ジョン・D・マクドナルド「濃紺のさよなら」

ちと疲れ気味。これはまずい。セーブしないと。

ジョン・D・マクドナルド「濃紺のさよなら」を読みました。トラヴィス・マッギーシリーズの最初の本といえましょうか。

失ったものを取り返し、手数料として半額分受け取る取り返し屋、あるいは私立探偵のトラヴィス・マッギー。キャシーという女が相談に訪れる。自分の父親が戦時下で手にした財宝をひどいやり方で奪われた、というのである。奪ったのはジュニア・アレンといういやらしく卑劣な男。刑務所で一緒だったから、と娘のキャシーの元に居座ったのだ。急に金回りが良くなったアレンは、キャシーを非情なやり方で捨て去ったのだった。アレンは、キャシーの父親の隠した資産をどうやってか手に入れたということなのだった。キャシーは困窮し、働きに出ざるを得なかったというわけだった。トラヴィスは、行動を開始するのだが、行く手にはアレンの犠牲者達が連なっているのだった。

乱闘シーンがすごいのです。すさまじい描写力で、映画を観ているかのような錯覚を覚えました。そして悪鬼の最期の姿のおぞましさとか、あっけなくもはかない別れなど、印象的なシーンがたくさん。プロットもすごくいい。トラヴィスはヒーローだけど、無敵な強さではない。苦悶し自答し失敗だってする。ハードボイルド的だけれど、人間的でもある。

しかし、やっぱりこの世に鬼はいますよ。マジで。