Tsuji Kunio

去年に続き今年も大吉。

昨日は、少し遅くなりましたが初詣に出かけました。

いつものように運試しをしたところ、今年も大吉です。このところ大吉をひく確率がかなり高いのです。そうか、今は恵まれているのか? まあそういうふうに思うようにしますが、悩みはつきません。

大吉といえば思い出すのがこちら。

いつだったか、福永武彦氏の財布に「大吉」と書いたおみくじが入っているのを観たことがある。ずいぶん昔に引いたものらしく。色が変わっていた。しかしこれなどは戦闘的オプチミズムの好例だろう。何かのことで、おみくじを引いてみて「凶」とでたら、「吉」が出るまで引いてみるという気持。何も運だめしは一回きりと決まったものではない。運というものがあるならば、自分には「好運」しかないんだ、と信じこむ力。あまりこちらが楽天的なので貧乏神も旗を巻いて逃げ出すといった態度──私は気質的にそういう生き方に共感するようである。

辻邦生『迷信について』 時刻のなかの肖像 162ページ

この文章を高校時代に読んだときからこの「戦闘的オプチミズム」という言葉がずっと頭から離れませんでした。しかし、実際にはオプチミズムというよりもペシミスティックに生きることのほうが多かったのが、この20年ほどだったように思います。それでもこの5年ほどはずいぶんオプティミスティックに物事を考えられるようになりましたが(きっと毎日泳いでいる効果だと信じています)。

それで、私も、縁起物の大吉のおみくじを財布に入れるようにしました。大吉が激しく出始めたこの数年、6枚ほどたまりました。最近はおみくじに占める大吉の占める率が高くなっているのかもしれないです。しかし、だから「自分には『好運』しかないんだ、と信じ込む力」を感じるようにしているのかも、と想いました。まあ、うまくいかないことの方が多いですが、おそらくは、戦闘的オプチミズムで乗りこえるんだと思います。

ということで徐々に日常に戻りつつありますが、そんななかでも、年始を忘れず進みたいものです。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Book

ヨーロッパの都がひとつ、またひとつと地上に花開く様子を眺めた。

(118ページ)

もともと、航空機が好きでした。全日空(当時)ボーイング727に幼いころ乗ったのが原体験なんだと思います。その後も旅行の楽しみの一つは、訪れる先での体験ということもありましたが、なによりもフライトを楽しむことも目的の一つになっていました。しばらく前には、フライトシミュレータをPCに入れて、仮想の空を飛んでパイロットのことを想像したりもしていました。最近は、旅行に行くこともなくなり、もう5年近く飛行機に乗っていません。いつになったら乗れるのか。

先日、ふらりと書店に立ち寄ったのですが。ハヤカワ文庫のNFが平積みになっていて、ふと気になったのがこのヴァンホーナッカー氏の「グッド・フライト、グッド・ナイト」でした。

パイロットの書いたほんと言えば、私が思いつくのは内田幹樹さんの作品群で、数年前にずいぶん熱心に読み込んだものです。内田さんの小説もエッセイも、航空機運航の裏側がよくわかる優れた作品でした。この本も違わず面白そうだな、と思い、パラパラと本をめくると、なんだかずいぶん詩的な表現が多くて、めずらしく衝動買いをしてしまいました。

ヴァンホーナッカー氏、実にたくさんの文学作品を読んでいるようで、ワーズワース、ディーネセン、ミュッセ、ウォレス、マルセル・デュシャンといった文学者芸術家の言葉の引用が美しく、すべての描写が深みを帯びているのです。ここまで航空機と文化芸術が融合した作品を読むことが出来るのは本当に嬉しいです。

冒頭の引用は、イスタンブールからヨーロッパ上空をとんだ時の描写。ヨーロッパ大陸を進むに連れて眼下にいくつも広がる街の様子を花にたとえた美しい描写で、思わずため息がでました。確かに、昔、夜のドイツを空から見下ろしたとき、オレンジ色のナトリウムランプに照らされた街が、まるで大地の上を這うように煌々と輝いていて、そうした街が地平線に向かっていくつも見えていたのを思い出したのでした。

素晴らしい詩人は比喩表現がすぐれているもの。ヴァンホーナッカー氏もやはり詩人だなあ、と思いました。

今日も、空を飛ぶ旅客機を眺めながら、どこかへ飛んでいきたい、と思うことしばし、でした。

それではみなさま、おやすみなさい。グーテナハトです。

Jazz

休みに入って1週間近く経っています。幸い、扁桃炎の再発も抑えつつ過ごしています。大掃除をまあまあやりましたので、今日は少し養生。明日は予定があるので、今日が休息も最後かな、と。

たまっていた仕事もなかなか片付きません。結局スプレッドシートを使った仕事をしようとすると、どうしてもExcelを使いたくなりますが、我が家ではMac中心の設定になっていますので、Excelをつかうにも、仮想マシンを立ち上げてどうこうしなければならず、かなり作業効率が落ちていました。

それで、正月休みにしかできないぐらい作業負荷が高いと思っていた、かつてのWindowsデスクトップマシンを2年ぶりぐらいに起動してみました。それで、なんとか動きまして、やれやれ、と言った感じです。Excelも快適に使えそう。さらに、とても助かったのは、あやまって削除してしまったと思っていたファイルが見つかったことです。こうしたファイルをクラウドにあげておいたほうがよい、と考えているのですが、クラウドはクラウドでコストがかかりますので、どうしたものかなあ、と思っているところです。

今日はこちら。大掃除をしながらApple Musicのジャズのプレイリストを聴いていて見つけたアルバム。パオロ・フレスのTempo di Chet。おそらくはチェット・ベイカーに捧げられたアルバム。フレスはイタリアのトランペット奏者。サルジニア生まれだそうです。何というか、欧州のジャズは、アメリカのジャズとはひと味違う洒脱さがあるように思います。疲れた心には実に合う感じ。なにか、冷えた白ワインを飲むような感覚。一緒にブルーチーズを食べて、太陽に灼かれている感じがします。プレイリストに入っていたEverything happens to meが実に鮮やか。

明日で休みはおしまい。また頑張らないと。何を頑張るのか、というのが問題ではありますが。

それではみなさま、お休みなさい。グーテナハトです。

Miscellaneous

2019年初日の出。 本年もよろしくお願いいたします。

あけましておめでとうございます。
今年は「変わる」ことを目標にしようと思います。何がどう変わるか……という問題はありますけれど。ともかく変化できなければ生きていけないのがこの世の中です。適応していくものが一番強いわけですから。

ともかく今年も辻文学や音楽のこと、あるいはさまざまな本のことを書いていきたいと思います。

2019年もよろしくおねがいいたします。