Opera,Richard Strauss,Vocal

はじめに

フェリシティ・ロットは、いわずとしれたイギリスを代表するソプラノ歌手です。1947年生まれと wik iにはありますので、今年で63歳。私は昨年の10月に実演に触れています。曲はもちろんカプリッチョの最終場。録画失敗したのが悔やまれます。
“https://museum.projectmnh.com/2009/10/19214851.php":https://museum.projectmnh.com/2009/10/19214851.php
あのときも泣けて泣けて、涙が出てしようがないぐらい感動したんですが、(思い出しただけれうるんじゃいます)、ロットのカプリッチョが聴けるCDがないかと物色していました。プレートルが振った全曲盤があるのですが、高くて躊躇していたんですが、まずはネーメ・ヤルヴィが伴奏を振っている「四つの最後の歌」などとカップリングされたCDを購入しました。
そして、あまりのすばらしさに感動しております。
# Biem Schlafengehen
# September
# Fruhling
# Im Abendrot
# Wiegenlied
# Ruhe, Meine Seele!
# Freundliche Vision
# Waldseligkeit
# Morgen
# Das Rosenband
# Zueignung
# Des Ditchers Abendgang
# Intermezzo (月光の音楽)
# Closing Scene (カプリッチョ最終幕)#
ちょっと面白いんですが、一般的な「四つの最後の歌」と順番が違うんです。
ふつうは
# Fruhling
# September
# Biem Schlafengehen
# Im Abendro
なんです。なので、ちょっと新鮮な感じです。もっとも、順番はシュトラウスの死後に決められたものですので必然性は低いんですけれどね。

音響の素晴らしさ

このCD、やけに音がすばらしいのです。トラック12のDes Ditchers Abendgang以外は、すべてCaird Hallというところで録音されています。
“Caird Hall":http://www.cairdhall.co.uk/
このホール、かなりすばらしいリヴァーヴなんです。ルカ教会残響の深さは似ているのですが、ちょっと残響の音程は高めです。この絶妙な残響感が、ロットの高貴で品性のある声を十二分に引き立てています。
実は、最初聴いたとき、あまりに美しすぎて、ちょっと引いたんですよ。何というか、不自然さのようなものを感じたんです。
というのはこんな経験をしたからです。
昨年、某日本人有名歌手のCDを聴く機会がありました。そのCD、あまりにリヴァーヴがかかりすぎていて、どこで録音したのかと見てみると、ただの音楽スタジオでした。リヴァーヴをエフェクターでかけ過ぎていたんですね。私は大変失望したんですが、ロットのこのCDにも一瞬同じ危惧を抱いたのだと思うのです。しかし、聞き込むうちにそれは危惧から感嘆に変わりました。日本人歌手の場合、すでに絶頂期は過ぎていますので、完全になんらかの悪い要素を消すためにリヴァーヴをかけていたとしか思えなかったんです。しかしながら、このロットのCDはそうとは思えません。純粋に美しい。天から降ってくる歌声といっても過言ではないです。

Das

Rosenband
また別の機会にも書こうと思ったのですが、Das Rosenbandを聴いていたら、急に涙が止まらなくなりました。この曲、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターや、バーバラ・ボニーも録音しているのですがいずれもピアノ伴奏です。シュヴァルツコップ盤はセルが振ったオケ伴奏盤ですが、シュヴァルツコップは少し苦手意識があるので、あまり響いてこなかった。でも、ロットのDas Rosenbandは違いました。大きく分けて二つの旋律からなるんですけれど、シュトラウスらしい絶妙な転調の進行に心が締め付けられて、急になんだか母胎に回帰したかのような安堵感を覚えたのです。この曲、今度もう少し突っ込んで研究しようと思います。

「四つの最後の歌」の思い出

私が初めて「四つの最後の歌」を聞いた瞬間。それは映画「めぐりあう時間たち」でした。
“http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33172/index.html":http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD33172/index.html
メリル・ストリープが、パーティーの準備をしているときにBGMで流れていたのがそれでした。この映画、実に多層的複雑さをもった秀逸な映画で、かなり重い内容なんですけれど、あの時の「四つの最後の歌」は雷撃でした。あらすじはあまり書きませんが、その後の不幸な結末を暗示しているように聞こえたんですよね。この曲を大音響で流しながら料理している姿の切迫感を忘れることができません。
というわけで、今日もシュトラウスでした。ああ、シュトラウスの歌曲全曲盤とかないかしら。あったら買いたいなあ。。

Vocal

いやあ、エレナ・ガランチャさん、すばらしすぎます。

先週から今週に掛けて、ワルキューレばかり聞いていて少し疲れていたときに、先日買ったガランチャさんのCDを。パワーもあるし、深みもあるし、ピッチがすばらしいし。最近の忙しさにあって、ふと気を落ち着けられる瞬間ですねえ。以前にも書きましたので、こちらも読んでみていただけるとうれしいです。

