アレクサンダー広場の少し西側、鉄筋コンクリート造りの古い郵便局にテレホンカードを買うべく入って行った。怖そうな窓口婦人がこちらを睨みつけて早くこっちに来い、と怒鳴っていた。どうやら若干ご機嫌がわるいらしい。慌てて彼女の窓口へ向かう。ここに来るまでに何度も反芻していた言葉(「ここでテレホンカードを買うことは出来ますか? Kann man hier Telefonkarte kaufen?」)をゆっくり口に出してみる。彼女は大きく、もちろん、とうなずき、「50マルク、○○マルクがあるけれどどっちにするのよ?」と尋ねてきた。国際電話で使うのだから「50マルク御願いします」と答える。彼女は「わかったわ」と50マルク分のテレホンカードをカウンターに差し込み、度数が確かに50マルクであることを示す。「ありがとう」「どういたしまして…」。こうして東ベルリン郵便局での老獪な窓口婦人との戦いは終わった。テレフォンカードにはペルガモン博物館の美しいアラビア絨毯の写真が印刷されていた。時刻は丁度17時。郵便局内の電話で日本へ電話をかけた。「今東ベルリンにいるんだわ…。」