白樺の森に
ずいぶん長い間書けなかったな、と思いました。1月19日に書いて、それから二週間あまり。
ふと手に取った辻邦生の「地中海幻想の旅から」に納められたロシアへの旅の文章に引き込まれてしまいました。
私がこの長い長い汽車旅を選んでよかったと思ったのは、翌日の早朝、私が目を覚まし、何気なく枕もとのカーテンをあけたときであった。窓の向うには、初秋のロシアの白樺の森が果てしなく続いているのであった。私は思わず息をのみ、冷たい朝霧のなかに、輝くような白い幹を連ねる美しい森に見入ったのだった。
目に浮かびますね。白樺の森がどこまでもどこまでも続いている感じ。それは、我々日本人にとって、白樺の森という非日常がそこにまずあり、その非日常がどこまでもどこまでも無限に続いているという信じられない感覚で、それは自らの現世での経験の矮小さと、世界の認識しきれぬ無限にも近い広大さをまざまざと感じさせるもの、と思います。
それでもなお、白樺の森は有限にある、という事実。
世界はどこまでも美しく広漠です。
立春がすぎて、春が待ち遠しい今日この頃。東京地方は春一番がもう吹いてしまったとか。とはいえ、まだ寒い日はしばらく続きそうです。どうかみなさまご自愛ください。
おやすみなさい。グーテナハトです。
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