Richard Strauss

Richard Strauss: Four Last Songs; Brentano-Lieder; Orchesterlieder Richard Strauss: Four Last Songs; Brentano-Lieder; Orchesterlieder
(1994/09/06)
Richard Strauss、 他

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今日は、ルチア・ポップさんの最後の四つの歌を聴いています。ポップさん、本当に美しい声です。高く鋭く孤高な美しさ。アンナプルナ、っていう山のことをなぜか思い出しました。鋭角な峰は誰をも寄せ付けない孤高の美しさに漲っているわけですが、そんな山を麓から眺めている気分。手に届くこと決してない美的形象。本当に何もかも捨てても良いぐらいに美しい。
ポップさんといえば、僕の中ではサヴァリッシュ盤の「インテルメッツォ」で華麗に、陽気に歌っている方だったのですが、最後の四つの歌を聴いて印象が少し変わりました。華麗で陽気なだけではなく、静謐で深みのある歌い手さんでもあるのでした。


ようやくと気分も晴れ始めました。今朝の驟雨は凄い勢いでしたが、お昼にはすっかりやんで、太陽の光が地面に照りつけている。そんな中いつもの森に入ったのですが、降雨後ということもあって、本当に涼やか。セミがあたりを激しく飛び交う中(本当に激しいんですよ。何度となくぶつかりそうになりましたから)、30分弱ぐらい歩くことが出来ました。

昼休みは、今週から日課になった、哲学史の本を読んで、大学時代の記憶を少しずつ取り戻す試みに。今日はプラトンを読んで、アリストテレスに入ったところ。トマス・アクィナスの存在論で躓いたので、古代に戻ったのです。アリストテレスの認識論とトマスの認識論の相似に少しびっくり。

明日はまた暑くなるようですね。残暑厳しい折、と言う感じです。

Richard Strauss

シュトラウス・ヒロイン シュトラウス・ヒロイン
(2006/05/24)
フレミング(ルネ)、グラハム(スーザン) 他

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フレミング/シュトラウス・ヒロイン というアルバムを聴いています。フレミングさんが歌うシュトラウスの初体験は、BSで放映された「カプリッチョ」ですが、歌も演技も最高でした。それで、フレミングさんに目覚めたわけです。このCDには、「ばらの騎士」、「アラベラ」、「カプリッチョ」の聴き所が収められています。

とりあえず、大好きな「カプリッチョ」を聴いてみました。指揮はエッシェンバッハさんなのですが、いつも聴いているベーム盤やサヴァリッシュ盤より相当遅いテンポ。月光の音楽はたっぷりと、水がゆったりと溢れていくような感じです。月光の音楽以降を聴いただけで、もうお腹一杯ですね。ばらの騎士の終幕のところもいいですね。フレミングさんの声は、芯のしっかりした力強い声です。


今日は暑かったですが、お昼休みに森の散歩を愉しみました。さすがに暑いので、いつもの半分程度で切り上げましたが。

それにしてもセミの鳴き声がだんだん秋日が付いてきた気がします。ミンミンゼミやツクツクボウシの声が聞こえ始めると、もう夏は終わりと言った風情。気温は暑いですが、大気は既に秋を内包している。その気配が見え始めると、途端に落ち込むことが多いのです。うら寂しい秋が訪れるわけですからね。15年ほど前は秋ほど好きな季節はなかったのですが、ある時から、秋が苦手になった気分。涼しくなるのは良いのですが、日も短くなるし、葉が色づき、散り始めるのをみると、本当に哀しくなりますね。今年の秋を無事に乗り切ることが出来るでしょうか??

Richard Strauss

昨日まで毎日シノポリ氏の9番を聴いていたのですが、なかなか言葉が思い当たりません。テンポが遅め設定ですが、うねるような重厚な響きに圧倒されているのでしょうか。それとも、僕のなかで違和感を感じないほど寄り添ってくれているのでしょうか。もう少し時間をおいて向き合おうかなと思いました。

