!https://lh3.googleusercontent.com/-FABv5OQqEtc/S6565JFQ27I/AAAAAAAADY4/hzco_AE3wao/s400/IMG_5075.JPG!
本日も演出のこと。あまりに楽しく興味深いことがあります。もう一度観に行きたいぐらいなのですが、さすがに時間が。。。残念すぎる。
最高! 池のシーン
第一幕ではピクニック場だったところは、第二幕になると、池に早変わりしていました。その池の周りで、デスピーナ、フィオルディリージ、ドラベッラが話をしているんですが、脈絡なく、フィオルディリージ、ドラベッラが池の中に入るのです。池は浅くて、膝下ぐらいの深さ。池は本当に水が張ってあって、水音が聞こえるぐらいです。で、そこにパンクロッカー調のグリエルモとフェルランドがやってきて、そこで、いきなり服を脱ぎ始める。マジですか!
ほとんどストリップ状態で、劇場内からもクスクスという笑い声が聞こえます。で水泳パンツ状態な二人は池の中に入って、フィオルディリージとドラベッラに色目を使いながら、水を掛け合って、ついには池の中に身を横たえて寝そべったりする。あそこはほんとに面白かった。すごく意味のあるシーンで、無理して目を引こうという男二人の一生懸命さがよく分かります。
賭は成立するのか?
最近日本ではやっている八百長ですが、欧州人は八百長はしないのでしょうか。グリエルモもフェルランドも、何故に、アルフォンソの言うがままになっているんでしょうか。八百長すれば賭には勝てるはずなのに。
先日のオペラトークでも、アルフォンソの掌の上で若者達が動いているに過ぎないのだ、という話がミキエレット氏自身から語られました
そこで気がついたのはアルフォンソの奇妙な仕草。
今回の演出では、若者四人をアルフォンソがコントロールしているかのようなそぶりを見せます。私が気づいたのは二カ所でした。最後の結婚式の場面で、若者達四人をアルフォンソが座らせようとするところ。肩に手を置いているように見えましたが、よく見ると、手は肩に触れておらず、まるで魔術のように四人操って、を座らせようとしていました。グリエルモはだけはなかなか言うことを聴かない感じでしたけれど。
アルフォンソの魔術のようなものに操られているから、八百長をせずに、グリエルモもフェルランドも諾々と演技をしつづけたということなのかな、と。
ここは私ももう少し考えてみないと。
ふくろう
第二幕、夜になると、キャンピングカーの上にフクロウがとまっていましたね。あれはかわいい。何か意味があるはずなんだけれど、分からない。。。おそらくは文化史的な意味合いがあるはず。ミネルヴァのフクロウ? フクロウは知識の源泉であったり、理性や哲学を象徴するものでもあった、ということか? オリジナルの「コジ・ファン・トゥッテ」の最後は唐突な理性賛美に終わるということもあるから? などなど。
サッカー
やっぱり、ヨーロッパを理解するためにはサッカーが大切なのでしょう。キャンピングカー前のテーブルに置かれていたポータブルテレビに映っていたのはサッカーの試合でした。私もサッカーの勉強をするのが今年の目標。がんばります。
音楽面
音楽面のことなのか不明ですが、公演中日だった6月5日は、他の人比べて今ひとつな部分があったようです。確かに、ピッチの狂いや、オケと間合いが巧く取れていなかったり、という部分は少し感じました。
それから、あまりに演出が楽しくて、音楽まで気が回らない瞬間が何カ所かあったかもしれません。。。だから、語るのが難しいのかもしれません。
ともかく女声陣3人が素晴らしい。まずは、ダニエラ・ピーニのドラベッラ。リッチな低音域に支えられた太く豊かな声で、芯もしっかりとした安心の歌声でした。第一幕の独唱はすごかったです。この方のオクタヴィアンを聴いてみたいです。おそらくはレパートリ違いと思いますけれど。
あとは、フィオルディリージのマリア・ルイジア。ボルシも良かったです。前半、ピッチが乱れる場面があったものの、第二幕の聴かせどころでは外すことなく聴かせてくれました。この方のヴィオレッタはすごそうです。
デスピーナのタリア・オールも良かったですよ。私はこういう役どころを歌われる方が大好きです。
ちょっと意外だったのは、最後に公証人に変装した場面で声色を変えなかったところ。あそこは、面白いことをやってくれるんじゃないか、と期待していたのですが、普通に歌っておられました。
最後に
というわけで、楽しかったコジ・ファン・トゥッテについてはここまで。本当に素晴らしい公演でしたし、それに関連したオペラトークと、舞台美術講演会などがあって、この一ヶ月間はコジ・ファン・トゥッテを十全に楽しめました。新国の企画に本当に感謝します。ありがとうございます!
あとは、他の方々の感想も気になります。これから探してみようと思います。
次は、今週末にせまった「蝶々夫人」の予習をしないと。
参考 これまでの関連記事
新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その1
新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その2
新国立劇場オペラトーク「コジ・ファン・トゥッテ」その3
【短信】「コジ・ファン・トゥッテ」の舞台美術に行ってきました!
新国立劇場のリハーサル室に潜入!── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その1──
登壇された方々── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その2──
もう一度、コジの演出と舞台について── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その3──
コジの制作の舞台裏── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その4──
大道具小道具そしてQA── 「コジ・ファン・トゥテ」の舞台美術 その5──
「コジ・ファン・トゥッテ」のチケットはこちらから。11日が最終日です → チケットぴあ
舞台写真 は “こちら":http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000154_frecord.html