Roma2008

バルベリーニ宮を後にした私たちは、メトロに乗って一旦テルミニ駅を戻る。ローマに来る前は、メトロの治安状況に不安を感じていたのだが、初日に車内で物乞いの女性に出会った以外、特に変わったことはなかった。家人が女性の足を踏んでしまったということがあったけれど。 テルミニ駅から40番バスに乗車してヴェネツィア広場へ向かう。茶色い外壁に白枠の窓がいくつもはまったヴェネツィア宮殿が立っている。その名の由来はヴェネツィア共和国の大使が使っていたということだが、ムッソリーニもこの建物を使っていたのだそうだ。

ヴェネツィア広場の正面にはヴィットリオ・エマヌエーレ二世記念堂が威儀を正して鎮座している。その大きさは想像以上で、いわゆるカンピドリオの丘のふもとからいただきまでをひとつの白亜の記念堂としてしまったもの、といえばいいだろうか。 私たちが向かおうとしていたのはそのカンピドリオの丘の頂上にある美術館だったのだが、丘に登る大きな階段を上り始め、灼熱の太陽にやかれながら登りきったと思ったら、美術館よりも高いサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会に到達してしまった。美術館よりも余計に階段を登りつめてしまったのだ。

 家人を誘って、教会堂内に入てみると、絢爛たる教会堂に感嘆する。金色の装飾、極彩色のステンドグラス、幾重にも連なるシャンデリア。深く沈んだ静けさで、堂内の観光客もいきおい口数が少なくなっていた。ところが、堂守りの若い男が観光客を追い出しにかかるのだった。理由は後でわかるのだが。

追い出されるままにアラチェリ教会を出て、裏手に回るとそこがちょうどヴィットリオ・エマヌエーレ二世記念堂のテラスにつながっていて、白い大理石の敷石を踏みわたって行く。途端に視界が開けるとローマの街並みを見下ろす格好になって、、ローマ時代の遺跡が残るフォロ・ロマーノの先にコロッセオもみえたし、左手に回ればジャニコロの丘やヴァチカンのクーポラが、市街地の屋根の波間から顔を出しているのがわかる。

とはいえ、とにかく暑いし、疲労が両足を溶かし始めているのがわかっていた。昼食も食べなければ残り半日を乗り越えることが出来ないだろう。一緒にガイドブックを覗き込んで、カンピドリオ美術館にカフェテリアがあることを突き止めた私たちは、ともかく急げとばかりに階段を降るのだが、大理石の階段は太陽の光を受け止めて白く輝いていて眩しくてたまらない。ヴェネツィア広場に降りきって、再びカンピドリオ美術館へつながる長い階段を登りはじめる。

Literature

 これは名著です。テーマとなるのは人間の戦い。それも自然、若さといった、決してそれより有利にはなりえない、どうしようもない強い者との戦いなのでしょう。

  • 火を熾す:To build a Fire
  • メキシコ人:The Mexican
  • 水の子:The Water Baby
  • 生の掟:The Law of Life
  • 影と閃光:The shadow and the Flash
  • 戦争:War
  • 一枚のステーキ:A Piece of Stake
  • 世界が若かったとき:When the World Was Young
  • 生への執着:Love of Life

「火を熾す」では厳寒の北極圏を旅する男の物語。冷静にコントロールしているはずのものが徐々にコントロールの外にはみ出してくる不気味さ。「メキシコ人」はメキシコ革命をモティーフにしたボクシングの物語。「水の子」は老漁師の自然との対峙を描く。「生の掟」は年老いたエスキモーの緩慢な死への旅立ちを描く。「影と閃光」は一風変わった作品で、永遠のライバル同士のあくことのない戦いがSF的要素で描かれる。「一枚のステーキ」もボクシングの物語。若さと戦うベテランボクサー。「世界が若かったとき」もSF的。「生への執着」もすばらしく、北極圏をさまよう男が生と死の狭間で生き抜こうとするドラマ。

一番印象的だったのは「一枚のステーキ」。かつて名声を誇ったベテランボクサーは、いまや食うや食わずの生活。この試合に勝ちさえすれば30ポンドを得て、生活に小康を得ることができる。相手は若さがはち切れんばかりのボクサー。だが、ベテランボクサーは経験に裏打ちされた老獪な戦法でなんとか試合に勝とうとするのだが……、という感じ。ボクシングの試合運びの描写がすばらしくて、まるで実際の試合を見ているかのよう。もちろん、最後は若さを失った読者にとってほろりとさせられるものなのですが。

