Concert,Gustav Mahler,Symphony

はじめに

ご無沙汰しておりますが、ちゃんと生きております。
今年に入っていろいろありまして、わりと忙しい感じになってきましたし、会社のオフィスも関東西部から東京湾岸に移りました。前にも書きましたが。。
それにともない、転居してと、まあ、目の回るようなこの数ヶ月です。ですが、これからもっと目が回ると思われる。がんばろう。
で、忙しいとはいえ、仕事ばかりしているとあまりよろしくないと言うことなので、輪番休業日を利用してサントリーホールでマーラーを聴いてきました。こちらも、いつもお世話になっている先生とのご縁で行くことが出来た次第で、本当に感謝しております。

報告

先生に書いたメールをもとに、書いてみると……。
指揮は、フィンランドの俊英であるピエタリ・インキネン氏。聴くのは初めてでしたが、スタイリッシュで筋肉質、鋭敏で明快な指揮で、スポーツカーに乗っているかのような心地よさがありました。オケをしっかり統制している感じです。
一番驚いたのは、第一楽章最終部分で、あそこだけ、他の部分よりも遙かに早い超絶テンポで演奏したところです。日フィルメンバーもきちんと追随していたように思えました。前から二列目ということで、日フィルの方の気迫に恐れ入りました。
あとは、コンミスの江口さんのヴァイオリンソロが格別でした。音が引き締まりながらも柔らかみを帯びた演奏で、以前もいただいたチケット「ツァラトゥストラ」の時と同じく感動しました。
今回も、サントリーホールの前列方面で、大変な贅沢でした。いつも思うのですが、前列の席は、指揮者や弦楽器奏者の息づかいや表情がよく見えるので、感情移入してしまうことが多いです。
曲中、オケの方々は本当に真剣で、当然ですが笑うことすらしないんですが、曲が終わって得、音がサントリーホールの天井ではじけ飛んだ瞬間、オケのメンバーの顔が一転晴れやかになって、充実の笑顔を見せたのが印象的でした。
そこからは大盛り上がりで、オケのメンバーもお互いをほめ合っていた気がします。前の列ですので、木管や金管の方々が見えなかったんですが、そのなかでも木管の若い男の方が、指揮者に指名されて立ち上がって拍手を浴びたとき、感極まって泣いていたようにみえたのが印象的でした。
この曲、本当に大変な曲だなあ、と思います。

楽曲について思ったこと

この曲は、大自然を描写したもので、マーラーが、ブルノ・ワルターに、自然の風景を見る必要はない、なぜなら、すべて私が楽譜にしたのだから、等と言った、というのは有名な話のようです。
そういうこともあって、鳥のさえずりが聞こえたり、沸きたつ雲が見えたり、断崖絶壁が見えたりします。
で、それが徐々に変質していく。第三楽章で、舞台裏から聞こえるトランペットは、ララバイか、あるいは羊に帰営を促すメロディーなのか。で、最後には、もうこれは帰営ラッパとしか思えないようなトランペットの旋律が聞こえてきます。
第四楽章で、アルトが入ってくるあたりから、これはもう自然賛美を超越してしまう。おそらくは日が暮れて夜も更け、思索に耽り始めて登場する妄念や観念が飛び交う時間。
第五楽章になると、ほとんど夢幻の世界になってしまう。女声合唱および児童合唱と、アルト独唱は対立しっぱなしです。完全に精神が分裂していてほとんど二重人格状態。
ミクスチャ多様性は、色んな音楽に見られるものですが、その中でもマーラーの音楽においては、その断絶が激しい気がします。世の中は多様で相反する様々なものが蠢く複雑怪奇なものですが、それがそのまま反映している気がするのです。

おわりに

というわけで、私の今シーズンの幕開けは素晴らしいものでした。このシーズンも忙しいですが合間をぬって、いろいろ聞いていきたいと思います。