辻邦生の日本的な側面によせて


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昨日、「浮舟」について書きましたので、それに関連したことを。

私は、某大学の国文科を受けました。一次試験は通りまして、面接を受けたのですが、まあそこで落とされましてた。面接に際して、試験官に「大学に入ったら、辻邦生の研究をしたい」といったところ、試験官に「最近は、日本のものを書いているようですね」言われたのです。確かに、当時、ちょうど「西行花伝」が連載中でした。ですが、わたしはまだ「西行花伝」に到達しておらず、「そうですね、『嵯峨野明月記』とか、『江戸切絵図貼交屏風』とかですね」と答えたはずで、それが理由かどうかはしりませんが、二次試験で落とされたというわけでした。

まあ、辻邦生の研究室をしたいのなら、フランス文学か哲学をとったほうが良いと思いますし、実際通った哲学科で触れた西欧的な教養や西田哲学のほうが辻文学の理解の助けになっていると思います。

そういうわけで、国文学には縁がなかった?ので、おそらくは「西行花伝」は難しい部分があるのです。あの幽玄な和歌の世界は、さすがに私のリテラシにはないもので、ほんとうに理解できているのか、と思うことがあります。「西行花伝」に現れる西田哲学的な要素は理解ができるのですが。まあ、確かに、古文は苦手科目でした(文法の暗記ばかりだったのと、先生と馬が合わなかったから?)。だから国文科の試験に落ちたとも言えます。

辻文学のすごいところは、西欧的な要素に加えて、日本的要素が多分にあるところだと思います。「嵯峨野明月記」に現れる豊かな語彙は、おそらくは、「背教者ユリアヌス」や「春の戴冠」とは異なる古文的な語彙群で形成されています。また「風越峠にて」のなかに現れる万葉集の解釈は本当に素晴らしく、古文の教科書を超えた小説家の想像力が花開いたものだ、と高校生ながらに感動したものです。

数ヶ月前から「西行花伝」を、もう一度読もうとしながら、なかなか進むことができないのは、時間が取れないということもありつつ、わたしのリテラシの問題も、あるのかもと思うのですが、私も齢を重ねましたので、そろそろ国文学の機微がわかるようになり始めているかもしれず、あきらめずに読まないと、と思います。

そういえば、辻邦生のエッセイの中に、日本の古文書を読むのに苦労する、といったこととが書いてあった記憶がよみがえりました。活字化されているのは問題ないが、草書の古文書は難しい、といった内容だったでしょうか。

今日もいろいろと書きましたが、やはり、読む方も頑張らないと、と思いを新たにいたしました。

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