Capriccio
Capriccio

posted with amazlet on 07.07.12
Richard Strauss Karl Böhm Bavarian Radio Symphony Orchestra Bayerischen Rundfunkorchester Anton de Ridder Arleen Augér David Thaw Dietrich Fischer-Dieskau Gundula Janowitz Hermann Prey
Deutsche Grammophon (2005/09/13)
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というわけで、今日は久しぶりにシュトラウスの「カプリッチョ」を聴いています。何度も紹介したベームさんの指揮による盤です。今回聴いてみていいなあ、と思ったのは、ディースカウさんがオペラについて歌うところ。22トラック目です。以前にも書きましたが、ここで使われる旋律は原稿の音楽のそれと同じなのです。あの気を失うぐらい美しい旋律にディースカウさんの雄々しく個性的な歌い回しが入ってくるところ、素晴らしいですね。ベーム盤は何回聴いたでしょうか。この9ヶ月ほどでもう何十回と聞いているに違いありません。


それにしても、この三週間ぐらいマーラーばかり聴いていましたので、やはり少々疲弊しているようです。マーラーに当たった、とでも表現したらいいのでしょうか。幾ら好きなものでも、三週間も聴き続ければ少し疲れるのは当たり前ですよね。あの美味しい生牡蠣をパリで食べたというのに、夜半にかけて嘔吐し続けたことを思い出しました。美しいもの、美味しいものには気をつけなければなりません。


明日で会社はおしまいです。今週末は14日から15日にかけて富士山に登る予定でしたが、流れました。一つは台風の影響、もう一つは雪解けが遅れていて、登山道が開通していないと言うこと、の二点です。厳密に言えば、山梨県側登山道と御殿場の北よりの登山道は開通しているのですが、予約をした山小屋のある登山道はまだ開通していません。というわけで、15日の夜から開通している登山道から登って、ご来光を頂上で眺めようと思っています。さて、どんな絶景が待っているのでしょうか? 楽しみです。


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Richard Strauss

Strauss

R.シュトラウス/アルプス交響曲 R.シュトラウス/アルプス交響曲
カラヤン(ヘルベルト・フォン) (1998/06/10)
ユニバーサルクラシック

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以前にも取り上げた、シュトラウスのアルプス交響曲です。昨夜、二次会の帰り、フラフラしながら、帰りの電車の中でおもむろに聴き始めた曲です。

昔は、あまりに表題的過ぎるなあ、と思って、あまり親しんでこなかった楽曲なのですが、この数ヶ月間というものの、その魅力が徐々に理解できるようになった気がしています。始めてこの曲を聴いたのは多分小学校6年生か中学1年生の頃だと思います。何度か書いていますが、当時はCDなど買うお金など持っておらず(そもそもCDプレーヤーを持っていなかった)、両親が音楽は大して好きではなかったと言うこともあってレコードプレーヤーは壊れたまま。ですので、ただただ金曜日の夕刊に掲載されるNHK-FMの週間番組表と毎週にらめっこして、どんな音楽が放送されるのかを毎週楽しみにしていたのでした。当時は、ただただいろいろな作曲家の交響曲が聴きたくて、「交響曲」という文字に反応して、ただただひたすらエアチェック(死語です)していましたね。そんな中にやはりこのアルプス交響曲も含まれていたのですが、そのときの録音テープがあまりよくなく(SONYのHF-60というテープで、TAPE Iでした。懐かしいです)、ラジオのノイズが酷くて、一度聴いていやになってしまったのでした。もしかしたら、その演奏も今ひとつだったのかもしれません。ですので、アルプス交響曲の最初の印象はあまり良いものではなかったのでした。

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少し新しめのHFテープの画像。僕がアルプス交響曲を録音したのはもう少し古いバージョンでした。

それから二十年以上経って、シュトラウスのオペラを聴き始めてたということと、先だって書いたようにインターネットラジオでこの曲が放送されていたと言うこともあって、またこの数ヶ月、カラヤンに酔っていると言うこともあり、このCDを買ったわけです。いやいや、本当に素晴らしい演奏です。ようやく僕の方でこの曲を聴く準備ができたと言うところだと思います。

アルプス交響曲は1915年、シュトラウス51歳の時の作品です。初演は1915年にベルリンで行われ、指揮はシュトラウス、演奏はドレスデン・シュターツカペレ。やはりシュトラウスはドレスデンとはとても強い縁で結ばれているようですね。作曲はガルミッシュ・パルテンキルヒェンの山荘で行われました。ですが、体調があまり芳しくなかったのであまりと残はしなかったようです。それで、この曲の元になったのは、若い頃に登ったツークシュピッツェの印象が元になっていると言われているそうです。写真はツークシュピーツです。flickrで検索してお借りしてみました。


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Originally uploaded by elrecke.


