Book,Tsuji Kunio

IMG_1348.jpg
近所の畑を夕暮れ時に撮りました。おそらくはじゃがいもの花。ボケ味がいまいちかも。どうも望遠レンズが故障しているらしく、いまいち巧く取れていません。この後どうしよう。修理すると高いし。

「たえず書く人」辻邦生と暮らして (中公文庫)
中央公論新社 (2012-12-19)
売り上げランキング: 38,690

Kindleで辻邦生の奥様である辻佐保子のエッセイを買いました。このエッセイは、辻邦生全集の月報をまとめたものです。辻作品の解題としては、傍らにいた方ですので幾つもの種明かしが詰まっていて、とても興味深いのです。あのシーンは本当にあったことなのか、といった驚きのようなものを感じるとともに、小説家辻邦生の創造力と想像力がいかにすさまじいものであるか、ということをよく理解できます。

究極的な美をめざ創造が、いかにして最終的な魂の救済をもたらすかという重い倫理的な課題、エステティカとエティカの相克に、辻邦生はたえず挑戦し続ける。

91ページ
学生の頃、現在東大名誉教授でいらっしゃるY先生の授業に出たことが会って、その時に新カント学派の真善美について話をしたら「いま、そんな真善美なんてのを信じているの!!」と驚き笑われた記憶があります。
「美が世界を支える」という辻邦生のテーゼは、真善美という古代ギリシアからの価値を、体得したものなのだと思います。それが、このエステティカ=美学とエティカ=倫理学の問題なのでしょう。エステティカが失われ、エティカが失われたら、その次に来るのはアレテイア=真実が失われるということでしょうか。
意外にも、「ある晩年」や「小説への序章」で描かれるギリシア賛美は、その後姿を変えていくようです。その辺りの変遷についての示唆が書かれていたのもこの本を読んだ収穫でした。(といっても二回目のはずですが、前回は気づかなかったのです)
やはり、辻邦生は私にとって大切な方です。今日も読んでいてボロボロ落涙しました。年をとったということもあるんでしょうけれど、素直に賛成できるから落涙するだろうなあ、と思います。
ではグーテナハトです。

2013/2014シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera

新国終わりました。しばしの逃避リフレッシュ。
早いもので五月も後半です。月日は高速で過ぎ去ります。
週末にみた《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》について引き続き。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》のほうから。
やはり、フラッカーロはうまい。あの凄まじい張りのある声は、パヴァロッティにもドミンゴにもない持ち味です。もしかするとデル=モナコなのかもしれない。
フラッカーロの忘れられないパフォーマンスは、新国のオテロです。あの時は、あまりの凄さに驚き、いい意味で「あいた口がふさがらない」という状況でした。今回もやはりでした。
サントゥッツァを歌ったルクレシア・ガルシアも素晴らしかったですよ。潤いのある声で、声量もたっぷり。贅沢です。あとはローラを歌った谷口さんが素晴らしいです。声質がヨーロッパの歌手の声に似ていて驚きました。
youtubeに新国立劇場が《カヴァレリア・ルスティカーナ》の映像を載せていました。フラッカーロは1分20秒ぐらいから登場です。

