クラウディオ・アバド 静かな革命家
昨日、久々に、池袋のジュンク堂に行って、いつものように、9階にエレベータで上がり、一階ずつ降りて行きながら、さまざまなジャンルの本を渉猟するということをやりましたが、冒頭の9階で見つけたのが、クラウディオ・アバドの伝記とも言えるこの本で、何を聞くにもアバドに戻ってきてしまう私は、早速と買ってしまったのでした。最初に、ベルリンフィル退任界隈の章をざっと読みましたが、なるほど、そういう形でベルリンフィルをやめ、ルツェルンの仕事を進め、スカラ座で振ったりしていたのか、と、舞台裏を見るような感じでした。芸術性と人間性は必ずしも一致しないこともあるのかも知れませんが、描かれるアバドの姿は、西欧の規範である真・善・美からなる美しい均衡が感じられるものだと思います。音楽は人生のとって大切なものの一つ。このウェブログは長く辻邦生の文学について考えてきましたが、辻邦生のいう「美が世界を支える」というのは、これは本当に真実なのではないか、と思っているのですが、ほんの帯に書かれたアバドの言葉もまた、真実である、と確信するものだと思います。久しくこうした思いに身を寄せる機会を喪っていましたが、時代がどんどんと変わる中にあっては、こうした世界の根源を目指すことに力を入れないといけない時期なのかも知れないと思います。
それではまた。おやすみなさい。グーテナハトです。
ディスカッション
上川様。
お久しぶりです。私、クラウディオ・アバドという指揮者のあまり良い聴き手ではなかったのですが、
やはり一時代を築いた名匠だな、という気がします。
無論すべての音源を聴いたわけではありませんが、ウィーンフィルのマーラー3番、ウィーン国立歌劇場の
ベルクのヴォツェック、ロンドン響を振ったラヴェルなどが好きです。
ポリーニやアルゲリッチと組んだコンチェルトの録音も。
「美が世界を支える」、いい言葉ですね。
私事かもしれませんが、34年ぶりに「フーシェ革命歴」を読んでいます。
文字通り寝食を忘れることさえあるほどの面白さですね。
まだ「革命歴Ⅰ」の第五章ですが。
ガキの頃は、「面白い、面白い」だけで読み進めていたのですが、
そしてそれも幸福な読書体験だったのですが、今再読してみると、
辻先生が、この超大作で目指したのは、初期トーマス・マン風の緻密さと、
バルザック、ディケンズ風の壮大華麗な社会派小説の融合だったのかな、
なんて思ったりしながらのこれも幸福な読書タイムです。
季節の変わり目です、どうかご自愛ください。
越後のオックスさん、すみません、返信遅れまして。。そして、ご無沙汰しております。
フーシェ革命歴、いいですね。。当時、読みながらフランスの日差しを感じたのですが、懐かしい思い出です。
さすが、マン、バルザック、ディケンズと評されるのは素晴らしいです。季節も穏やかになってきましたので、読書日和ですね。
私は、仕事関係の読書、情報収集に追われてしまっていますが、そろそろ本業に戻りたいな、と思う今日この頃です。。。。