バックステージツアーに当選しました。やっとです。本当に。ありがたくいろいろお話を伺ってきました。こちらは舞台からのながめ。歌手の方はこんなかんじで眺めておられるのですね。
毎日短信ですいません。まったく時間配分が巧く行きません。
さて、《アラベッラ》の最初は、新しめのオペラの例にならって、序曲なんていうものはありません。
突然音楽が始まります。
幾つもの下降旋律が折り重なったのちに、神経質なヴァイオリンの小忙しいフレーズと、クラリネットの気が抜けるような上昇旋律につづいて、占い師のおばさまが、トランプ占いの結果を語り始めます。
この占い師のおばさまのところが序曲なんですね、なんてことを思いました。《アラベッラ》物語をずいぶんと要約して予告していました。
古いイタリア・オペラだと、序曲があって、オペラ全体から美味しいフレーズを先んじて演奏して、期待を高めたりします。これからの予告編、ダイジェスト、そんな感じです。
アラベッラは、それを劇中の歌詞でやっているのかあ、なんてことを思いました。
やはり、なんというか、オペラというのはあらすじがわかりにくいこともありますので、ある程度の予備知識は必要なんでしょうね。
どこかの本によれば、ヨーロッパでは、親が子どもにあらすじを教えたりしていたようです。
が、新作オペラだとそうはいきませんからね。
今日は足が疲れて、夜になるとむくんでしまいました。どうも昨日4時間座り続けたからかもしれません。
ではグーテナハト。
そうか。アラベッラには序曲があったのか。。
《短信》アラベッラ、素敵でしたよ。
アラベッラ、行ってきました。ベルトラン・ド・ビリーの爽快で洒脱な音作りを堪能しました、アンナ・ガブラー、アニヤ=ニーナ・バーマン、ヴォルフガング・コッホ、マルティン・ニーヴァル、安井陽子さん、みなさん本当に素晴らしかったです。
なんだか、フィアッカミリの安井陽子さんが素晴らしかったですね。なんだかどんどんパワーアップしている気がします。
あとは、東フィルのオーボエの音が素晴らしかったです。張りはあるけれど優しくかつ繊細。かなり感動。多分、荒川文吉さん。昨年の第82回日本音楽コンクールオーボエ部門で二位になった方。
終幕後、バックステージツアーで4年ぶりに舞台に上がり、その後新宿で所用をこなしたため、遅くなってしまいました。明日以降引き続き書きます。宿題ばかり。
ではグーテナハト。
※ こちらの写真は今年の冬のものです。
Kindleで読む辻邦生 その1
今日もKindleで以下の二冊を読みました。本当に便利です。Kindleといっても、iPhoneのKindleアプリです。本当はKindle Paperwhiteを使いたいのですが、会社に持ち込めないので。
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この本は、辻邦生の小説の作り方が平易に書いてある本です。小説をかかない人間にとっても、物事を感動するにはどうしたらいいのか、ということがよくわかる本だと思います。
辻邦生は、夕暮れの美しい日にはマンションの屋上にあがって夕暮れを眺めていたようですが、マンションの住人からは変人扱いをされていたそうです。そういう日々の生活の中で感じる美しさというものを味わうことができるかどうか、というのが大事で、辻邦生の小説はそういう生きる上で大事なことを教えてくれる本なのだと思います。
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昨日紹介した「「たえず書く人と暮らして」辻邦生と暮らして」でも、辻邦生の小説の制作風景をかいま見ることができます。あんなに美しい小説群の裏側には、血のにじむような努力と、天才のひらめきが隠されているということを改めてかじることができます。
二冊ともKindleで購入可能です。スマホをお持ちの方はKindleアプリでもご覧になれますよ。是非。
その2はしばらく先かもしれませんが、多分書きます。
ではグーテナハト。
辻佐保子「たえず書く人」辻邦生と暮らして
近所の畑を夕暮れ時に撮りました。おそらくはじゃがいもの花。ボケ味がいまいちかも。どうも望遠レンズが故障しているらしく、いまいち巧く取れていません。この後どうしよう。修理すると高いし。
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Kindleで辻邦生の奥様である辻佐保子のエッセイを買いました。このエッセイは、辻邦生全集の月報をまとめたものです。辻作品の解題としては、傍らにいた方ですので幾つもの種明かしが詰まっていて、とても興味深いのです。あのシーンは本当にあったことなのか、といった驚きのようなものを感じるとともに、小説家辻邦生の創造力と想像力がいかにすさまじいものであるか、ということをよく理解できます。
究極的な美をめざ創造が、いかにして最終的な魂の救済をもたらすかという重い倫理的な課題、エステティカとエティカの相克に、辻邦生はたえず挑戦し続ける。
91ページ
学生の頃、現在東大名誉教授でいらっしゃるY先生の授業に出たことが会って、その時に新カント学派の真善美について話をしたら「いま、そんな真善美なんてのを信じているの!!」と驚き笑われた記憶があります。
