新国立劇場/ワーグナー「ワルキューレ」その2
ワルキューレスペシャルということで、ドイツのプレッツェルが売っていましたので買いました。これはミュンヘンなんかだとホテルの朝食の定番なのですが、パンの周りに白い塩の結晶がついていて、塩味が効いてとても美味しいのです。すこし塩辛いのですが。新国で売っていたこちらは、決勝などはついておらず、周りに薄く塩味がついているだけですので、日本人の口にもよく合います。私は塩辛いほうも好きですけれど。
今日は演出面について。ネタバレあります。
実は色々面白くて、二幕冒頭でブリュンヒルデが子供用の木馬に乗って登場したのには失笑気味。でも、ブリュンヒルデもやっぱりいまいちだったらしく、木馬から降りると、えいとばかりに蹴飛ばして、木馬はするすると舞台袖に消えていきました。
二幕ではもうひとつ面白いネタがあって、ジークムントの眼前にフンディングが登場する場面。舞台には平べったいほとんど屋根だけの小さな小屋がしつらえてあるのですが、天上から伸びる赤い巨大な矢印がその小屋を指差しています。そこにはHundings Hütteと書いてあります(たしかそうだと思う)。意味的にはフンディングの家というとも取れますが、むしろ僕は犬小屋ととってしまい、苦笑。確かにあの大きさだと犬小屋というほうがしっくりきます。フンディングへの醒めた見方です。フンディングは既成の価値観でしか行動できない人物だとしたら、既成に尾を振る「犬」なわけですから。フンディングの名前の由来もそこから来ているそうですし。もちろん、Hundはドイツ語で犬で、Hütteは小屋という意味。さらにHundehütteだと犬小屋という意味。Hundings Hütteを「犬小屋」と捉えてもあながち外れていないと思います。
舞台機構も圧巻でして、三幕の救急救命センターが舞台奥へとすれ下がっていくのですが、すごい奥行きで、新国立劇場の舞台の奥行きがあんなにも巨大だとは、と思った次第。今度はしたから巨大な木馬、これにはGraneと書いてあって、ブリュンヒルデの馬の名前なわけですが、それが持ち上がってくる。息を呑みました。
それからもうひとつ。ブリュンヒルデが岩山で眠りに付き、火で囲まれるシーン。私としては、赤い照明効果が火をあらわしているのだろうな、とぐらいにしか思っていなかったのです。ブリュンヒルデは舞台中央のゆがんだ金属製の巨大なベッドに寝かされているだけですので。ところが、あっという間に、ローゲの炎に包まれる。本当に火が出たのですよ! マジですか! という感じ。っつうか、横たわっているブリュンヒルデのネーメットさんは熱くないのかな、と真剣に心配しました。もしかしたら人形なのかもしれないな、などと思いつつ。
音楽ももちろんすばらしかったのですが、今回は演出も楽しめた感じです。やっぱり「ラインの黄金」にあまりいい印象をもてなかったのは僕の責任なのだな、と痛感です。
ちなみに、私の席は、2階R3列1番。舞台に向かって右側のテラス席の前のほうです。そこですと、舞台右奥は死角になってしまい何が起きているのかわかりませんでしたが、舞台に近くて迫力満点でして、大満足でした。いつもは2階中央なのですが、久々のテラス席はなかなかいいなあ、と思いました。この席からだと、ピットの様子も良く見えて、打楽器奏者が自分の出番になると姿を現して、ひとしきりたたいたあと、譜面を次の演奏場所までめくって姿を消していくのが見えたり、ホルンが10人弱ぐらいいて、多いなあ、とか、意外とバスクラリネットがいくつもおいしい旋律を吹いていて、サックス経験者の僕としてはなかなか興味深かったり。 オケに入りたかったなあ、といまさらながらに思います。オーボエがイングリッシュホルンを吹きたかったですねえ……。難しいでしょうし、楽器も高いと思いますけれど……。
ディスカッション
yokochanさん、コメントありがとうございます。ブログ更新できず、コメントもかけず……。申し訳ないです。
ワルキューレを晩に観ると、帰宅時間は相当厳しいそうですよね。私もマチネだったにもかかわらず、翌週はへとへとでした。演出は公演プログラムを読んだりしていくうちにいろいろと気がつき始めてとても興味ぶかくなりました。まだまだ勉強せねば、というところです。来年のジークフリート、神々の黄昏が楽しみです。
プレッツェルはおいしかったですよ。新国はアルコールの種類も増えてきましたね。もっとも、私はアルコールに弱くて、幕間に飲むと必ず寝ますので、楽しめないのです。残念です。
次はムツェンスク郡ですが、リングばかり聞いていて、なかなか予習が進みません。
またのご来訪をお待ちしています。
こんにちは。
12日のマチネに行かれたのですね。
私は平日の夕刻からのパターンでしたので、家へは午前様状態でした。
初演時の舞台の記憶が切れぎれでしたが、舞台を観てゆくうちに、それらが結びつき、かつそれらの意味合いを考える余裕が少し出ました。
こういう情報過多の舞台は、何度も味わってみたいものですね。願わくは、お金がかかりそうな舞台ですが、レパートリー化してもらいたいです。
プレッツエル、おいしそうです。気が付きませんでした。
ワルキューレだけのスペシャルなんでしょうかね?
新国の食べ物は、だんだんとレパートリーが増えてますね。
ワルキューレは、オーボエやイングリシュホルンが活躍しますので、私も体験してみたいです。