辻佐保子「たえず書く人」辻邦生と暮らして

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近所の畑を夕暮れ時に撮りました。おそらくはじゃがいもの花。ボケ味がいまいちかも。どうも望遠レンズが故障しているらしく、いまいち巧く取れていません。この後どうしよう。修理すると高いし。

「たえず書く人」辻邦生と暮らして (中公文庫)
中央公論新社 (2012-12-19)
売り上げランキング: 38,690

Kindleで辻邦生の奥様である辻佐保子のエッセイを買いました。このエッセイは、辻邦生全集の月報をまとめたものです。辻作品の解題としては、傍らにいた方ですので幾つもの種明かしが詰まっていて、とても興味深いのです。あのシーンは本当にあったことなのか、といった驚きのようなものを感じるとともに、小説家辻邦生の創造力と想像力がいかにすさまじいものであるか、ということをよく理解できます。

究極的な美をめざ創造が、いかにして最終的な魂の救済をもたらすかという重い倫理的な課題、エステティカとエティカの相克に、辻邦生はたえず挑戦し続ける。

91ページ
学生の頃、現在東大名誉教授でいらっしゃるY先生の授業に出たことが会って、その時に新カント学派の真善美について話をしたら「いま、そんな真善美なんてのを信じているの!!」と驚き笑われた記憶があります。
「美が世界を支える」という辻邦生のテーゼは、真善美という古代ギリシアからの価値を、体得したものなのだと思います。それが、このエステティカ=美学とエティカ=倫理学の問題なのでしょう。エステティカが失われ、エティカが失われたら、その次に来るのはアレテイア=真実が失われるということでしょうか。
意外にも、「ある晩年」や「小説への序章」で描かれるギリシア賛美は、その後姿を変えていくようです。その辺りの変遷についての示唆が書かれていたのもこの本を読んだ収穫でした。(といっても二回目のはずですが、前回は気づかなかったのです)
やはり、辻邦生は私にとって大切な方です。今日も読んでいてボロボロ落涙しました。年をとったということもあるんでしょうけれど、素直に賛成できるから落涙するだろうなあ、と思います。
ではグーテナハトです。

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