Jazz

Sings Jobim Sings Jobim
Eliane Elias (1998/07/28)
Parlophone Jazz

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先だって、先輩、後輩が出演するライブを観に行きました。ジャズライブに出かけるのはとても久しぶり。インストナンバーやヴォーカルナンバーを楽しみました。とくに「The Shadow of Your Smile(邦題:いそしぎ)」が印象的。ライブの様子については、また明日に書いてみたいと思います。

それで、ライブは北東京のとあるブラジルレストランであったのですが、ブラジルの国旗が這ってあったり、フィルムケースで作ったシェーカーがおいてあったり、ラテン音楽のビデオが流れていたりと言う感じで、雰囲気も良い感じ。ケールという野菜の炒め物がとてもおいしい。

それで、ライブが始まるまで、ビデオを眺めていたのですが、それにいたく感動したのですよ。

おそらくは大御所の、白いスーツに黒いシャツを決めた男性歌手が自分の子供か孫かを抱いてステージ脇に登場し、付け人かマネージャに子供を託す。そして、彼はステージに昇る。満場の客席から激しい拍手。ステージ上の小さなテーブルには、ブランデーがグラスに入っておいてあって、吸い差しのタバコが細い煙を上げている。おもむろに、数十人規模のビックバンドがイントロを奏し、彼が歌い始める……。結構明るい感じの曲。

でも、ブラジルと言えば、生活も苦しいだろうし、こんな明るい音楽に浸れるのが信じられなかったのですよ、今までは。でも、このビデオを見て思ったのは、生活が辛苦に満ちているからこそ、戦闘的に明るい音楽にのめりこんで行っているのではないか、ということ。辻邦生師がおっしゃる「戦闘的オプティミズム」というものなのじゃないか、ということ。

辛苦を嘗めて、暗いところに蹲るのではなく、あえて明るいところに自分を晒していく、ということがよく分かったのです。だからこそ、カーニバルの陶酔と熱狂がある。あれは、生きていくための手段なのだ、ということも。本当にいまさらですが。

あ、もちろん、ラテン音楽すべてが明るい曲というわけではないですよ。そうじゃないのもたくさんありますから。

それで、積極的に手持ちのラテン音楽をきいてみているわけです。根が単純なもので……。よく言えば素直と言うことですが……。

とりあえずきいているのは、イリアーヌ・イリアスのSings Jobim(邦題:海風とジョビンの午後)。ジョビン有名な曲をイリアーヌの婀娜っぽい声で。そして、サックスはマイケル・ブレッカーですからね。良くないわけがない。それにしても、なんとも艶かしいジャケットだこと。