本当は「魔弾の射手」を聴くべきですが、図書館から借りてきたテイト盤の「ホフマン物語」をついつい聴いてしまいました。「ホフマン物語」は、かつてウィーンと東京で実演に接したことがあるのですが、ウィーンの「ホフマン」は強烈に素晴しかったです。まだオペラを聴き始めて一年ぐらいしか経っていない頃で、右も左も分からない状態でしたが(いまでもそうですけれど)、そんな私でもあまりの素晴らしさに我を忘れたぐらいです。
ホフマン物語は、ご存じの通り、詩人のE.T.Aホフマンをモデルにしたオッフェンバッハのオペラで、ホフマンの痛みのある女性遍歴を共に回想し、最後にはミューズによってそうした遍歴が詩作へと昇華される、というお話し。自動人形のオランピア、瀕死の歌姫アントニア、ヴェネツィアの高級娼婦ジュリエッタ、と言う具合に、三人の女性が回想されるのですが、三人とも強力なソプラノでなければならないという、極めてゴージャスなオペラです。
未完で終ったと言うこともあっていくつか版があるのですが、このCDマイケル・ケイ校訂のグランド・オペラ版の世界初録音だそうです。この版は最終幕の盛り上がりが素晴しいのです。
昨日聴いたのは第三幕アントニアです。アントニアの幕で、歌を禁じられているアントニアが悪魔の誘惑に負けて歌を歌い始める最終部が好きでして、テイト盤でもこの部分を愉しみました。第二幕のオランピアのコロラトゥーラも有名ですが、アントニア幕も素晴しいですよ。
こちらもやはりドレスデンサウンド。やっぱりルカ教会は良いですね。
- 作曲==ジャック・オッフェンバック
- 指揮者==ジェフリー・テイト
- 管弦楽==ドレスデンシュターツカペレ
- 合唱==ライプツィヒ放送合唱団
- ホフマン==テノール==フランシスコ・アライサ
- リンドルフ、コルペリウス、ミラクル博士、ダペルトゥット==バリトン==サミュエル・ラミー(→レイミー)
- クレスペル==バリトン==ボリス・マルティノヴィチ
- オランピア==ソプラノ==エーファ(エヴァ)・リント
- アントニア==ソプラノ==ジェシー・ノーマン
- ジュリエッタ==ソプラノ==シェリル(チェリル)・ステューダー
- ミューズ/ニクラウス==ソプラノ==アンネ=ゾフィー・フォン・オッター[オッテル]
- アンドレス/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ==テノール==ジョルジュ・ゴーティエ
- スパランツァーニ==テノール==リカルド・カッシネッリ
- 録音場所==ドレスデンルカ教会