壮麗な山の風景を本当に豊かに描いていると思います。雷鳴とどろく嵐の場面でパイプオルガンが低音で支えるあたりの荘厳さは筆舌に尽しがたいです。道に迷ってしまう部分の少しコミカルな感じも面白いですね。今は力を抜いて曲の中に入って聴くことが出来ている気がします。それはもちろんカラヤンの盤石な演奏に依るところも大きいと思います。これだけスケールの大きな曲の全体を把握して演奏するのは本当に難しいと思うのですが、きちんと振っておられますからね。当然ですね。カラヤンは本当に偉大です。シュトラウスももちろん偉大です。


今日は7時半に起きました。平日は5時〜6時半にかけて起きるのですが、今日は少し遅めになります。30分ほど英語の勉強をして食 事。それからいつものカフェにて仕事。雨が降ってきたのでお昼には帰宅して昼食。昨日の疲れが残っているので、1時間ほど午睡をとって、また少し仕事。気分転換にブログを書いているところです。明日からもまた仕事に行きますが、疲れが残らないと良いのですが。今日は早く寝ようと思います。


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Richard Strauss

Capriccio Capriccio
Richard Strauss、 他 (2005/09/13)
Deutsche Grammophon

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最近マーラーを聴いてばかりなのですが、久々にシュトラウス先生になぐさめてもらいたくなりました。毎度毎度で大変恐縮ですが、カプリッチョの最終幕です。 ヤノヴィッツさんとシュヴァルツコップさんの伯爵夫人を聴いてみたのですが、今日に限って言えば、ヤノヴィッツさんの歌にスッと入っていけるような気がしました。ヤノヴィッツさんの声は、とても透明でなめらかに澄んでいる声だと思います。清澄で品のある感じです。 もちろん録音の影響もあるでしょう。シュヴァルツコップさんが歌っている録音は残念ながらモノラル録音ですが、ヤノヴィッツさんの録音はステレオですので、奥行き感や広がり感はどうしてもヤノヴィッツさんの録音ほうに軍配が上がってしまいます。そういうことも影響していると思います。

ドイツ・グラモフォン名歌手名盤(2)オペラ・アリア集
ヤノヴィッツ(グンドゥラ) ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団 ベーム(カール) モーツァルト ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 バーンスタイン(レナード) ベートーヴェン ドレスデン国立管弦楽団 クライバー(カルロス) ウェーバー
ユニバーサルクラシック (2003/10/29)
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ヤノヴィッツさんは、1937年にベルリンで生まれ、1959年(60年と記載されている向きもあります)ウィーンにてデビューしたそうです。特にドイツ語の歌唱で活躍されていて、モーツァルト、ウェーバー、ワーグナー、シュトラウス、バッハ、ベートーヴェンなどなどがレパートリーだそうです。 ヤノヴィッツさんのマルシャリンも聴いてみたくなってきました。ディスコグラフィーはこちらに

http://www.doremi.com/gundulajanowitz.html

やはりマルシャリンを歌っておられるようです。CD化はされていないようで、入手できるかどうかは分かりませんけれど。 それにしても思うのは、シュトラウスとマーラーは同時代に生きていながら、こうも比較にならないぐらい作風が違うのか、という感じです。マーラーの灰色の憂愁に対して、シュトラウスは地中海的明朗への憧憬という感じでしょうか。そもそも二人の出自はまるっきり違いますからね。ユダヤ人商人の息子だったマーラーにたいして、シュトラウスはバイエルンの名ホルン奏者の息子ですから。それでも二人ともウィーン宮廷歌劇場の音楽監督に就任していますが、やはりマーラーは無理したんでしょうね。体をこわして亡くなってしまう。それにたいして、シュトラウスはまだ余裕があったのでしょうか、戦後まで存命でしたからね。もちろん、シュトラウスの晩年は、ナチスとの関係で悩んだりしますし、音楽史的にも、時代遅れとされてしまいますが。


今日は少し調子が悪いです。昨日、後輩の結婚披露宴に出席して、少々疲れてしまったようです。いつものカフェにでかけて本を読んだりしようかな、と思って出かけてみたのですが、なかなか本の中に入っていけませんでした。少し疲れているようなので、午後からはゆっくりしよと思ったのですが、部屋の片づけを少々大々的にやってしまいました。夕方は、近所の文化センターに行ってサックスの練習。来週の土曜日はまた結婚式で吹くことになっているのですが、大丈夫なのでしょうか……。


