書くことは、〈生きること〉を徹底すること──辻邦生『空そして永遠』
「くる日もくる日もノートを書いていても、それは、あくまで〈生きること〉を一層徹底させ、没入的にするための作業、といった趣を持っていた」──辻邦生『空そして永遠』より。
辻邦生のパリ留学時代の手記をまとめた『パリの手記』。その最終巻の『空そして永遠』を鞄に入れて過ごしました。帰宅の電車のなかでなんとなく開いた最後の「あとがき」にこの言葉がありました。
辻邦生は、まるでピアニストがピアノを弾くように、たえず書く、と言っていました。書くことは、文章を作り出すということ以上の意味を持ちます。世界を作り出していたのでしょう。その世界とは、書き手だけの作りうる完結・統一した世界なのだと思います。
それにしても、こんな風に、生きることに打ち込み、やることが生きることと直結していたら、そんな感想を持ちます。
やることと生きることが繋がっていなければならず、そうでない時間は浪費になりかねません。生きることに繋がることをやるのが人生への責務なのだと思い、責務を果たすために努力をすること。これに尽きるのだな、と思います。
ディスカッション
今晩は。
ブログのみならず
上川さんのFacebookも楽しく拝読しております。
加藤周一さんの著書の中に
辻先生について書いたエッセイがあったのですね。
加藤さんと「オレお前」の仲だった方
と言えば、私が辻先生と並んで尊敬申し上げている
中村真一郎先生です。
水声社という出版社が
「中村真一郎の会」というのを
やっていて、
「辻邦生を読むグループ」と
掛け持ちになるかもしれません。
お二人とも神様なのです、私にとって。
加藤さんが初代会長だったのですよね。
中村先生の長編小説「四季」四部作と
長編評論「王朝物語」は、
辻先生の代表作に匹敵する
千古に残る大文学だと確信しています。
クライバーの田園、私はまだ聴いておりません。
ウィーンフィルの5番と7番、
バイエルンの4番のみです。
でもクライバー・ファンなら
聴いておかないとですね。
いつもありがとうございます!
私は辻先生以外はあまり読めておらず、お恥ずかしい限りです。残りの人生もそろそろ半分ですから、中村先生も読みたいですね。しかし時間が…。
クライバーの田園は、まだ評価できるほどではありませんが、昨夜は楽しく聴きました。次はアバドのベートーヴェンを聴こうか、などと思っています。