この短編でうたわれる名言は「世は若者に仕える」。とはいえ、若さとは相対的なものだと思いたい今日この頃でありました。

Vocal

昨日は、都内某所にてサックスを吹きました。大学の後輩の結婚式二次会にて。フラジオ音域(ハーモニクスといいましょうか。倍音操作で高音を出します)がテーマ旋律で多用されている曲をやりましたので、数回練習しただけでは厳しかったです。とはいえ、演奏を止めることもなく、無事にできましたし、吹いている瞬間は自分的には楽しかったのでよしとしますか。聴いた方々に楽しんでいただけたかは不明ですが。やはり、月に一度はサックス吹くことにしようと思います。機会があればセッションに行ってみましょうか……。ジャズ聴いていないのに許されるのでしょうか。

さて、 先日からエリーナ・ガランチャさんの虜になっておりますが、アマゾンに注文していたCDが届きました。取り上げられているのは以下の10曲です。

  1. サルスエラ≪セベデオの娘たち≫から とらわれ人の歌(ルイサ):「わたしが愛を捧げたあのひとのことを思うたび」
  2. 歌劇≪ウェルテル≫(第3幕から) 手紙の場(シャルロット):「ウェルテル…ウェルテル…だれに言い当てることができたでしょう」
  3. 歌劇≪ホフマン物語≫(第3幕: アントニーアから) 第15曲 ロマンス(ニクラウス):「見たまえ、わななく弓の下で-それが愛かい、愛の勝利かい!」
  4. 歌劇≪シンデレラ(チェネレントラ)≫(第2幕から) ロンド・フィナーレ(シンデレラ):「私は苦しみと涙のために生まれ」
  5. ブラジル風バッハ(バッキアーナス・ブラジレイラス) 第5番から 第1楽章: アリア(カンティレーナ):「夕べには、ばら色の雲がゆるやかに輝きながら」
  6. 喜歌劇≪ジェロルスタン女大公殿下≫(第1幕から) 第3曲a 合唱、レチタティーヴォとロンドー(女大公殿下):「担え銃!」-「皆さんは危険がお好きで-ああ、私、軍人さんが好きなのよ」
  7. 歌劇≪アルジェのイタリア女≫(第2幕から) 第11曲 カヴァティーナ(イザベッラ):「愛する彼のために」
  8. モンサルバッヘ カタロニア民謡<鳥の歌>によるマドリガル 「こよなく喜ばしい夜」
  9. 楽劇≪ばらの騎士≫(第3幕から) 三重唱(ゾフィー、元帥夫人、オクタヴィアン):「マリー・テレーズ!」-「私が誓ったことは」
  10. 楽劇≪ばらの騎士≫(第3幕から) 二重唱(ゾフィー、オクタヴィアン):「夢なのでしょう」

ガランチャさんの声は、オニキスのように黒光りする深みのある声です。柔らかく豊かで潤いのある声。すばらしいです。楽曲の中でも特に気に入ったのが、「ブラジル風バッハ」と「こよなく喜ばしい夜」でして、両曲とも短調のしっとりとした曲で、雨降る夜が似合うような曲です。少々メランコリッシュになる感じ。「ばらの騎士」は最後の三重唱の部分以降が取り上げられています。ごちそうですね。ここでは一歩引いてマルシャリンをきちんと浮き立たせています。最後の二重唱でも、高音域から中低音域まで声質が変わらない。カメラのレンズで言えば、広角から望遠までレンズの明るさが変わらない、みたいな感じ。ばらの献呈の場面も聴いてみたいなあ。

指揮はファビオ・ルイジで、演奏はシュターツカペレ・ドレスデン。この組み合わせも良いです。オケがとてもきれい。そうなると録音場所はルカ教会! でもそれにしては少しリヴァーヴ感が寂しい感じもします。クライバーの「トリスタンとイゾルデ」の録音よりもちょっと落ち着いた印象。2006年7月の録音。

Jazz

WDR3で放送されたデヴィッド・サンボーンのライヴを聴きました。

いまさらですが、サンボーンすげえー。

Tin Tin Deoのソロがすごい。アルバムで聴くよりライヴならではの熱気が伝わってきます。マウスピースのデュコフ(だと思う)サウンドが炸裂。フラジオ音域の咆哮たるや神業に近い。そうか、サンボーンは、こんなにフラジオなひとだったんだ、みたいな。

