Miscellaneous

ゆく年くる年2012

今年も早いものであと2時間で終わりです。

今年も沢山の方々のお陰で、音楽を楽しんだり考えたりすることができました。ありがとうございました。

今年の振り返り

というわけで、今年の振り返りを。

私の場合、どうしも新国立劇場が中心になってしまいます。

新国立劇場に初めて行ったのは2002年秋のことでした。それから10年も経ってしまいました。いつまで経ってもオペラの奥深さに驚かされ続けますし、勉強も道半ばです。

IMG_1638.JPG

今年の新国立劇場も本当に素晴らしいパフォーマンスに恵まれました。

今から振り返ると私としては以下の5演目が上位でしょうか。

1. ピーター・グライムス

2. オテロ

3. ローエングリン

4. トスカ

5. セビリアの理髪師

ピーター・グライムスを観た10月は仕事がめちゃめちゃ忙しかった時で、毎週末徹夜していたんですが、ピーター・グライムスを見に行くために、徹夜明けで3時間ほど仮眠をとって、黒にんにくを食べ、レッドブルでドーピングして、観たのですね。そういう不安定な時期に観たからというのもありますが、私はもう涙が止まらなかったです。

 

オテロもすごかったです! オテロを歌ったフラッカーロと、イアーゴを歌ったババジャニアンのバトル。あそこは一生忘れないと思います。急遽交代のマリア・ルイジア・ボルシの柳の歌が忘れられません。初めてヴェルディに感動した舞台だったと思います。

ローエングリンのフォークト体験も素晴らしかったです。バイロイトと同じ役を日本で見られるということに感謝しています。あとは、フォークトにサインも貰いましたよ。フォークとは来年も来ますのでほんとうに楽しみでなりません。

今年も、日本フィルの定期演奏会にも何度か行きました。最近の演奏会で、まだ印象が残っているからかもしれませんが、マイケル・フランシスが、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」とチャイコフスキー交響曲第4番を降った12月サントリー定期が印象的でした。マイケル・フランシスは只者じゃないかも。

 

来年の展望

来年も色々楽しみな年になりそうです。2月には新国立劇場で「タンホイザー」がありますし、4月の東京春祭では「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を見られそうです。新国立劇場の2013/2014シリーズではコルンゴルト「死の都」が登場しますし。

日フィルで言うと、3月末のアルプス交響曲が楽しみです。

ジャズももう少し聴けるといいなあ、とおもいます。

最後に

今年の更新率はあまり高くないですね。。来年は上を目指せるようがんばります。

それでは、良いお年を!

 

追伸:紅白でみたMISIA、すごかったっす。

Classical

1月のプレミアムシアターの予定を。オペラはありません。

http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

1月14日(13日深夜)

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団日本公演

ベートーヴェン全曲演奏会 第1弾

<2012年11月26日収録>

  • 交響曲第4番変ロ長調作品60
  • 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」

<2012年11月27日収録>

  • 交響曲第1番ハ長調作品21
  • 交響曲第2番ニ長調作品36
  • 交響曲第5番ハ短調作品67

1月21日(20日深夜)

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団日本公演

ベートーヴェン全曲演奏会 第2弾

<2012年11月30日収録>

  • 交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
  • 交響曲第7番イ長調作品92

<2012年12月1日収録>

  • 交響曲第8番ヘ長調作品93
  • 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」

1月28日(27日深夜)

  • ベルリンフィルのジルヴェスターコンサート2012
  • ドレスデン国立管弦楽団のジルヴェスターコンサート2012

 

ドレスデン国立管弦楽団っていうのは、シュターツカペレドレスデンのことだと思います。この「国立」という表記がいつも気になります。いまは州立なはずなんですが。ウィキペディアでは、現在もドイツの州の自治が強く国的要素が強いので、州立であっても国立と表記するのである、とありますけれど。細かいことですね。すいません。

Music

さすがに、ここまで聞いていると、自分史的にも重要になってきたので、書くことにしましょう。

私の敬愛するマイケル・ブレッカーのCDを集めていた頃のこと。

古内東子のアルバムStrengthにマイケルが参加しているということで、入手しましたが、あまり活躍していなくてがっかりしたのが、10年前のこと。

で、昨年の今頃、引っ越荷物の片付けで出てきたこのCDを何気なく聴いて見たんですが…。

めちゃ良いんです!!

このアルバムは、マイケル・ブレッカーだけでなく、ランディ・ブレッカーや、デイヴィッド・サーンボーン、ウィル・リー、オマー・ハキム、チャック・ローブ、ボブ・ジェームスなんていう。ジャズ系ミュージシャンの紅白歌合戦状態なわけです。

サウンドも最高ですが、旋律、メロディもカッコ良くて、バップフレーズによく出てくる進行が現れて、唸ったりすることがしばしば。

歌の方は、私は門外漢なので良くわかりませんが、このアルバムはいいのかもしれません。別のアルバムでは、別の評価になるかも。

やっぱり、こうしたサウンドを作り出す古内東子の審美眼とか趣味が素敵だ、と思います。

私は歌を聞く時には歌詞を聞くことができません。どうもサウンド全体か、ベースラインを聞いていることがおおいです。なので、古内東子が恋愛の教祖などと讃えられているようですが、私の場合、歌詞よりもサウンドのほうが重要なようで、どうもそちらの方はあまり気になりません。

