思い立って、プロコフィエフの交響曲第5番を聞くことにしました。CDラックに眠っていたものです。iPodに全7曲の交響曲を入れ終わりました。指揮は小澤征爾さんで、演奏はベルリンフィル。グラモフォンの廉価版ボックスCDです。
昨日から少しずつ聴いているのですが、思い起こせばプロコフィエフの交響曲はきちんと向き合って聴いたことがない。1番の「古典交響曲」はジュリーニの指揮小さい頃から何度も聴いていましたが、5番、6番を社会人になりたての頃にそろりと聞いたぐらい。すっかり忘れ去っていますが、確か晦渋な曲である印象でした。そういう意味ではプロコフィエフといえば、私にとってはアルゲリッチとアバドが演奏するピアノ協奏曲第三番だけだったような気がします。不勉強ですが。ともかく、今回iPodにプロコフィエフの全交響曲を入れてみると、あらためて交響曲の世界に身を浸す喜びを感じます。
昨日聞いた第1番ですが、「古典交響曲」ののとおりハイドンらしい小粋な感じの曲。小澤さんの指揮で聴くとフランス音楽のような爽やかさを感じます。改めて聴くと良い曲です。
交響曲5番は今朝から聞き始めました。良いですね。ショスタコーヴィチに似ている気がします。長和音と短和音が混ざり合っています。意外にもフランス音楽の響きが聞こえてきて、フランクの交響曲のような和声が聞こえたりします。これは小澤征爾さんのフランス的な部分が発露しているといえましょうか? 旋律的にはドイツ的な朗々と歌うような旋律美はないのですが、旋律が繰り返し違う色合いで代わる代わる現れる感じです。あるときは深い茶色、あるときは深い紫色。
とはいえ、交響曲第5番の四つの楽章は、二つに分けることができるといえましょうか。第一楽章と第三楽章は重々しく行進する楽章、第二楽章と第四楽章は舞曲的なリズミカルな楽章です。作曲されたのは1944年。第一楽章と第三楽章の威儀ある感じは、戦争中の空気を反映しているのでしょう。
すこしカミングアウトしますと、このCDを買った当初、そうですね、もう7年ぐらいまえになるでしょうか、そのときに一度聴いたときに、全く受け入れることができなかったのです。どうしてかは分からなくて、それがもしかしたら小澤さんの指揮だからなのか、と勘違いしていたようなのです。小澤さんの指揮に対する苦手意識はこの頃からあったのかもしれません。もちろん、今回聞き直してみて、そうした苦手意識を払拭することができたのですが。