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Richard Strauss

  1. Strauss
R.シュトラウス:歌劇「バラの騎士」(全曲) R.シュトラウス:歌劇「バラの騎士」(全曲)
カラヤン(ヘルベルト・フォン)、フィルハーモニア合唱団 他 (1999/07/16)
東芝EMI

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Hab mir’s gelobt, Ihn lieb yu haven in der richtigen Weis´. Dass ich selbst Sein Lieb´ yu einer andern noch lieb hab! Hab´ mir freilich nicht gedacht, dass es so bald mir aufgelegt sollt´ werden! Es sind die mehereren Dinge auf der Welt, so dass sie ein´s nicht glauben tät´, wenn man sie möcht´erzählen hör´n. Alleinig wer´s erlebt der glaubt daran und weiss nicht wie ß da steht der Bub´und da steh´ ich, und mit dem fremden Mädel dort wird er so glücklich sein, als wie halt Männer das Glücklichsein verstehen. In Gottes Namen.
私が誓ったことは、彼を正しい仕方で愛することでした。だから彼が他の人を愛しても、その彼をさえ愛そうと。でもそんなに早くそれが来ようとはもちろん思いませんでした。この世の中にはただ話を聞いているだけでは信じられないことがたくさんある。けれども実際にそれを体験した人は信ずることができるけれど、でもどうしてだかは分からない──
ここに「坊や」が立ち、ここに私が立っている。そしてあそこにはほかの娘が。あの人はあの娘と幸福になるでしょう。幸福と言うことをよく知っている男達と同じように。

ばらの騎士第三幕より

行って参りました、新国立劇場の「ばらの騎士」。結論から申し上げますと、圧倒的なパフォーマンスに終始驚かされ続け、涙を流さずには聴いておられないほど感動の連続で、現実を忘れ、夢のなかをさまよった四時間半だった、と申し上げましょう。僕は、先だっての「蝶々夫人」でも、滂沱の涙で、あんなにも感動したことはない、と書きましたが、それと同じく、いや、それに勝るほどの公演ではなかったか、と思います。オペラを聴き始めてからまだ五年弱で、まだまだ聴いているかずも少ないのですが、感動係数自己最高に並んだ、ないしは越えたと言っても過言ではありません。

まず、ペーター・シュナイダーが棒を振り下ろして、あの序奏を演奏し始めた途端に涙が溢れました。なぜだか分かりません。弦楽部の美しがすばらしく、シュトラウスのオーケストレーションの甘美さに胸を激しく揺さぶられるのでした。

オクタヴィアンのエレナ・ツィトコーワは、以前書いたように、2003年に新国立劇場でフィガロの結婚にケルビーノ役で出演していますが、そのときの感動が再び訪れます。ツィトコーワの声質は、女声の美しさと言うよりボーイソプラノ的なのです。芯のあるしっかりした声で。圧倒され続けまそた。そして演技が巧い。男らしい挙措が本当に様になっているのです。マルシャリンのカミッラ・ニールントは、その品位ある姿に感銘を受けます。歌も巧いのですが、それ以上に溢れ出る魅力に圧倒去れ続けている感じでした。オックス男爵のペーター・ローゼの歌、演技ともに、慣れたるものと言うことで余裕な感じ。オックス男爵という笑いを誘いながらも歌唱力を要求される役柄を完璧に演じていたと思います。声も良いですしね。

幕が開くと、ジョナサン・ミラーの品の良いセットが出てきます。新国立劇場の「ファルスタッフ」の演出も手がけているミラーさんのセットは、淡い色調の寝室で、左側の大きな窓から朝日が差し込んできています。 第一幕の最後、マルシャリンが煙草を吸って、窓の外を眺めます。オクタヴィアンが馬に飛び乗って行ってしまったのを引き留められなかったのです。キスをせずに追いだしてしまったことを激しく後悔するマルシャリンなのですが、よく考えれば、もうキスをする機会を喪っているのですね。このあと、オクタヴィアンはソフィーと結ばれ、マルシャリンはひきさがるわけですから。我々観客はそのことを知っているから、窓の外を眺めているマルシャリンの心情を慮らずには居られません。そして秀逸な演出は、窓の外に雨が降っていることを表現するのです! 窓ガラスを雨水が伝っているのです。その雨の流れが影となって室内に動く影を投げかけます。マルシャリンの心象風景を完璧に表現しています。