イタリア・オペラは本当にいいなあ。
ちなみに、映像の冒頭に出てくるキリスト像、なんだか面白いです。これはまた明日以降書きます。
ではグーテナハト。

2013/2014シーズン,NNTT:新国立劇場,Opera

Photo
徐々に体調も回復してきてやっとまっとうにオペラが楽しめるようになってきました。体は疲れてますし、昨夜はたまたま観た映画(Cast Away)を見てしまい夜更かししてしまったんですが、特に眠気にさいなまれることもなく、劇に引き込まれた3時間でした。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》も《道化師》もヴェリズモ・オペラですので、色恋刃傷劇で、愛憎にまみれて人が男人も死ぬんですが、悲劇はカタルシスですので、心が洗われた気がします。多分。
舞台には、シチリアに遺されたローマ時代の円形劇場が設えられています。これがまたリアルすぎでした。左手にはオリーブの古樹があって、ギリシア風の円柱の残骸がいくつかころがっているという、まあアルカディアのような風景です。本当にリアリティのある舞台でした。
《カヴァレリア》も《道化師》もおなじくこの円形劇場が舞台ですが、なにか共通の趣向があるわけではありませんでした。たとえば、《カヴァレリア》事件の夜に《道化師》事件がある。あるいは、《カヴァレリア》の登場人物が《道化師》の脇役で出演する、といった繋がりがあるとまた面白いなあ、などと想像していたのですが。
《道化師》はなかなか面白い趣向です。サーカス一座の登場は、ありがちではありますが、キャストが客席から登場します。専用のビラまで配ってました。それからカニオは、殺人を犯したあとに、客席のドアから逃げ出します。これも舞台と客席がつながっていました。こういう客席と舞台の一体感は楽しいですね。この客席と舞台の融合をずっと続けるパフォーマンスがだともっといいですね。
《道化師》はよくよく考えると第四の壁を最初から取り除いているのですね。トニオが役者の心情を切々と歌い上げますが、それは劇中の役者の心情なのか、実際の歌手地自身の心情なのかが曖昧になってくる、という趣向は、これも常套ではありますが、興味深いものです。
それから、後半の劇中劇の場面も面白いですよね。劇と劇中劇が混在していきますので。劇ではネッダとシルヴィオが不倫関係に有り、劇中劇ではコロンビーナとアルルカンが不倫関係にあり、被害者はカニオということで、混乱しているカニオは、両者の区別が付けられなくなってしまう、という、ありがちですが、そうした混乱の緊張感は手に汗を握りますね。カニオの逸脱を、ネッダがなんとか元に戻そうとするあたり、とか。
ともかく、劇と劇中劇においても虚構と現実の境目が曖昧になるということは、劇と観客の境目も曖昧になっているように感じられ、観客が引き込まれやすい構造になっていました。
とりいそぎグーテナハトです。明日も書きますね。

Ludwig van Beethoven,Photo

IMG_1271.jpg
一つ目の夢の風景。
日枝神社に参詣する老夫婦のシーン。こういうのが日本人の原風景なのかもしれない、と勝手に思っています。先日イギリス人と話をしたとき、神社に参拝したという話をしたのですが、本当に信じているのか? と問われて困りました。
まあ、神社で何かを祈念するというのは、神に祈るというより自分に向けて決意を新たにするという側面が強いのでしょう。そういう意味では、効果はあるはずで、信じているということもあたっているのかもしれません。
この鳥居は山王鳥居というらしく、日吉大社系列の日吉神社、山王神社などに共通の鳥居です。街なかでは有りますが神々しいものです。
二つ目の夢の風景ですが、これがまた奇妙でした。
昨日の明け方に観た夢です。
妻の実家からレコードが発見され、それが渡邉暁雄の《運命》の幻の録音、という設定でした。
聴いてみるとこれが凄い演奏でした! ちゃんと音が聴こえていたでsが、実にビビッドな演奏でした。テンポは中庸から少し速いぐらいで筋肉質なたくましい演奏でした。だれたり、もたれたりしない。リタルダントやディミヌエンドを使うことがないが、エッジが聞いていて、要所要所が素晴らしい、そんな演奏でした、
偉そうな夢の中の私は「これは人類の宝だ!」と言うわけです。全く。。。
で、現金なもので、この演奏をCD化して収益をあげよう! という話になるところが、いかにも市民的な発想で申し訳ないです。
今日はこちら。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、沸き立つように素晴らしいです。聴いたのは10年ほど前。それまで苦手だったハイティンクですが、このCDを聴いて好きになった記憶があります。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番
ブレンデル(アルフレッド)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2005-06-22)
売り上げランキング: 41,029

ではグーテナハト。

Oboe

IMG_0289.JPG

はじめに

異次元な多忙で、楽器を吹くのも儘なりませんでしたが、GWあけのとあるプロジェクトの〆切も終わりましたので、本格的にオーボエ再開しました。
それにしても本当に難しい楽器です。何回も繰り返しますが。サクソフォーンがいかに合理的なのか、ということを事あるごとに思い出しています。

最大の課題

最大の課題はフィンガリングです。
未だにキーを押さえられない、という状況す。キーには穴があいており、これを塞がなければなりませんが、サクソフォーンにはそんな面倒なことはありません。指で少しキーを抑えてやればいいんです。が、オーボエは、キーを抑えるだけではなく、キーに会いている穴も押さえなければなりません。
こんなことは、これまでやっておられた方には、常識なんでしょう。
指の形を覚えこませるまで練習すれば良いということはわかっていますので、あとは演るだけなんですよね。
で、数カ月前に、ebayで、セルマーのABS樹脂製のオーボエを落としました。木製オーボエは、屋外で吹くと割れて壊れますが、ABS樹脂は屋外で吹いてもOKなんですね。しかも左Fキーがついてるモデルを選びましたので、フィンガリングの練習にはなるのです。5万円ぐらいでした。
国内で売っているABS樹脂オーボエは左Fキーがありませんし、値段も10万円を超えますので、いい買い物をしたとおもいます。ただ、国内で調整してくれる楽器屋さんはないでしょうね、きっと。。

