Opera,Richard Wagner

 このところはジークフリートばかり聴いています。だんだんと面白くなってきました。白眉はやっぱり第三幕最終部で、ここばかり飽きもせずに聴いています。

そもそも、ジークフリートとブリュンヒルデの関係は恐ろしい。

無垢な世間ずれしていない奥手なジークフリートが初めて出会う女性に籠絡されてしまうという図式。ある種怖さをも感じてしまう。ブリュンヒルデは、ジークフリートのことをお見通しな年上女性。ほとんど親子ぐらいの歳の差なのに、ジークフリートをものにしてしまう。うーむ、よく考えると怖いです。

まあ、眠っている間は年をとらない、冷凍睡眠的な(火の中で眠っているにしても)状態なのかもしれませんので、歳の差はそこで解決でしょうか。

もっともブリュンヒルデもそれまでは神々の仲間として世間ずれした生活をしていたわけですので、世間知らずという意味ではジークフリートと同じ。だから二人ともハーゲンにしてやられてしまうという図式。そういえば、中学校の先生に「酒やタバコをやって、ある程度毒を取らないと、毒に耐えられないのである。毒をもって毒を制せ」なんていわれたのを思い出しました。二人とも毒っ気が足らないです。だからこそ、神話になるのでしょうけれど。

男が現れて眠りから女を救い出すという構造は、童話の世界からのおきまりごとです。眠りの森の美女とかそういう感じ。逆のパターンもあって、カエルに変えられた王子にキスすることで魔法が解けて王子が救い出され、結ばれるみたいな図式もありますね。

なにはともあれ、ブーレーズの指環が観たいです。