思えば、ガランチャさんの歌をはじめて聴いたのは2003年の新国立劇場「ホフマン物語」においてでした。あの時はまだ無名時代だったので、新国立劇場にいらしたのだと思うのですが(ちょっと失礼かもしれませんけれど)、そんな中にあって、他の方を凌駕する深みのある声の美しさに大感激したものでした。しかも容姿や演技もすばらしかった。白いスーツに白いシルクハットをかぶって登場したのです。格好良かったなあ。それが、あれよあれよという間にスターダムに。ライヴで聞けたのが奇跡みたいな話です。

次にライヴを聞けるのはいつになることやら、という感じです。

最近は、帰宅時間が遅くなって、なかなか記事を書けません、というのはいいわけですね。ちと気合が抜けているのかも。あるいは逃げ回っているのかも。おそらく後者でしょうか。せっかくブログを持っているのだから、ちゃんと活用したいものです。

最近の通勤時間はもっぱら英語の文書を読んでいる感じでして、まあそんなに難しい単語は出てこないのでなんとか楽しめているのですが、こんなことでもきっと会社の試験には役立つでしょうし、音楽関係の英語文章を読む練習にもなるはずです。きっと。

まあ、何をするにも、遅きに失した、ということはないそうなので、がんばりましょう。

Vocal

昨日は、都内某所にてサックスを吹きました。大学の後輩の結婚式二次会にて。フラジオ音域(ハーモニクスといいましょうか。倍音操作で高音を出します)がテーマ旋律で多用されている曲をやりましたので、数回練習しただけでは厳しかったです。とはいえ、演奏を止めることもなく、無事にできましたし、吹いている瞬間は自分的には楽しかったのでよしとしますか。聴いた方々に楽しんでいただけたかは不明ですが。やはり、月に一度はサックス吹くことにしようと思います。機会があればセッションに行ってみましょうか……。ジャズ聴いていないのに許されるのでしょうか。

さて、 先日からエリーナ・ガランチャさんの虜になっておりますが、アマゾンに注文していたCDが届きました。取り上げられているのは以下の10曲です。

  1. サルスエラ≪セベデオの娘たち≫から とらわれ人の歌(ルイサ):「わたしが愛を捧げたあのひとのことを思うたび」
  2. 歌劇≪ウェルテル≫(第3幕から) 手紙の場(シャルロット):「ウェルテル…ウェルテル…だれに言い当てることができたでしょう」
  3. 歌劇≪ホフマン物語≫(第3幕: アントニーアから) 第15曲 ロマンス(ニクラウス):「見たまえ、わななく弓の下で-それが愛かい、愛の勝利かい!」
  4. 歌劇≪シンデレラ(チェネレントラ)≫(第2幕から) ロンド・フィナーレ(シンデレラ):「私は苦しみと涙のために生まれ」
  5. ブラジル風バッハ(バッキアーナス・ブラジレイラス) 第5番から 第1楽章: アリア(カンティレーナ):「夕べには、ばら色の雲がゆるやかに輝きながら」
  6. 喜歌劇≪ジェロルスタン女大公殿下≫(第1幕から) 第3曲a 合唱、レチタティーヴォとロンドー(女大公殿下):「担え銃!」-「皆さんは危険がお好きで-ああ、私、軍人さんが好きなのよ」
  7. 歌劇≪アルジェのイタリア女≫(第2幕から) 第11曲 カヴァティーナ(イザベッラ):「愛する彼のために」
  8. モンサルバッヘ カタロニア民謡<鳥の歌>によるマドリガル 「こよなく喜ばしい夜」
  9. 楽劇≪ばらの騎士≫(第3幕から) 三重唱(ゾフィー、元帥夫人、オクタヴィアン):「マリー・テレーズ!」-「私が誓ったことは」
  10. 楽劇≪ばらの騎士≫(第3幕から) 二重唱(ゾフィー、オクタヴィアン):「夢なのでしょう」

ガランチャさんの声は、オニキスのように黒光りする深みのある声です。柔らかく豊かで潤いのある声。すばらしいです。楽曲の中でも特に気に入ったのが、「ブラジル風バッハ」と「こよなく喜ばしい夜」でして、両曲とも短調のしっとりとした曲で、雨降る夜が似合うような曲です。少々メランコリッシュになる感じ。「ばらの騎士」は最後の三重唱の部分以降が取り上げられています。ごちそうですね。ここでは一歩引いてマルシャリンをきちんと浮き立たせています。最後の二重唱でも、高音域から中低音域まで声質が変わらない。カメラのレンズで言えば、広角から望遠までレンズの明るさが変わらない、みたいな感じ。ばらの献呈の場面も聴いてみたいなあ。

指揮はファビオ・ルイジで、演奏はシュターツカペレ・ドレスデン。この組み合わせも良いです。オケがとてもきれい。そうなると録音場所はルカ教会! でもそれにしては少しリヴァーヴ感が寂しい感じもします。クライバーの「トリスタンとイゾルデ」の録音よりもちょっと落ち着いた印象。2006年7月の録音。