大学は、辻邦生師が教鞭を執っておられたゆかりの場所です。きっとこの道、この風景、この木々を眺めておられたのだろうな、と思うと感慨もひとしおでした。個人的には学習院大学には苦い思い出(受験したわけではないですよ)もありますので、なかなか複雑な気分を味わいました。

本当に暑い一日でしたが、今年の東京は、なんだか蝉の鳴き声が聞こえません。夕方に家の外に出てみると、か細く蝉が鳴いているのが聞こえたぐらい。毎年こんなものでしたでしょうか? なんとなく静かな夏という風情です。

この数週間は緑(Verdi)一色でしたので、たまにはベートーヴェンなども、と思いました。「葉っぱに埃がついたので水をかけて払ってやったでちブログ」さんのrudolf2006さんがベートーヴェンの弦楽四重奏を取り上げておられて、急に聞きたくなった次第。持っているのはアルバンベルク四重奏団の全曲盤で、10年近く前に大枚をはたいて買ったのです。どうやら最近は廉価版で出ているようですね。ショックでかいです……。

Beethoven: The Complete String Quartets
Alban Berg Quartett
EMI Classics (1999-11-16)
売り上げランキング: 11693
おすすめ度の平均: 4.5

5 永遠の金字塔
4 スタンダード

この曲の第三楽章、2分半ほどたったところのフレーズが好きで好きで仕方がないのですよ。長い音符が響き渡って、まるで川が静かに流れているのを眺めている気分だったのが、突然、典雅で優美で上品でたおやかな美しさを持つフレーズが現れる。ABQの演奏は思ったより遅いテンポでカンタービレ、みたいな感じ。7分半ほどのところでも再度登場しますが、微妙に旋律は変奏されていてふくよかな味わいを増している。四人の奏者だというのに雄弁です。これもやはりご馳走ですね。最終楽章も良いですねえ。少し愁いを帯びた旋律が徐々に上昇していって、情感がほとばしっていくのがよく見えてきます。

フランクフルトからケルンへ向かうインターシティに乗ったことがありますが、ライン川の滔々とした流れを眺めていると突然向こう岸の山の頂に古い城があるのが見えてきて、驚いたのですが、そんなことを思い出してしまいました。古き良きドイツの良心だなあ、と思います。

ABQは一度だけ聴きに行ったことがあります。やはりベートーヴェンの弦楽四重奏でした。サインもしてもらったはずなのですが、そのCDは何処に行ったのだろう……。

Opera

Salome in NNTT

昨週の水曜日の新聞に、新国立劇場の次期芸術監督人事についての記事が載っていました。今更ながらご紹介。すでにご存じのように、若杉弘さんは2010年秋に芸術監督を退き、尾高忠明さんが次期芸術監督に就任することが発表されています。2007-2008シーズンから若杉さんが就任したというのにもう次期監督ですか、と少々困惑したのですが、新聞によると芸術監督の任期は三年なのだそうです。そうすると、あと2シーズンで若杉さんが退任すると言うことになる。

うーん、個人的には「軍人たち」上演に代表される若杉さんのチャレンジに期待していただけに、残念だなあ、という感じ。あと2シーズンあるとはいえ、次期監督が発表されてしまうと、劇場の士気にも影響するのではないか、とも思いますね。

ところが、おもしろい(?)ことに、次期監督に「決まった」とされる尾高忠明さんも「そんなの聞いてないよ」という感じなのだそうです。劇場側が根回しが不十分なまま発表してしまったようなのです。尾高さん自身尾高さんは「納得できなければ辞退する」とおっしゃっているそうな。劇場側のネゴが足らなかったんですね。担当者は今頃大変だろうなあ。

理事長の遠山敦子さんは、小泉内閣で文部科学大臣になった方ですが、この方もやはり文部官僚。トルコ大使や文化庁長官も歴任しているそうです。今は官僚に対しては厳しい時代。いろいろ不祥事もあるということもありますが、それに乗じてマスコミも官僚を叩けばニュースになりますから、スケープゴートにしやすい。記事では直接遠山さんを批判してはいないけれど、記事の作りは時流に乗った(?)ものとも言えそうです。