第二幕の聞き所はバラの献呈と、オックス男爵の歌うワルツだと思うのですが、バラの献呈のところ、ここでも泣きましたよ。本当に。テンポはかなりゆったりとしていて、豊かに歌いあげている感じ。幸福の絶頂でした。生きていたら良いことあるなあ、と。 第三幕、オックス男爵を仕掛けで驚かせて警察が来るドタバタの後、黒いドレスを着てマルシャリンが登場。いやあ、本当に威厳があるんですよ、ニールントさんは。その美しさ、気品、威厳に圧倒されて、もうオケの音はほとんど聞こえていない(すいません)。ずっとオペラグラスで眺めていましたが、微妙な表情の変化などをつけて、オックス男爵に対するときは威厳に加えて怒りの表情を品位を保ちながら示す。本当に素晴らしい。 演出も秀逸で、マルシャリンの登場後もドタバタして、舞台上はカオティックな状態になるんですが、その中にあっても、オクタヴィアンはマルシャリンを見つめ続けている。実に秀逸です。

そして最後の三重唱。上品で、甘美で、とけてしまいそう。この曲、シュトラウス先生のご葬儀に歌われたんだよなあ、と思うと、もう涙が止まらない。お恥ずかしながら……。 そうして、最後にファニナルとマルシャリンが手を携えて部屋を出て行く。マルシャリンは、手を取り合うオクタヴィアンとゾフーの方を一瞬振り返るんですね。オクタヴィアンを手放して、身を引いた大人のマルシャリン。でも、最後一瞬だけ心が揺れている。それを振り返ることで表わしている。うーん、素晴らしい。マルシャリンの心情が分かります。

幕が下りた後、当然のようにカーテンコールがあったんですが、新国立劇場でここまで盛り上がったカーテンコールの記憶は僕にはありません。僕もはじめて「ブラボー」と叫んでみました(少し小さい声でしたが……。次はもっと大声出せると良いんですけれど……)。

華麗な舞台、理想的な美へと立ち上ってゆく薫り高いパフォーマンス。うーん、こういう舞台って、なかなか観られないんじゃないでしょうか というわけで、先だっての「蝶々夫人」に続いて、感動にうちふるえた公演でした。いやあ、本当に生きていてよかったです。


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Richard Strauss

Strauss

R.シュトラウス:歌劇「バラの騎士」(全曲) R.シュトラウス:歌劇「バラの騎士」(全曲)
カラヤン(ヘルベルト・フォン)、フィルハーモニア合唱団 他 (1999/07/16)
東芝EMI

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Ich weiss noch was. Was weiss Sie noch, sag’ Sie mir’s, ma cousine.
Quiquin.
Weiss Sie den Namen auch?
──何をご存じですか、どうぞおっしゃってください、従妹さん
──カンカン
──その名前までご存じですか?

ばらの騎士第二幕より

Heut oder morgen opder den übernächten Tag. Hab’ ich nicht ein Gelübde tan, dass ich’s mit einem ganz gefassten herzen ertragen werd’ … Huet morgen oder den übernächsten Tag.
 今日か、明日か、あさってか。私は前に言ったではないの? どの女にも一度は来ることです。私は知らなかったのだろうか? 私は誓ったのではなかったの? 強い覚悟を持ってこれを堪え忍ぶために。今日か明日か、それともあさってか

ばらの騎士第三幕より

 長いようで短い仕事に勤しむ一週間は終りました。いよいよ、明日、新国立劇場のばらの騎士です。予習と言うことで、カラヤンが1956年にフィルハーモニア管弦楽団を振ったばらの騎士を一日聴いていました。

  • 元帥夫人はシュヴァルツコップさん
  •  オックス男爵はエーデルマンさん
  • オクタヴィアンはクリスタ・ルートヴィヒさん
  •  ゾフィーはテレサ・シュティッヒ=ランダルさん

シュヴァルツコップさんの声は、柔らかくふくよかな感じですね。これは、サヴァリッシュ盤のカプリッチョでマドレーヌを歌っている声を聴いたときの印象と同じです。お顔のイメージとは少し離れていますが、僕のきらいな声質ではありません。エーデルマンさんはオックス男爵の野性味溢れる感じを巧く出していると思います。聴いていて楽しいぐらいです。ルートヴィヒさんも巧いですね。高くて倍音を吹くんだ良い声です。第三幕で女装して出てくるところ、本当に泣いているような声を出されています。 歌手が脇役で登場しますが、ニコライ・ゲッダさんなんですよ! まだそんなにメジャーではなかった頃の録音なのでしょうね。

