新国立劇場「ルサルカ」

始めに

行って参りました。ルサルカ@新国立劇場。
色々と考えることの多い三時間でした。生の音楽を聴きながら、色々思いを巡らすというのは本当に恵まれたことです。ありがたいです。
今回も色々と考えることが多かったです。オペラを観ると言うことの一つは考えることである、ということを、とある演出家が話していたのを思い出しました。
(今年の春に新国で上演された「コジ・ファン・トゥッテ」を演出したミキエレット氏の言葉です)
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あらすじ

念のためあらすじを。オリジナルのリブレットにはないであろう今回の演出を含めたあらすじで、かつ私の主観が入っています。

第一幕

(演出上の設定)
娘は子供部屋のベッドに横たわる。窓からは満月の蒼い光が差し込んでいて、娘の顔を照らしている。思い立った娘は鏡の前に向かう。鏡から離れても、娘の姿は鏡の中に残り続ける。驚いた娘は、鏡の中の自分に触れるのだが、途端に鏡の中の自分に手を引っ張られ鏡の中に吸い込まれる。
(ここからは本編)
主人公のルサルカは、森の中に住む水の精のヴォドニクの娘なのだが、いつも湖の畔を訪れる王子に恋をしてしまう。人間になるためには、魔法使いのイェジババの薬を飲む必要があるのだが、人間になるのと引き替えに声を出す能力を奪われてしまうのだった。ルサルカは迷わず薬を飲み、王子の前に姿を現す。王子は、ルサルカの美しさに心奪われ、結婚することとなる。

第二幕

結婚式が開かれることになるのだが、王子とルサルカは心を通わすことが出来ない。言葉を交わすこともできず、思いを伝えることが出来ないのだ。そのすれ違いは早くも王子の心を別の女性へと向かわせる。結婚式に招かれた外国の公女の誘惑に負け、公女へと心を移してしまう。結婚式の舞踏会で全く孤立してしまうルサルカは、恐怖と絶望を抱き、王子の元を離れ森へと戻る。

第三幕

人間の世界にも戻れず、水の精の仲間にも戻ることも出来ず、森の中で孤立するルサルカは、イェジババに助けを求める。ルサルカがこの状況を脱するためには、王子への復讐、つまり王子を死に至らしめなければならない。逡巡するルサルカ。王子は、ルサルカが姿を消して以来、心を失い鬱状態になっている。森へ分け入った王子は、ルサルカと再会する。王子はルサルカの死の接吻を受け死に至り救済される。
(演出上の設定)
ルサルカは娘に戻る。だが、どこか大人びた表情で。ベッドに戻り。蒼い月の光に照らされる。人形(兵士か王子?)を棚に座らせ、物憂げな表情で窓の外を眺め続ける。
h3.人魚姫との類似
カミさんにあらすじを説明したら、「人魚姫と同じじゃん!」といわれました。「人魚姫」のプロットを忘れていたのです。調べてみると、声を喪うというところは同じでした。
小さい頃の記憶では、悲劇であったがゆえに、あまり好きな話ではなかったのです。どうも、こうかわいそうな終わり方には昔から弱くてですね。。だから一回読んだだけだったのだと思います。まだ悲劇を許容できるほど成熟していなかったのだと思います。
確かにそうかも。「人魚姫」は、王子は幸せになり人魚姫だけが悲劇でしたが、「ルサルカ」は王子もろとも悲劇的結末ですね。こっちのほうがまだいいかも、と思いました。このあたり、ひねた見方もあるんですが。。このあたりはこれから書きます。

さしあたり

寒い一日でしたが、一ヶ月の新国立劇場は素敵でした。
明日は演奏面などを。その次は、演出や解釈などを書きます。