これを持って、昼休みに近所の運河で練習することにします。
アンブシェア・ビブラート
最近のレッスンで改めて思ったのは、アンブシェアの圧力を緩めるということ。緩めつつ、喉を開き腹筋で支えるということ。これも最近やっと分かるようになりました。喉を開く、というのはサクソフォーンと同じですので、この辺の感覚はずいぶんわかりやすいです。
あとは、サックス以上に高音域と低音域でアンブシェアや喉の開きを変えなければならないということです。これは頭ではわかっていますがついつい忘れがちです。まあ、フィンガリングで穴が塞がらない問題が先で、そこまでケアできていないだけなんですが。
サックスでは顎でかけるビブラートも、オーボエは腹筋でかけます。これも課題です。ビブラートをかけると途端におとがみずみずしくなりますので、はやくまっとうにかけられるようなりたいものです。
というわけで、引き続きがんばります。
では、グーテナハト?です。

Photo

IMG_1163.jpg
五月も半ばにさしかかってきました。短い春もそろそろ終わるのでしょうか。
今日はこちら。ジャズを逸脱した素晴らしさで、織りなすパターンが何度も何度も色合いを変えるさまは見事です。四楽章の交響曲のようなものかも。

THE WAY UP
THE WAY UP

posted with amazlet at 14.05.08
Pat Metheny Group
Nonesuch (2005-01-31)
売り上げランキング: 38,262

ではグーテナハト。

Book

書くことについて (小学館文庫)
スティーヴン キング
小学館 (2013-07-05)
売り上げランキング: 3,913

最近、ペーパレスと自動化を進めようとしています。それはこの方の影響です。ジェイミー・ルービンというアメリカの作家の方です。
http://www.lifehacker.jp/2014/03/140312how_i_work.html
この方が、キングの本を読んでいるというので、私も少し読んでみることにしたのです。
まだ全部読めていませんがなかなか興味深いです。ともかく、余計な表現を削れ、とか、そういう教訓は、私も常に感じていることですので、共感したり。
まあ、私の場合はブログを書いて、書評を書いて、という生活なので、ストーリーテリングの観点はあまり必要ありませんけれど。
キングの本はかつて何冊か読んだことがあって、まったくぶっ飛んだかたなんだろうなあ、と思っていましたが、やはりそうでした。でも、これぐらいぶっ飛んだ人はいなくもないわけで、やはり努力を続けたからなんだろうなあ、とも思います。
なんだか紙の本を読むのは久しぶりです。なんちゃって。
結構お勧めです。あ、少し刺激は強いです。
ではグーテナハト。

Photo

IMG_1174.jpg
GW終了ですね。
GW中、何枚か写真を取りましたが、近所ばかりです。トンネルの中に新芽が入っているような、そんなイメージ。
いくらかできないミッションはありましたが、最重要のミッションは終了しました。あ、最大のミッションは休養だったのですが、こちらはなかなかうまく行きませんでした。
昨夜はひどいもので、23時に寝たのですが、2時に置きてしまいそのまま3時間ほど眠れませんでしたから。理由は、夕方にスタバに行ってヴェンティを飲んだからと思います。夕方のカフェインは禁物です。
ではまた明日から平常へ。グーテナハトです。

Apple Music,Music

2015/09/30追記
2015/09/30現在、iTunesMatchと同じと思われるApple MusicのiCloudミュージックライブラリを使っていますが、私の環境においては、楽曲の情報が勝手に書き換えられるという事象は再現して居ないようです。

2015/09/22追記:
続報的な記事はこちらから → iTunes Matchの制限曲数は10万曲になるのか?

2015/12/13追記:
さらに続報の記事はこちら。 →  iTune Match 10万曲に! だが注意点も!

======
昨夜ツイートしましたが、iTunes Matchに関する悲痛な投稿を発見してしまいました。
iTunes Match & Classical Music
この記事の一番下でpuzzlemuseという方が投稿されています。
その方がおっしゃるには、アルバム名がiTunes Storeで規定されているものにリネームされてしまったといいます。作曲家と楽曲名で整理していたのにそれが塗り替えられてしまったとか。
以下引用します。

I only listen to classical music on my iTunes, and when my spouse installed iTunes Match for me it was a bad experience

First of all all my playlists and play counts disappeared. Then, everything iTunes found a match it would rename that album to whatever it was called in the store. Well classical alb,a don’t usually have titles, so any old thing would pop up. One album came out as “featuring Vladimir Horowitz" with no indication of what the music was. I had organized my entire library by composer and piece, so this was really heart attack inducing for me.

