フランク/ヴァイオリン・ソナタイ長調 デュメイ(オーギュスタン) ピリス(マリア・ジョアン) (1995/07/26) ユニバーサルクラシック |
久々に「勝手に〜」に参加したいと思います。
いまから8年ほどまえ、室内楽ばかり聴いている時代がありました。ブラームスの室内楽を中心にいろいろ聴いていたのですが、ブラームスのピアノトリオの素晴らしい演奏を見つけたのです。それがデュメイとピリスの演奏でした。透き通りつつ柔らかいデュメイのヴァイオリンと、ピリスの叙情的で静かな情感のこもったピアノにほだされてしまったのでした。
二人の演奏のCDを何枚かかったのですが、その内の一つがこのフランクのヴァイオリンソナタのCDでした。僕が聴いたなかではフランクが一番印象的だなあ、と思います。
いやあ、美しすぎますよ、これは。
印象画派の淡い光のタッチを音楽にするとこんな風にきこえるのではないか、と思います。 太陽の光が並木の隙間から差し込んでいるのを眺めている感じ。柔らかい微風が頬を撫でていく。暖かい土や草の匂いが立ちこめている中、草原に寝ころんでいて、太陽の穏やかな光を浴びている、とか、そういう気分。きっと生演奏で聴くと、涙が止まらないんだろうなあ、と思います。
当時、フランスものに多少のめりこんでいた時代で、年甲斐もなく「失われた時を求めて」を読み始めたり、オルセーの屋根裏でうちふるえたりしたなあ。
この曲はプルーストの「失われた時を求めて」に出てくるヴァントゥイエのソナタのモデルにもなったとのこと。「失われた時を求めて」にでてくるバルベック界隈の美しい海岸や林の風景が思い浮かんできます。
そんなことを思いながら聴いています。またプルースト再開しようかな、と思いました。