それにしても、アルトサックスでここまで表現してくれるのはサンボーンならではだなあ。フレージングだけならともかく、サウンド(音色)でここまで魅せてくれるのはサンボーンぐらいしか思いつかない(といってもこの数年間はジャズ聴いてないので今どうなっているのか知らないのですがorz)。 フレージングはなんとでもなりそうなもの。バークレーメソッドでフレージングの研究すればいい。時間と忍耐があればなんとかなるはず(まあセンスもあるけど)。 しかし、サウンド(音色)となると、本当にセンス勝負ですからね。理論も何もないから。吹き方とマウスピースと楽器とネックとリードとリガチャの無限の組み合わせのなかから選んで行くとなると、時間と忍耐とお金とセンスが必要。気が遠くなる。ともかくサンボーンサウンドは人間国宝だなあ。

ただ、サンボーンのブルージーなところだけは受け入れるのが難しい。昔からブルース苦手でして……。

ちなみに今日の夜サックス吹きます。先週の土曜日に吹いたとき、アンブシェアの筋肉がついていけず、一曲吹いたら、もう吹けなくなってしまったのですが、ワンランク柔らかいリードに変えたら、フラジオ音域も出せたし、90分連続で吹いても全然大丈夫でした。いやあ、よかったです。

しかし思ったのですが、サックスはコンスタントに練習しておいた方が良いかも。せめて月に一度ぐらいは。18歳にサックスを初めて(浪人決まってサックスを買ったら勘当されそうになった)、25歳ぐらいまでは真面目に(?)吹いていたわけで、7年間ぐらい時間投資したことになりますので、それを無に帰させるのはもったいない気がしてきました。しかし時間ないですが。

WebRadio

1/10夜から1/12にかけては、興味深い放送が数々あります。いつも参考にさせていただいているおかかさんのサイトより。

個人的に非常に興味を持った番組を。とりあえず聴けるように努力するつもりです。 時間はすべて日本時間です。

まずは、ちょっと横道ですが、1/10 4:05からWDR3でデイヴィッド・サンボーンが。最近はジャズを聴くことも少なくなりましたが、最新のサンボーンサウンドを聴けるかも。

続いて、1/10 20:05からNRKにてラフマニノフ「晩祷」。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%A9%E7%A5%B7 これ一度は聴いてみないと。

同じく1/10 22:15からNetherland Radioにてウェーベルンのパッサカリア、ベルクのヴァイオリン協奏曲、DSCHの第10交響曲が。ハンス・グラーフ指揮オランダ放送フィルにて。ヴァイオリンはベンヤミン・シュミット。どんな感じだろうか。聴いてみましょう。

1/10 23:00からSveriges Radio P2にてエリーナ・ガランチャがアバド指揮ルツェルン祝祭管と競演した模様が放送されます。

日が変わって、1/11 2:00からストックホルム王立歌劇場「ワルキューレ」の生中継。指揮はセーゲルスタム氏。

そして真打。1/11 3:00からメトロポリタン歌劇場のプッチーニ「つばめ」の生中継。ゲオルギューとアラーニャが(ドタャンしなければ)登場します。これは多くの放送局で生中継をします。BBC, France Musique, Netherland Radio4, ORF o1, NDR Kultur, Bayern 4, NRK Klassik, Bartok Radio, Polskie Radioです。前回「ボエーム」を録音したときに思ったのですが、幕間のおしゃべりが面白そうなので、(まだわかる)英語をしゃべってくれそうなBBCで録音してみようかな、と思います。(前回はノルウェー語で、なんとなくドイツ語に似ているなあ、と思っただけでした)。

1/11 10:05からABC Classic FMにてエリーナ・ガランチャとアバド、ルツェルン祝祭管弦楽団の放送が再び。

1/11 22:30からはFrance Musiqueにてシャンゼリゼ劇場のヘンデル「トロメオ」が。ヘンデルイヤーですので、今年はヘンデルにも力を入れましょうか。

1/12 4:02からは、Musiq3にてウィーン国立歌劇場の「ローエングリン」が。2007年に新国立劇場ですばらしいマルシャリンを聴かせてくれたカミラ・ニールンドさんの登場ですよ!

