最近、読書の話題がないのですが、本を読んでいないというわけではありません。
先週は、文芸誌を図書館から借りて読みふけっていました。辻邦生さんの本ばかり読むのも少々偏っているかな、と思ったと言うのもあります。
文芸誌自体、読むのは久しぶり。大学の頃ちらりちらりと読んでいたとき以来ですね。
オペラで言ったら、ガラ・コンサートみたいなもので、沢山の作家さんの色とりどりな小説を読むことが出来るというのは刺激的でした。そういえば、あの芥川賞作家もあの直木賞作家も読んだことなかったなあ、と言う感じで、新鮮な感動が沢山でした。松本清張や井上靖の短篇もたまたま読むことが出来て、読む愉しみを堪能することが出来ました。
今週は後半に本に戻ってきました。それについては明日書くことにいたしましょう。
読書徒然
徒然──オペラと時代小説──
Verdi: La forza del destino Giuseppe Verdi、 他 () Emi Classics |
今日も会社の行き帰りにオペラの予習をしました。ムーティが振る「運命の力」です。強力ですね、ムーティ氏。序曲だけでもうお腹一杯という感じ。力を入れるところ、抜くところがしっかりしていて、何を言いたいのかがよく分かります。まずは聞き込んで旋律を暗記しないといけません。
木戸の椿―公事宿事件書留帳〈2〉 澤田 ふじ子 (2000/12) 幻冬舎 |
先日もご紹介した澤田ふじ子さん「公事宿事件書留帳の二巻「木戸の椿」を読んでいます。澤田さんのプロットは独特です。起承転結ではなく、起承転……という感じで、結を仄めかしたり、読者の想像に任せたりという感じで、不思議な余韻を感じさせてくれます。主人公の田村菊太郎は、頭も切れて、腕っ節もあって、それでいて浪人もので気ままに居候などを決め込んでいる、男性から見ても女性から見ても理想的な男性です。女性だからこそ描けるヒーローなのかもしれません。それでいて平板さや冗長さがないのには驚きます。もっとも、男性が作者なら少し弱点を持ったヒーローにするのではないでしょうか……。舞台は京都なので、京言葉が台詞に登場しますが、これがまた良い味を出しています。昔京都に住んでいたものとしては懐かしい限りです。女性が京言葉を話すときの婀娜っぽさと言ったら! と言う感じです。
時代小説徒然
さぶ 山本 周五郎 (1965/12) 新潮社 |
闇の掟―公事宿事件書留帳〈1〉 澤田 ふじ子 (2000/12) 幻冬舎 |
「江戸切絵図貼交屏風」を読んでからと言うものの、時代物小説に少しく興味が湧いてきています。澤田ふじ子「公事宿事件書留帳」シリーズは、NHKの木曜時代劇で放映していることもあって読んでみることに。まずは第一巻「闇の掟」。京都弁が洒脱で、読んでいる最中は、会社で関西弁使っていました。プロットの作りも申し分なし。面白い。
それから古典である山本周五郎「さぶ」を再読。いやあ、こんな話だったかなあ、と言う新鮮な驚きと感歎。これはビルドゥングスロマンですね。今も昔も変わることのない人間社会を、透徹としたまなざしで見遣るあたりが凄い。歳をとってから読むと若いときと違う思いを抱くものですね。