クラウディオ・アバド 静かな革命家
昨日、久々に、池袋のジュンク堂に行って、いつものように、9階にエレベータで上がり、一階ずつ降りて行きながら、さまざまなジャンルの本を渉猟するということをやりましたが、冒頭の9階で見つけたのが、クラウディオ・アバドの伝記とも言えるこの本で、何を聞くにもアバドに戻ってきてしまう私は、早速と買ってしまったのでした。最初に、ベルリンフィル退任界隈の章をざっと読みましたが、なるほど、そういう形でベルリンフィルをやめ、ルツェルンの仕事を進め、スカラ座で振ったりしていたのか、と、舞台裏を見るような感じでした。芸術性と人間性は必ずしも一致しないこともあるのかも知れませんが、描かれるアバドの姿は、西欧の規範である真・善・美からなる美しい均衡が感じられるものだと思います。音楽は人生のとって大切なものの一つ。このウェブログは長く辻邦生の文学について考えてきましたが、辻邦生のいう「美が世界を支える」というのは、これは本当に真実なのではないか、と思っているのですが、ほんの帯に書かれたアバドの言葉もまた、真実である、と確信するものだと思います。久しくこうした思いに身を寄せる機会を喪っていましたが、時代がどんどんと変わる中にあっては、こうした世界の根源を目指すことに力を入れないといけない時期なのかも知れないと思います。
それではまた。おやすみなさい。グーテナハトです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません