構造の楽しみ──クリストファー・プリースト「双生児」

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いや、本当に面白かったです。私はどうも文学というものの最新動向をまったくおさえていないという状況なのですが、ともかく、この本は、物語の面白さとともに物語構造の面白さの双方を兼ね備えていて、ストーリーとストラクチャーの両方で、読者を引き込むというものなのだ、と思いました。昔ながらの論理だったストーリーであれば、その牽引力はストーリー自体が持っているのですが、この「双生児」においては、物語構造それ自体が読者を引き込む力を持っていて、次はどうなるのか、という高揚感を、構造自体が産み出しているように思います。

私は、かつて見た《ラン・ローラ・ラン》という映画や、J・P・ホーガンの「プロテウス・オペレーション」を思い出しながら読みました。

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あまり書くとネタバレになりますので書きませんが、もしこれから読まれる方がいらっしゃるとしたら、以下の点に注意された方が良いかと思います。

一つ目は、短期間で集中的に読まれることをお勧めします。私は、ずいぶん長いことかかって読んでしまいましたので、構造の持つ仕掛けのようなものに気づかないことがあったのです。もし短期間に、可能であれば、集中して一気に読んでいれば、そうした面白さをもっと感じられたのではないか、と思っています。

二つ目は、ぜひ第二次大戦における欧州戦線の歴史的経緯や、ナチスドイツに関する基礎的知識は持っておいたほうがよさそうです。そうすると、実際の歴史と、物語の関係性をより楽しむことができるでしょう。もっとも、歴史とはそれ自体物語です。ドイツ語でいうと歴史も物語も同じ言葉です。そうしたことも何か思い出しながら楽しむことができるでしょう。

三つ目は、解説を読むタイミングです。さすがに解説は素晴らしいのですが、解説もやはりそれは一つの解釈です。私も解説に助けられて、長期間にわたって読んでしまったディスアドバンテージを補うことができました。ただ、ついつい興味本位で安易に解説へのページをめくってしまったというった方がよさそうです。そうではなく、解説の前に自分なりの解釈を文字に落とすなどして、解説との知恵比べをするぐらいの方がよさそうです。

個人的には、本当に示唆に富んだ気づきをもらいました。それも大きな示唆をもらった気がします。

今日も、《トリスタンとイゾルデ》を聴いて過ごしました。酔いますね、これは。

というわけで、今日はこの辺りで。おやすみなさい。グーテナハトです。

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