「美が世界を支える」という辻邦生のテーゼは、真善美という古代ギリシアからの価値を、体得したものなのだと思います。それが、このエステティカ=美学とエティカ=倫理学の問題なのでしょう。エステティカが失われ、エティカが失われたら、その次に来るのはアレテイア=真実が失われるということでしょうか。
意外にも、「ある晩年」や「小説への序章」で描かれるギリシア賛美は、その後姿を変えていくようです。その辺りの変遷についての示唆が書かれていたのもこの本を読んだ収穫でした。(といっても二回目のはずですが、前回は気づかなかったのです)
やはり、辻邦生は私にとって大切な方です。今日も読んでいてボロボロ落涙しました。年をとったということもあるんでしょうけれど、素直に賛成できるから落涙するだろうなあ、と思います。
ではグーテナハトです。
新国立劇場《カヴァレリア・ルスティカーナ》&《道化師》その2
早いもので五月も後半です。月日は高速で過ぎ去ります。
週末にみた《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》について引き続き。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》のほうから。
やはり、フラッカーロはうまい。あの凄まじい張りのある声は、パヴァロッティにもドミンゴにもない持ち味です。もしかするとデル=モナコなのかもしれない。
フラッカーロの忘れられないパフォーマンスは、新国のオテロです。あの時は、あまりの凄さに驚き、いい意味で「あいた口がふさがらない」という状況でした。今回もやはりでした。
サントゥッツァを歌ったルクレシア・ガルシアも素晴らしかったですよ。潤いのある声で、声量もたっぷり。贅沢です。あとはローラを歌った谷口さんが素晴らしいです。声質がヨーロッパの歌手の声に似ていて驚きました。
youtubeに新国立劇場が《カヴァレリア・ルスティカーナ》の映像を載せていました。フラッカーロは1分20秒ぐらいから登場です。
イタリア・オペラは本当にいいなあ。
ちなみに、映像の冒頭に出てくるキリスト像、なんだか面白いです。これはまた明日以降書きます。
ではグーテナハト。
新国立劇場《カヴァレリア・ルスティカーナ》&《道化師》その1
徐々に体調も回復してきてやっとまっとうにオペラが楽しめるようになってきました。体は疲れてますし、昨夜はたまたま観た映画(Cast Away)を見てしまい夜更かししてしまったんですが、特に眠気にさいなまれることもなく、劇に引き込まれた3時間でした。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》も《道化師》もヴェリズモ・オペラですので、色恋刃傷劇で、愛憎にまみれて人が男人も死ぬんですが、悲劇はカタルシスですので、心が洗われた気がします。多分。
舞台には、シチリアに遺されたローマ時代の円形劇場が設えられています。これがまたリアルすぎでした。左手にはオリーブの古樹があって、ギリシア風の円柱の残骸がいくつかころがっているという、まあアルカディアのような風景です。本当にリアリティのある舞台でした。
《カヴァレリア》も《道化師》もおなじくこの円形劇場が舞台ですが、なにか共通の趣向があるわけではありませんでした。たとえば、《カヴァレリア》事件の夜に《道化師》事件がある。あるいは、《カヴァレリア》の登場人物が《道化師》の脇役で出演する、といった繋がりがあるとまた面白いなあ、などと想像していたのですが。
《道化師》はなかなか面白い趣向です。サーカス一座の登場は、ありがちではありますが、キャストが客席から登場します。専用のビラまで配ってました。それからカニオは、殺人を犯したあとに、客席のドアから逃げ出します。これも舞台と客席がつながっていました。こういう客席と舞台の一体感は楽しいですね。この客席と舞台の融合をずっと続けるパフォーマンスがだともっといいですね。
《道化師》はよくよく考えると第四の壁を最初から取り除いているのですね。トニオが役者の心情を切々と歌い上げますが、それは劇中の役者の心情なのか、実際の歌手地自身の心情なのかが曖昧になってくる、という趣向は、これも常套ではありますが、興味深いものです。
それから、後半の劇中劇の場面も面白いですよね。劇と劇中劇が混在していきますので。劇ではネッダとシルヴィオが不倫関係に有り、劇中劇ではコロンビーナとアルルカンが不倫関係にあり、被害者はカニオということで、混乱しているカニオは、両者の区別が付けられなくなってしまう、という、ありがちですが、そうした混乱の緊張感は手に汗を握りますね。カニオの逸脱を、ネッダがなんとか元に戻そうとするあたり、とか。
ともかく、劇と劇中劇においても虚構と現実の境目が曖昧になるということは、劇と観客の境目も曖昧になっているように感じられ、観客が引き込まれやすい構造になっていました。
とりいそぎグーテナハトです。明日も書きますね。
夢の風景二つ
一つ目の夢の風景。
日枝神社に参詣する老夫婦のシーン。こういうのが日本人の原風景なのかもしれない、と勝手に思っています。先日イギリス人と話をしたとき、神社に参拝したという話をしたのですが、本当に信じているのか? と問われて困りました。
まあ、神社で何かを祈念するというのは、神に祈るというより自分に向けて決意を新たにするという側面が強いのでしょう。そういう意味では、効果はあるはずで、信じているということもあたっているのかもしれません。
この鳥居は山王鳥居というらしく、日吉大社系列の日吉神社、山王神社などに共通の鳥居です。街なかでは有りますが神々しいものです。