ばらの騎士で一番好きなシーンは、ばらの献呈からゾフィーとオクタヴィアンがしばし二重唱で歌うところ。Quinquin、とゾフィーが伸びやかに歌うところ、このオペラの美しさの頂点の一つと言っても良いと思います。その後舞曲風のリズムが軽やかに始まって、タンバリンが二拍打たれるところの疾走感もたまらなく好きです。 それから、一幕の後半部分で元帥夫人が諦観する場面、そして最後の三重唱も聞き所ですね。しかしその美しさはオックス男爵のある意味下卑た(ちょっと酷い言い方ですが)性格が対極にあるからこそ生まれるものです。そして決して忘れてはならないのは、オックス男爵が歌うウィナーワルツ。オックスにこんな名旋律を歌わせるなんて本当に良い思いつきだと思います。

明日、楽しみになってきました。


今日で仕事は終わりでしたが、先だってのトラブルがまだまだ尾を引きそうな気配。少し憂鬱。でも週末に楽しみがあるから良いですね。今日もミーティングが多くて少し疲れました。家人も疲れたと言うことで夕食はスーパーで買ってきたお弁当に。一週間に一回はこういう感じで家事を休むような恰好になっています。明日は体調を万全に整えてばらの騎士に望みたいと思います。


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Opera,Richard Strauss

Richard Strauss: Der Rosenkavalier Richard Strauss: Der Rosenkavalier
Gottfried Hornik、 他 (1990/10/25)
Deutsche Grammophon

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新国立劇場のばらの騎士、6月9日に迫ってきました。 というわけで、予習を。 葉っぱに埃がついたので水をかけて払ってやったでちブログさんでもベーム盤が取り上げられていました。ベーム盤は聴いてみたいのですが、いったんはiPodに入っていたカラヤン盤(新しい方)を聴きました。

  • 伯爵夫人はシントウさん
  • オクタヴィアンはパルツァさん
  • オックス男爵は大好きなクルト・モルさん

このオペラで僕的に一番理解が深まっていないのが第一楽章の後半、伯爵夫人とオクタヴィアンの二重唱のところです。ここばかりはほかの部分に比べて、理解が弱いなあ、と思ったので、帰りの電車の中で集中的に聴きました(今日はとても疲れて半分眠ってしまったのですが)。それで家に帰ってからも聴いています。 伯爵夫人の歌詞のなかからいくつか抜粋してみます。

時とともに流れていくものがどんなに弱いかを、感じないではいられない気持なの。このことは私の心に深く食い込んでいく。

時というものはね、カンカン、時というものはすべての物を変えはしない。でも、時は不思議なもの。ただ夢中で生きているときは全く無に過ぎない。でも突然、時のほか何物も気に留めないようになるの。

カンカン、今日か明日かはしらないけれど、あなたは去っていく。別の人のために──私よりももっと若く、もっと美しい人のために私を捨ててしまう。

このあたりの音楽的盛り上がり方、本当に素敵です。シュトラウスらしい品のある美しさ、です。 それにしても、伯爵夫人の言うこと、本当にそうです。時間こそ最大の自然力で、我々は決してそれにあらがえない。そのことを30代になった伯爵夫人はよく知っているのですが、オクタヴィアンはまだよくわからない。若者たちがそうであるように、まだ無限に時間があるように思っているからなのでしょう。私たちもきっと同じ経験をしているはずなのです。かつてはオクタヴィアンだったが、そのうちに伯爵夫人の気持が分かるようになる。まるで、若い頃はオクタヴィアンを歌った歌手が、歳を重ねて伯爵夫人を歌うようになる、ということを物語っているようですね。

 「ばらの騎士」は、2003年の夏に、上野で二期会の公演があったのを見たことがあるだけです。あとはクライバーさんがウィーンで振ったDVDを見たぐらいです。ですが、今年は二回も見られますからね。楽しみです。


今朝は、気合いを入れて4時に起きて一仕事しようと思ったのですが、一時間であまりに眠たくてダウン。布団に潜ってしまいました。6時半には起きていつものように会社に行ったのですが、かなり悔しいです。今朝は多少準備に失敗した感があるので、明日は準備を万全に早起きしたいと思います。昨日の後輩のプレゼン、なんとか最後まで言ったようです。今日少し相談をしてフォローをしてなんとか完了。よかったです。この後輩が結構やる気もありますし、かわいい奴なんですね。