細川俊夫 ハープ協奏曲「回帰」─辻邦生の追憶に─

まずは、2001年、おそらくは東京都交響楽団の演奏会に行った際のパンフレット。もらったときにはすぐには気がつかなかったのですが、後から見返してみるとここに細川俊夫が辻邦生に捧げた「ハープ協奏曲「回帰」─辻邦生の追憶に─」についての記載がありました。もう17年前の資料です。折れたり汚れたりしているのはご容赦ください。

このハープ協奏曲、CDも発売されています。私の記憶では、2003年だったか、学習院大学で行われた辻佐保子さんの講演会の開始前にハープ協奏曲が会場に流れていたと思います。

先日このCDの話をとある場所でしたのですが、それ以来このCDを繰り返し聴いています。曲調としては現代音楽のトーンです。ハープがまるで和琴のように聞こえます。ライナーノートを読むと、嵯峨野明月記の最終部が引用されており、嵯峨野明月記や西行花伝といった日本を舞台にした作品にインスパイアされたものと考えました。決して明朗快活な音楽ではありません。しかし深みがあり、どこか悲しげで、それでいて達観を感じさせるものです。アルバムタイトルも《回帰》とあり、なにか永遠永劫の境地を感じさせます。ですが、私はまだそうした境地を知り得ていないはずもあります。

さて、今年の夏も名残惜しく過ぎていくような気がしてなりません。めまぐるしい現実の狂騒に疲れる毎日ですが、夏の午後に、太陽に灼かれる窓の風景を眺めながら、スピーカーから聞こえるハープとオーケストラの協奏を聴いていると、なにか現実こそが夢であるかのように思います。真の世界はあちら側にある。いや、「あちら」というべきではなく、「こちら」側か、などと感じています。

炎暑が続きますが、みなさまも、どうかお身体にきをつけてお過ごしください。

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