European Literature

 下巻まで読み終わりました。

下巻は、上巻とは打って変わって、ストーリーは単一。上巻の複層性とは対照的です。物語としてはややもすると予想された方向に収斂していきますが、さすがにベテランの作家さんだけあって、下敷きにしている情報量が素晴らしかったです。映画を見終わったあとのすがすがしい感覚。

フィクションとはいえ、ロシアの実情をある程度は反映していると思われますので、非常に勉強になります。ロシアの抱える闇は、そう単純なものではないようです。最近はそうした諦観を覚えるようになってきました。

上巻で、実業家の男が語った以下の文がちょっと気になりました。

わたしは馬齢をかさねて、悪というものは存在しうる、そして悪はしばしば一個人によって体現されうると言うことを信じるようになりました。

この一言は、ナチスドイツを指し示す文脈で用いられていまして、まあ、個人的には善悪二元論に追従するほど耄碌していないつもりですが、少なくとも状態としての悪は少なからず存在しているという強い直観は間違いのないことで、それから、それらが単に断罪できるほど単純ではないことも、自分のなかにも悪が巣くう可能性があるということも。油断せずに生き抜かねばならないです。個人でできることは限られていますが。

以下の「続き」は、読み終えたかたのみごらん下さい。ネタバレ的なものが書いてあります。

 

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