1/12 4:03からは、SWR2にて、ベルリン国立歌劇場のペーター・ルジツカ「ヘルダーリン ある探求」の初演の模様が放送されます。これは興味津々なり。ルジツカは1948年生まれのドイツ人作曲家。ヘンツェの門下生で、作曲家としてだけではなく指揮者としても活躍中。日本にもいらしたことがあるようです。

ヤバイです。これは。無事に録音&鑑賞できるかなぁ?楽しみ。

Roma2008

昨夜は1時前にホテルに戻って、そのまま眠りほうけてしまう。疲れているので当然。なので少々寝坊気味。今日は日曜日ということもあって、疲れていたとはいえ美術館へ出かけることに。というのも、美術館は月曜日が休館になることが多いので。

ホテルを9時ごろ出発。バルベリーニ宮へ。この美術館の門は、あの映画「ローマの休日」で、ヘプバーン「王女」の大使館の門として撮影に使われたもの。確かに面影はそのまま。ミーハーなので、とりあえず証拠写真を撮っておく。

館内は人も少なくのんびりと鑑賞できた。レーニとカラバッジョが印象的。ベルニーニの彫刻があまたと展示されている。ほとんどが胸像なのだが、その精緻なリアリティに驚かされる。ラファエロもあるのだが、この絵の背景が木々の枝葉であることにはじめて気がつく。鬱蒼たる叢林がわき上がっているとは。印刷ではきちんと判別できていなかったのだ。やはり絵に関しても実物に接してみなければ本当のところはわからない。

これは昨年ボッティチェルリを見たときに感じたことと同じ。一生に一度は本物に触れないとだめだなあ。それも若いうちに。若いときのほうが受ける衝撃は大きいはず。とはいえ、まだあきらめんぞ、と。

美術館の外を出ると、夏の盛りで、青い空には雲ひとつなく、バルベリーニ宮が輝いている。疲れてはいたが園庭を見て、日本人と白人のカップルと写真を撮りあって、という感じ。時のたつのが緩慢で、なんだか夢の中に入り込んだかのよう。

バルベリーニ家は教皇ウルバヌス8世を出した名家。紋章に蜂が用いられているので、美術館の入り口の扉には蜂の彫刻があしらわれている。

なんだか、宮崎アニメの一風景のような気がする。

 

 

 

Concert,WebRadio

ああ、逃してしまった。初回のベルリンフィルデジタルコンサートホールライブ。これだから詰めが甘いっていわれるんだよ、って、初回は1月6日20時から。日本時間の1月7日午前4時。平日の朝4時からはキツイ。なんせ、6時には家出発して通勤開始なので……。

しかし、1月の以降の公演は体に優しい週末。これなら見られそうです。17日は試聴は決定。がんばって早起きしよう。ちなみにお値段は9.9ユーロ。1300円ぐらいでしょうか。ユーロが安くなってうれしい。

1月11日16時(日本時間1月12日0時) メータ(cond)、ペライア(p)

  • エリオット・カーター「スリー・イリュージョン」
  • べートーヴェンピアノ協奏曲第四番
  • R・シュトラウス「家庭交響曲」

1月17日20時(日本時間1月18日4時) ハイティンク(cond)

  • マーラー 交響曲第七番

1月24日20時(日本時間1月25日4時) サカリ・オラモ(cond)、ファウスト(vn)

  • ツィンマーマン「Photoptosis」
  • シューマン ヴァイオリン協奏曲ニ短調
  • シューマン 交響曲第二番ハ長調

楽しみです。

Opera

ヘルマン・ゲッツのオペラ「じゃじゃ馬ならし」を予習中です。

ゲッツは36歳でなくなってしまった作曲家ですが、年代的にはブラームスと近いです。以前にも触れましたが、弦楽五重奏をとある演奏会で聴いてから気になる作曲家になりました。ドイツオペラ的には、ウェーバーとワーグナーの間に位置するとでも言いましょうか。

ゲッツの音楽は、抒情的で優しさに溢れた曲調です。「じゃじゃ馬ならし」というシェークスピアの喜劇を題材にしているということもあって、深刻さのようなものはあまりなく、伸びやかなドイツ的牧歌的抒情性を感じます。指揮者はカイルベルト。いい雰囲気です。

結構気になるいいフレーズがあるのですよ。 たとえば、

MIDIファイルです。聴いてみてください。→widerspenstign.mid

いかがですか? 何か自信に満ち溢れた若々しい旋律。この旋律を聴けただけでもううれしくなってしまいます。東京オペラプロデュースによる公演はは1月17日です。なにごともなく行くことができればいいのですけれど。

