先だっての「旧約聖書物語」に 引き続き、「新約聖書物語」を読んでいます。理由はもちろん勉強のためでして、絵画やオペラを愉しむのに必要ではないか、というところから。西洋人は小さ いころから慣れ親しんでいるのでしょうが、私にしてみれば、努力しなければ知ることができません。 今日読んでいるところでは、洗礼者ヨハネがヘロデ王に捕縛される場面が現れました。これは、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」の題材になった話。
そ ういうわけで、本当は「ドン・ジョヴァンニ」を聞かなければならないところ、ちょっと息抜きに、ニーナ・シュテンメさんの歌う「サロメ」の最終部を聞きま した。何度か取り上げたことがありますね。うーむ、すばらしく力強いサロメ。パッパーノの指揮もすごくて、渦巻き混ざり合う音の感じがすばらしいです。こ れで全曲版があればいいのですけれど。
それから、再び「ドン・ジョヴァンニ」に戻りま した。カラヤンの指揮は本当にすっきりと理想的美しさ。弦の美しさは、厚みがあって豊かでありながら、透き通っている感じ。いいですね。1985年、ベル リン・フィルハーモニーでの録音。ベルリン・フィルハーモニーのリヴァーヴ感は程よく控えめで、教会での録音よりも粒がはっきりしています。
私 は、モーツァルトの旋律でも短調の旋律が好きでして、伸びやかで光の感じられる長調のフレーズの中に、急に千切れ雲に太陽が隠れてしまうように短調のフ レーズが入ってくるところがたまらないのです。それから、調性が一瞬ゆれるところも。第16曲、ドン・ジョヴァンニの誘惑の歌、弦のピチカートとマンドリ ンの伴奏なのですが、調性が時折ふっと色を変えるのがすばらしい(絶対音感があれば、具体的に調性を書けるのですが。あるいは譜面を読めればもっと書ける かもしれませんが)。それにしても、トモワ=シントウさんも、バルツァさんのすばらしい歌唱です。こちらについてはまた明日。
帰りの電車では、ようやく、「ドン・ジョヴァンニ」を楽しめるようになって来たかもしれません。やはり、アクティブに関わっていき続けないと音楽はこちらへと振り向いてくれないものですね。