二つ目の夢の風景ですが、これがまた奇妙でした。
昨日の明け方に観た夢です。
妻の実家からレコードが発見され、それが渡邉暁雄の《運命》の幻の録音、という設定でした。
聴いてみるとこれが凄い演奏でした! ちゃんと音が聴こえていたでsが、実にビビッドな演奏でした。テンポは中庸から少し速いぐらいで筋肉質なたくましい演奏でした。だれたり、もたれたりしない。リタルダントやディミヌエンドを使うことがないが、エッジが聞いていて、要所要所が素晴らしい、そんな演奏でした、
偉そうな夢の中の私は「これは人類の宝だ!」と言うわけです。全く。。。
で、現金なもので、この演奏をCD化して収益をあげよう! という話になるところが、いかにも市民的な発想で申し訳ないです。
今日はこちら。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、沸き立つように素晴らしいです。聴いたのは10年ほど前。それまで苦手だったハイティンクですが、このCDを聴いて好きになった記憶があります。
ユニバーサル ミュージック クラシック (2005-06-22)
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ではグーテナハト。
妄想のオーボエ その17 再起動し引き続き苦闘中。
はじめに
異次元な多忙で、楽器を吹くのも儘なりませんでしたが、GWあけのとあるプロジェクトの〆切も終わりましたので、本格的にオーボエ再開しました。
それにしても本当に難しい楽器です。何回も繰り返しますが。サクソフォーンがいかに合理的なのか、ということを事あるごとに思い出しています。
最大の課題
最大の課題はフィンガリングです。
未だにキーを押さえられない、という状況す。キーには穴があいており、これを塞がなければなりませんが、サクソフォーンにはそんな面倒なことはありません。指で少しキーを抑えてやればいいんです。が、オーボエは、キーを抑えるだけではなく、キーに会いている穴も押さえなければなりません。
こんなことは、これまでやっておられた方には、常識なんでしょう。
指の形を覚えこませるまで練習すれば良いということはわかっていますので、あとは演るだけなんですよね。
で、数カ月前に、ebayで、セルマーのABS樹脂製のオーボエを落としました。木製オーボエは、屋外で吹くと割れて壊れますが、ABS樹脂は屋外で吹いてもOKなんですね。しかも左Fキーがついてるモデルを選びましたので、フィンガリングの練習にはなるのです。5万円ぐらいでした。
国内で売っているABS樹脂オーボエは左Fキーがありませんし、値段も10万円を超えますので、いい買い物をしたとおもいます。ただ、国内で調整してくれる楽器屋さんはないでしょうね、きっと。。
これを持って、昼休みに近所の運河で練習することにします。
アンブシェア・ビブラート
最近のレッスンで改めて思ったのは、アンブシェアの圧力を緩めるということ。緩めつつ、喉を開き腹筋で支えるということ。これも最近やっと分かるようになりました。喉を開く、というのはサクソフォーンと同じですので、この辺の感覚はずいぶんわかりやすいです。
あとは、サックス以上に高音域と低音域でアンブシェアや喉の開きを変えなければならないということです。これは頭ではわかっていますがついつい忘れがちです。まあ、フィンガリングで穴が塞がらない問題が先で、そこまでケアできていないだけなんですが。
サックスでは顎でかけるビブラートも、オーボエは腹筋でかけます。これも課題です。ビブラートをかけると途端におとがみずみずしくなりますので、はやくまっとうにかけられるようなりたいものです。
というわけで、引き続きがんばります。
では、グーテナハト?です。
《短信》初夏燦々
五月も半ばにさしかかってきました。短い春もそろそろ終わるのでしょうか。
今日はこちら。ジャズを逸脱した素晴らしさで、織りなすパターンが何度も何度も色合いを変えるさまは見事です。四楽章の交響曲のようなものかも。
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ではグーテナハト。
スティーブン・キング「書くことについて」
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最近、ペーパレスと自動化を進めようとしています。それはこの方の影響です。ジェイミー・ルービンというアメリカの作家の方です。
http://www.lifehacker.jp/2014/03/140312how_i_work.html
この方が、キングの本を読んでいるというので、私も少し読んでみることにしたのです。
まだ全部読めていませんがなかなか興味深いです。ともかく、余計な表現を削れ、とか、そういう教訓は、私も常に感じていることですので、共感したり。
まあ、私の場合はブログを書いて、書評を書いて、という生活なので、ストーリーテリングの観点はあまり必要ありませんけれど。
キングの本はかつて何冊か読んだことがあって、まったくぶっ飛んだかたなんだろうなあ、と思っていましたが、やはりそうでした。でも、これぐらいぶっ飛んだ人はいなくもないわけで、やはり努力を続けたからなんだろうなあ、とも思います。
なんだか紙の本を読むのは久しぶりです。なんちゃって。
結構お勧めです。あ、少し刺激は強いです。
ではグーテナハト。