ふうむ、しかし残念なニュース。「日本芸術文化振興会、予算要求の縮減(圧倒的な縮減)」とのこと。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
新国、つまり新国立劇場は、独立行政法人日本芸術文化振興会の配下で予算をもらっているわけで、親組織の予算が圧倒的縮減となれば、影響は避けられないでしょう。来年の「トリスタンとイゾルデ」も「アラベラ」も危ない。危なすぎる。っつうか、2010年4月以降の演目も心配。せめて「影のない女」は見たいです。実は、来シーズンにまた「ばらの騎士」をカミッラ・ニールントが歌うという情報もありますが、それも厳しいのでしょうか。
まあ、景気が悪ければ真っ先に切られるのは文化芸術分野や科学分野だと言うことはわかっているのですが、いかにも残念すぎる。
新国の総予算は79億円。そのうち国からの予算は48億円。予算ヘラされても自前でなんとかできるようにしないといけないのかもしれない。メトロポリタンだってやばかったけれど、相当頑張っている。しかし、オペラや演劇、バレエのバックボーンがない日本で、どれだけやれるのか、不安は大きいです。
新国も他の分野ではいろいろゴタゴタがあるみたいですし、ハコモノにも見えましょうし、天下り先と見られても仕方がないんだけれど、昨今は公演のレベルも上がっていると思うし、新監督尾高さんを迎えてこれから、というところなんですがね。オペラは、ある種夢の世界ですが、本当に夢になってしまいそう。
10年後に、「あの頃は新国でも「軍人たち」や「ヴォツェック」をやっていたんだがねえ」なんて繰り言を言うようになっちまうかも。10年の蓄積は人的資源、ソフトウェアなんですが、このご時世だと、高速道路やスーパー農道と同じように写るんでしょうね。新国なんて、一部の人間しかその恩恵を享受していないと言われても仕方がないですし。
新国だけじゃなくて、国立劇場や文楽劇場などの国立系劇場もその影響くらうのだけれど。
先日ニュースで、日本科学未来館の予算も削られるとのことで、館長で宇宙飛行士の毛利衛さんが、民主党議員の前で必死に抗弁しているシーンが出ていました。そのお姿には痛々しささえ感じました。結局思い届かず予算削減となったのですが、本当に複雑な思い。むなしさを感じました。
これも民主主義ということなんですけれど、やっぱり少人数がバタバタと仕分けする姿は、なんだか統制主義的なにおいも漂う気がしなくもない。、国民の「生活」が大事だし、経済分野が最重要課題なのはわかりますが、殺伐とした統制社会が訪れようとしているのかもしれない。
つうか、まだ決まった訳じゃないし、意見あればメール送れるらしい。
ネット上の意見のうち、センセーショナルなものでは、新国はもう自主公演をできないのでは、的な意見もある。実際はどうなるかわかりませんが、今後の動向は注視が必要です。