アバド/マーラー交響曲第8番


Cheryl
Studer; Soprano I

Sylvia
McNair; Soprano II

Andrea
Rost; Soprano

Annne
Sofie von Otter; Alt

Rosemarie
Lancö Alt

Peter
seiffert; Tenor

Bryn
Terfel; Bariton

Jan-Hendrik
Rootering; Bass

 

Rundfunkchor
Berlin

Prager
Philharmonischer Chor

Tölzer Knabenchor

 

Berliner
Philharmoniker

Claudio
Abbado

最近いろいろな場面でマーラーの交響曲第8番にでくわします。音楽雑記帳さんでも取り上げられていて、シンクロニシティを感じたり。

この曲、人生で初めて買ったCDなんですよね。ショルティ盤でした。以来ショルティ盤がデフォルト盤として僕の中に君臨を続けていたのですが、ようやく別の盤を受け容れることができました。その第一がアバド盤でした。というわけで、アバド盤のご紹介。タワレコのウェブでは単独では販売されておらず、全集盤の画像を張りました。僕が持っているのもやはり全集盤です。

聞き慣れたショルティ盤と比べると、当然ですがアバド盤のほうがテンポは遅いわけですが、ダラダラとした遅さではありません。音の強弱、うねるようなダイナミックレンジの広さを巧く見せてくれますね。それから音の柔らかさ。どうして、こんなに柔らかいのかなあ、と思ったのですが、弦楽器の美しさ、特にヴィオラ、チェロであったり、ホルンの音も美しさなどによりますね。

法悦の教父、バリトンのブリン・ターフェルさんなのですが、ねっとりとした甘い匂いのする暖かい空気に包まれているような幸福感を覚えます。ここにはもう泣くしかありませんね。シェリル・ステューダさんも透き通った美しい声。(ばらの騎士で)聞き慣れたオッターさんの声もいいです。

マリア崇拝の博士(テノール)が、神秘の合唱のまえにJungfrau, Mutter, Königin, Göttin, bleibe gnädig!という歌詞(トラック15の2’25")があります。この曲はアルマに献呈されたわけですが、マーラーの壮大なる愛情の告白としての一面を見ることができるわけです。マーラーにとって、アルマは永遠なる若い女性であり、母であり、女王であり、女神なのです。グレートヒェンは、ファウストを救済するわけですが、マーラーもアルマに救済して欲しかった。フロイトによれば、マーラーは母親の姿をアルマに求めていた、いわゆるマザー・コンプレクスだったということも有名です。けれども、アルマにはもうそんな気はない。今風に言えば、魔性の女というところでしょうか。このギャップにそこはかとない哀れを感じ、神秘の合唱から大きな感動を引き起こすフィナーレをきくにつけ、悲しみを覚えるのです。


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