まあ、古内東子を聞いて勉強するのはありだと思います。

続くかもしれません。。

Photo

以前から撮りためていた新国立劇場の写真から。劇場前の池と階段です。

浅い池に水を張って、海や湖、川などをを想起させる手法は、最近良く見かけます。私にとっては新国立劇場で見たのが初めてでした。

オペラの演出でも舞台に水を張ることがあります。新国立劇場だと、オテロ、ヴォツェックがそうでした。

水面を見るだけで、その下に無限の空間が広がっているような気分になります。底なしの無限の空間は、劇の背後広がる無限の解釈多様性を象徴しているように思えます。

Tsuji Kunio

森さんは日本人が文化の上澄みをすくい取って、それで文化摂取が出来たと思い込む態度に絶望感を抱いていた。文化は、結果ではなく、結果に至る前経験が大事なのだ。

辻邦生「薔薇の沈黙」 7ページ

巨大な経験の堆積であるヨーロッパ文明というものが、こういう人間経験の無限の循環過程、その複雑な発酵過程だと言うことに思い至ったとき、僕はなんともいいようのない絶望感に襲われる。歴史とか、伝統とか、古典とかいう言葉の意味が、もう僕にはどうしようもない、内的な重みをもってあらわれてくる。

森有正「バビロンの流れのほとりにて」 152ページ

 

西欧文明を理解するなんていうのは、まったく、途方もない話です。

すでに不可能なことは分かっています。試みようとすれば、ろうそくに近づく虫のように焼き尽くされて命を失うことは分かっています。ですので、適度に距離を保って、周りを旋回するしかないわけです。っつうか、危うく焼き殺されるところだったことも。危ない危ない。

辻邦生も森有正も西欧を徹底的に考えた方で、こういう文章の重みは、支えきれないほど。

因果なことに、なんで、西洋音楽を聴いているのかなあ、などと。

ファイル:Catherine de Medicis.jpg

先日も、イギリス人に「日本料理は他国のまねだ!」と言われて、非常に腹が立ちまして、イギリス料理批判をしようとしましたが、そこは思いとどまり、「そもそも「独自性」とはなんだ!」と居直って、フランス料理がカトリーヌ・ド・メディシスによってフィレンツェからもたらされことを指摘して、世界に名だたるフランス料理ももともとはイミテーションであると規定し、溜飲を下げました。写真がそのお方。ロレンツォ・メディチの孫娘で政略結婚でフランス王家に嫁いだお方。

音楽も、日本において受容され、そこで引き続き「発酵」を続けているわけで、その「発酵」の過程を見ているのだ、という解釈が、先鋭的ではない解釈なんでしょうね。

明日は、久々の完全オフ。大掃除と年賀状にいそしむ予定。

Tsuji Kunio

真に生きるとは、たえず不安、危懼、懸念に心がゆさぶられ、日々を神仏に祈りたい気持ちで過ごすことでなければならぬ。不動心を得たいというのは、誰しもが念願することではあるけれど、高齢になって世の名利の外に立ち、常住平静の心境に立ちいたってみると、若い迷妄の時こそが、生きるという、この生臭い、形の定まらなぬものの実体であったと思い知るのである。

嵯峨野明月記 から。

確かになあ。

いろいろあった頃のほうがきっと充実していたのでしょう。いまもいろいろあるのだけれど。

明日でいったん戦線離脱。昨年のクリスマスは仕事でしたが今年は自宅謹慎の予定。

Opera

年末は特別番組が目白押しです。

スカラ座公演が4日連続放送です。これは確保しないと。

http://www.nhk.or.jp/classic-blog/

12月25日 23時45分から 「シモン・ボッカネグラ」

バレンボイム、ドミンゴ、ハルテロスですね。

12月27日(26日深夜) 0時40分から 「ピーター・グライムス」

ティッツィアッティ、ホール

12月28日(27日深夜) 0時から 「カルメン」

ヨナス・カウフマン、バレンボイム

12月29日(28日深夜) 0時15分から 「ジークフリート」

これもバレンボイム。

 

っつうか、いつみられるかな? 年末年始?

Richard Strauss

もっとも家庭的でないと思われるが、じっくり聞くと実はえらく家庭的すぎて思わず恥ずかしくなるぐらいな、リヒャルト・シュトラウスの「家庭交響曲」。

今週末のらららクラシックで放送ですね!

http://www.nhk.or.jp/lalala/next.html

 

ゲストは広瀬大介さん。

私、フォローしてるんですが、いつも勉強になります。

どんなお話をされるんだろう。

 

家庭交響曲について、クラシック雑誌の紹介記事風に書いてみた記事はこちら。

https://museum.projectmnh.com/2012/03/05231721.php

 

プレヴィンがN響を振った家庭交響曲の模様はこちら。

https://museum.projectmnh.com/2009/10/21050407.php

※つうか、昔のブログ、字が多すぎだ。。

 

今週末はシュトラウスな天皇誕生日になりそうです。