WebRadio

おかかさんがまとめてくださっているこちらのウェブ。なんだか本当に申し訳ないです。きっと作るのが大変なんだろうなあ、と思いながら、参考にさせてもらっています。 私にもなにか貢献できることがないだろうか、などと思ったり。ACCESS、EXCEL、VBA、Perlなどを使って省力できないかなど考えてみたりして……。一番いいのは、放送局のウェブサイトを巡回して自動的にサマリーするようなスキームができるといいのですが、時間がかかりそうですし、著作権の問題などもありそう。

今晩はクリスティーナ・シェーファーが登場します。楽しみです。どうやらバロックの演奏会のようです。

さて、エリーナ・ガランチャさんのCDを今更ながら発見して買い注文を出しました。私が初めてガランチャさんを聴いた2003年からもう5年以上たっていますね。グラモフォンに籍があって、ネトレプコとの共演も多数。両雄並び立つという感じでしょうか。ガランチャさんは、今週末にも二つのラジオ局に登場します。こちらも楽しみです。

11日~12日にかけては垂涎もの番組が多数あるのですが、それについてはまた、ということで。

Giacomo Puccini,Opera,WebRadio

今日から仕事始めです。 また日常が戻ってきました。平日は以前にまして時間を取るのが難しいので、寸暇を惜しんで目的に向けて進んでいきたいものです。

1月3日に、7ヶ月ぶりにアルトサックスを吹いたのですが、さんざんでした。調子に乗ってしょっぱなにフラジオ音域で吹きまくっていたら、アンブシェア(口の形とでもいうのでしょうか)が保てなくなって、ロングトーンがふけなくなりました。フラジオ音域なんて夢のまた夢な状態。1オクターブ下で吹くことにしました。無念。それでも無理ならEWI(ウィンド・シンセ)投入か? って、ここに書いたらバレルやないか……orz。ともかく、あと二日練習出来るかどうか、というところ。これはピンチです。良く見る夢があるのですが、それはオペラの舞台に立っていて、これからドイツ語を歌わないといけないのに、困ってしまう、という悪夢なのです。それと同じ感覚。ともかく全力を尽くしましょう。

今日は、メトロポリタン歌劇場にて1月3日マチネで演奏された「ボエーム」を聴いております。

ミミのマイヤ・コバレフスカヤMaija Kovalevska さんは、1979年ラトヴィア生まれとのこと。低い音の声質が変わってしまって少し残念ですが、柔らかい感じの声です。ヘッドフォンで聴いているときは、ちょっとビブラートがかかりすぎで、音がつぶれているような感じだったのですが、自宅でスピーカから聴いてみると印象が全く違います。むしろ感動させ覚えてしまう。すばらしい「私はミミ」です。よくつやが出ていますし、ビブラートも自然な感じで聞こえてくるのが不思議です。 さらに、ゼンハイザーのHD600という少々高いヘッドフォンで聴いてみてもやはり高音域がよく伸びて聞こえてきます。ちょっとこれはショック。たしかにいつも使っているBOSEのクワイエットコンフォート2は低音域が強調されている感じがありましたので。

ロドルフォのラモン・ヴァルガスRamón Vargasさんは、輝く音というよりいぶした深い倍音を持った声。高音域が得意というタイプではないです。むしろ高い音が少し苦しそうに聞こえてしまっているように思えました。こちらも自宅で聞き直してみると、印象は少し変わりましたが、苦しそうなのはやはり苦しそう。体調の問題などありますし、ライヴ音源なので許容範囲かもしれません。

ムゼッタのスザンナ・フィリップスSusanna Phillips さんは、第二幕のワルツで、婀娜っぽさだしながらうまく歌っておられます。マルチェッロのマリウス・キーチェンMariusz Kwiecienさんが素敵です。つややかで黒光りする声。落ち着きを払った威厳のある声。フンディングとかヴォータンを聴いてみたいですね。実際にはドン・ジョヴァンニを歌ったりしておられるようですので、ちょっと方向性はちがうでしょうか。

指揮のフレデリック・シャスランFrédéric Chaslinさん は伸縮自在なテンポでうまく旋律を歌わせようとしています。有名な聴かせどころではかなり減速して歌手にのびのびと歌わせていますね。とおもったら、幕入りでは煌めくように駆けるところもあって驚かされます。

再生装置の重要性に気づかされてしまったボエームでした。うーん、痛い。いまからオーディオに投資するのも難しいですし、音楽と言えばiPodで外出中にしか聴けませんし。困りましたね。