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引き続き、5月28日(土)に、東京初台の新国立劇場地下2階リハーサル室Bで催された「「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術~イタリアの工房から~」の模様を。今日で終わります。
後半の講演
後半は、大きな液晶画面に写真を表示させて実際の様子が分かる感じでした。やはり写真を見るとイメージが湧いてよく理解できました。写真が載せられないのが残念です。
小道具のこと
今回の演出はイタリアのキャンピング場ですが、小道具はイタリアから持って来ているようです。ケロッグ、食器洗剤、コカコーラなどはイタリアで売られているものを使っているようです。これは白石さんが調達したとのこと。それだけではなく、ジェラート屋のショーウィンドに埋め込まれた冷凍容器なんかも本物を使っているそうです。
小道具というのか分かりませんが、今回の舞台にはジープが登場するようです。車を舞台に上げるときには、エンジンなどを取り除いてから上げるのだそうです。そうしないと舞台上で動かすのが難しいから。中古車を買って中身をくりぬいて使うのですね。まあ冷静に考えれば当然なんですが、舞台はお金がかかります。
それから、面白かったのは、バーベキューセットのこと。舞台に登場する際には、ある程度使い込まれた状況にしなければならないと言うことで、実際に新品のバーベキューセットで肉を焼いて、使い込まれた感じを出したそうです。バーベキューをしている写真がスライドに出てきて「これは仕事中の写真です」と説明されると、みんな受けていました。
舞台の運び出し
できあがった舞台は日本へ船便を使って送られます。今回の場合、コンテナ7本半を使って日本に送り出したのだそうです。高さのあるセットなどは、組み立て式にして分解して荷詰めをするそう。だから、立木のセットなどは、幹を分割し、組み立て式にするそうです。
そのほか
コジの舞台美術の話だけではなく、モデナ歌劇場の様子も写真とともに紹介されました。たとえば、昔の名残で舞台裏まで通じる通路は馬車が入れるようになっているとか、舞台上で火災が起こった時に供えて、柄が非常に長い鎌が舞台裏に供えてあって、火災が出たら舞台の幕を切り落として天井への延焼を防ぐのに使うのだ、など、興味深い話がたくさんありました。
Q&A
最後にパオロ・ファンティン氏へのQ&Aがありました。
演出のアイディアは誰が出すのか?
時と場合による。演出家のこともあれば舞台美術家のこともあります。
演出に映像を使うことことについてどう思うか?
すべてのものは、意味あるものでなければならないコストカットのために使うのではだめだ。映像が必然的なものでなければ使うべきではない。
(白石さんの補足)
イタリアでも舞台画家が少なくなってきているそうです。舞台背景を描くときに使う下書き用の木炭も売られなくなり、柳の枝で自作していらっしゃるそうです。また、映像だけではなく、プリントアウトに変わってきてしまっていて、ますます厳しい状況だそうです。
舞台上の音と音楽の関係。水音は邪魔にならないか?
美術に魂がこもっていなければならない。美しいだけではなく意図がなければならないのです。水を使うのには必然性がある時だけ。もちろん指揮者の了解は取っています。歌手も最初は驚きますが、演技演出の意図に合えば、歌手の表現を助けてくれるものになるのです。
終わりに
長々と書き連ねました。全内容をかけたわけではありません。最近仕事が忙しく、平日は家で何も出来なくなってしまいました。推敲するまもなく、電車の中で書き続けて、その都度アップしていました。今後表現は見直すかもしれません。
ネヴィオ・カヴィーナ氏のことも書かなければなりません。当日の主役のお一人である白石さんの旦那様でいらっしゃるネヴィオさんは、物静かな方です。コジのプロダクションに直接参加してはいらっしゃらないですが、白石さんをご家庭にあって支えられたのだそうです。あとは、もう一人の主役であるパオロ・ファンティン氏は、5月28日のお昼頃に日本へ到着したとのことで、時間通りいらっしゃるか分からなかったのだそうです。ファンティン氏が遅れた際には、白石さんとネヴィオさんのトークに差し替えられる予定だったそうです。なるほど。。内助の功です。
あ、それから、面白かったこと。
リハーサル室の前に、小さな子供、4歳ぐらい? がお母さんと一緒に座っていたのです。子供は絵本を読んで屈託がない様子。なんでこんな子がいるんだろう? と思っていたんですが、子供は着物を着ていました。ああ、この子は蝶々夫人の息子役なんだなあ、と得心しました。