In the end, I wasted the 25 dollars by turning it off permanently, and using my Mac time capsule to restore my library to the version before iTunes matched was installed. In my opinion it is NOT good for classical music lovers.

想像される事態は以下の様なものでしょうか。
私が持っているCDで、iTunes Store でも売られているものでMatchしてしまいそうなアルバムとして、ラトルがベルリン・フィルの音楽監督に就任した時の記念コンサートで演奏されたマーラーの交響曲第5番の音源がありあす。シュテファン・ドールが第三楽章で舞台の前に出てきて、ホルン協奏曲のように演奏したあの音源です。

どうやら、アルバム名は、「Mahler: Symphny No.5」、アーティスト名は「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団&サイモン・ラトル」、作曲者名は「グスタ
フ・マーラー」になるようです。
ですが、この調子で名前を付けられると、整理がつかなくなるということは、私がiTune を使い始めた2003年頃からわかっていたことです。アルバムによってはアーティスト名はアルファベットだったりしますし、アルバム名もアルファベットだったり、指揮者名がついたりと規則がバラバラでしたので。
私は以下のように整理をしているのです。

アーティスト名は、作曲者名とかぶりますが、作曲家の名前に統一しています。演奏者だと複数登録できないと思い込んでいるので。演奏者はアルバムタイトルに入力しています。私が曲を選ぶときは、演奏者からではなく作曲家からアクセスすることが多いからです。
冒頭に紹介した「悲痛な投稿」から類推すると、iTunes Storeの音源とMatchした音源は、Store上のタイトルに置き換わってしまうことになるのでしょう。Matchしない音源はこれまでどおり、Matchしたものは変えられてしまう。もし本当なら私もpuzzlemuseさんと同じく心臓発作で倒れることでしょう。
この類推には、iTunesの納得出来ない現仕様を思い起こさせるものです。ジャンルの置き換えの問題です。かつてのiTunesでは、アルファベットのジャンル設定ができたのですが、いつからか日本語のジャンルに勝手に置き換わるようになりました。少なくとも2008年にはそのような仕様になっていました。これまではパッチをあてて回避していましたが、iTunes 11になってからはそのパッチも聴かず、上記スクリーンショットのように不本意ながら「交響曲」というジャンルに甘んじています。
iTunes Matchを知った時のそこはかとない不安は、こうした記憶があったからでした。
やはり、私の場合、導入をためらわざるを得ません。もちろん、前述のリンク先には、そうではない意見もあります。特にご自分でアルバム名やアーティストの規則を作っておられない方は導入の価値ありと思います。
どなたか、良い情報があればお教え下さい。
となると、私の場合、来るべきiPod Classicの廃盤に向けた対策を独自に考えざるをえないということになりそうです。
ではグーテナハトです。

Symphony,Wolfgang Amadeus Mozart

GW二日目。
IMG_1135.jpg
近所の畑で撮りました。この赤い花はなんでしょうか。。なんか東京近郊ばなれした風情です。
今朝は、会議をすっぽかし、重要情報を誤って持ち出し、はてどうしたものか思案する、という悪夢?に苛まれながら目覚めました。
昨日で仕事は名実共に休止したはずなんですがね。
GW中は、この数ヶ月の疲れを癒しつつ、とあるプロジェクトを進めるために専心しており、毎日22時には就寝し、6時半に起きる、という生活を実践しようとしています。もちろん時間割も作って。今のところ、今朝の悪夢のようなすっぽかしは発生していませんけれど。
音楽もよく聴いていて、チェリビダッケのハフナーにいたく感動しています。シュトゥットガルト放送交響楽団とのブルックナー集に含まれているものです。

ブルックナー : 交響曲 第3番 ニ短調
シュトゥットガルト放送交響楽団
ポリドール (2000-04-01)
売り上げランキング: 102,351

いつもはジェフリー・テイトの全集版でモーツァルトの交響曲を楽しんでいますが、テイトのそれより、チェリビダッケのハフナーのほうが、湧き立つような典雅さを感じるのですね。これを聴くと、テイトの演奏がどこか機械的なものに感じてしまうぐらいです。
チェリビダッケといえば、重厚長大な式をするイメージが有りますが、モーツァルトやベートーヴェンは驚くほど軽やかに演奏します。この演奏もそうした方向に変わりはありません。
明日も早起きをしたいものです。
というわけで、本日はこれにて。グーテナハトです。