書くことは、〈生きること〉を徹底すること──辻邦生『空そして永遠』

「くる日もくる日もノートを書いていても、それは、あくまで〈生きること〉を一層徹底させ、没入的にするための作業、といった趣を持っていた」──辻邦生『空そして永遠』より。

辻邦生のパリ留学時代の手記をまとめた『パリの手記』。その最終巻の『空そして永遠』を鞄に入れて過ごしました。帰宅の電車のなかでなんとなく開いた最後の「あとがき」にこの言葉がありました。

辻邦生は、まるでピアニストがピアノを弾くように、たえず書く、と言っていました。書くことは、文章を作り出すということ以上の意味を持ちます。世界を作り出していたのでしょう。その世界とは、書き手だけの作りうる完結・統一した世界なのだと思います。

それにしても、こんな風に、生きることに打ち込み、やることが生きることと直結していたら、そんな感想を持ちます。

やることと生きることが繋がっていなければならず、そうでない時間は浪費になりかねません。生きることに繋がることをやるのが人生への責務なのだと思い、責務を果たすために努力をすること。これに尽きるのだな、と思います。

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