Opera

どうも最近調子が今ひとつで、ご無沙汰してしまっております。

会社の往還では辻邦生先生の「ある生涯の七つの場所」を読んでいまして、文庫版の第一巻「霧の聖マリ」をそろそろ読み終わります。今回は研究しながら読もうと思っているのですが、どうやってまとめればよいのか。以前はアクセスのデータベースで登場人物の整理をしよう、と思っていたのですが、なかなかうまくいかず。ここは一念発起するしか。

さて、 今日はいよいよ新国にて「ラインの黄金」を。ニーベルングの指環の実演に触れるのは恥ずかしながらこれが初めてでして期待はふくらむばかり。とはいえ、ウォーナーの演出は読み替えがなされているので、入っていけるかと言う点では心配でもあります。まあ、映像付きの指環はサヴァリッシュ@バイエルンで見ておりますので、何とか大丈夫だとは思うのですが。

それにしても予習をしていて立ち現れるのが、ペーター・シュナイダーさんの「指環」。あれ、本当に凄い演奏でした。今日もいい演奏だといいなあ、と思います。

予習にカラヤン盤の「ラインの黄金」を聴きすぎて、飽きてしまいました。とほほ。まあ、モナリザも毎日毎日眺めていたらただの人に見えてくるでしょうし、そう言うこともありましょう。

戻ってきましたら、またレポートしたいと思います。

 

Opera

今朝は雨音がしております。そう言えば、今年の関東南部はあまり雪が降らないなあ、などと。もっとも、関東南部は三月に入ってから雪が降ることが多いはず。逆に真冬に雪が降らないのは冬型が強いと言うことですので、それが普通なのだということでしょう。

調子の良かった自作PCですが、どうもハードディスクがおかしい。カラカラという音をたてたりするので、これはもう寿命が近いと判断。三年間稼働したハードディスクですので。昔もこんな音が出始めたハードディスクが突如としてクラッシュした経験があるので、早めに対処を。ということで、またインストール作業を始めたのですが、これがなかなかうまくいかない。一番腹が立ったのは、Windows XPのSP3を適用しようとしたところ、ブルースクリーンが表示されてPCが落ちたという事故。何度も何度もプロダクトキーを入力していて少々辟易気味です。

昨週土曜日から、カラヤンのラインの黄金を聞いています。1967年(昭和42年)にベルリン・イエス・キリスト教会における録音。ショルティのラインの黄金が古き名優達を集めたのに比べ、カラヤン盤はその次の世代の歌い手達がタペストリを織りなしています。一番の聞き所はやっぱりディースカウのヴォータンで、理知的で精巧で緻密な工芸品のような歌。カラヤンの音作りは聞き慣れたもので、違和感なし。

個人的にはショルティ盤よりもカラヤン盤の方が好みです。小さい頃からカラヤン&BPO&イエス・キリスト教会で育ってきましたので、自然に音楽に入っていける感じです。

リングを聞く理由はもちろん来月の新国の演目だからです。先週末に新国から送られてきた会報に、キース・ウォーナーの演出を紹介するパンフレットが入っておりましたが、少々不安な気分に。サヴァリッシュのDVDの読み替えはまだおとなしいほどでしたので、それ以上の読み替えについて行けるのか、という不安。実はリングの実演に触れるのは初めてですので。まあ、読み替えについて行くには、きちんと理解を進めておくというのが重要だと思います。せっかくの機会を無駄にしないようにします。

 

 

Opera,Richard Wagner

ショルティの「指環」全曲聴破しました。1週間ぐらいかけて通しましたので、なかなか達成感があります。とはいえ、ブックレットを見ながら集中して聞けるわけっでもなく、家で仕事をしながら、通勤時間に、などという感じです。

もちろんこれまで全曲聴いたことがなかったか、といわれると、まあ聴いたことはあるのですが、先だってのペーター・シュナイダー氏の「指環」を聴いて、音楽的な面については全体がおぼろげながら見られるようになってきたと思います。それから、カラヤン盤とショルティ盤を立て続けに聴いたことで、演奏の凄みや面白みのようなものもわかってきた気がいたします。 四曲聴いて、気に入った順番などをあえて並べてみると……。

神々の黄昏>ヴァルキューレ>ラインの黄金>ジークフリート

でしょうか。

神々の黄昏は、まずはなにより第一幕のジークフリートとブリュンヒルデの壮絶で歓喜に満ちた二重唱でぎゃふんといわされます。それからジークフリートラインの旅が思いのほか楽しくて大好き。グロッケンシュピールが出てくるあたりの楽しみ、ライン川の滔滔とした流れを見下ろす感じが大好き。 それから、ハーゲンの不安げで邪悪なライトモティーフになぜか心を打たれるのですね。グンターもグートルーネも大好き。それで、ジークフリートとハーゲンが角笛でやり取りするあたりは、もうジークフリートが気の毒。ジークフリートって、決して理知的な英雄ではないので、仕方がないのですが。それからブリュンヒルデの壮絶な歌唱が終わると、最後は心安らかな長調の和声で終わる。若干の不安を含みながらも。本当にすばらしい曲だと思います。和声的にもジークフリートまでとは違う突き抜けた感じがあるように感じます。

ワルキューレは、例の「ワルキューレの騎行」などより、ジークムントとジークリンデの禁じられた愛が切ない。実に「トリスタン」的。何度も書いていますが、カラヤン盤でジークリンデを歌うヤノヴィッツさんのすばらしさも、この曲が大好きな理由のひとつです。今回聞いた中では、実は終幕部のヴォータンとブリュンヒルデのやり取りのあたりがすばらしいことに気づきました。

「ラインの黄金」と「ジークフリート」は少々聞き込みが足らないですね。最近「ラインの黄金」の冒頭部のラインの乙女の三重唱に心洗われる思いをしました。「ジークフリート」は、最終部の「ジークフリート牧歌」の旋律が現れたとたん、なんだか天上から光が差し込むような気分を味わったりするのですが。

ともかく、指環はすごいです。早く実演に接してみたいです。そして、一生のうちにバイロイトに行ってみたい! これはもうそこはかとない夢ですね。だが実現に向けてがんばりましょう(ってどうやって?)

Opera,Richard Wagner

 バイロイト音楽祭のウェブページを読んでいたのですが、とても面白い! ペーター・シュナイダーさんの略歴が載っているのですが、これって東京フィルの日本語版略歴の原文ではないか? と思ったり。まあ、そんなことはどうでもよくて、シュナイダーさんのこれまでのバイロイトでの軌跡が分かりますね。なんでこんなに素晴らしいサイトをこれまで訪れなかったんでしょう。反省。

シュナイダーさんは1981年から連続17年連続登場していますので、おそらくは今年も出演してくださるとおもわれます。昨年、一昨年と「トリスタン」を振っているようですね。今年も楽しみ。ちなみにCDでないかな。ウェブラジオで再放送しないかな。

今年のバイロイトは7月25日から8月28日まで。楽しみです。

Opera,Richard Wagner

 いやあ、こんなにショルティのジークフリートが面白いとは知りませんでした。行った良いままで何を聞いていたのでしょうか。おそらくは、カラヤン盤、レヴァイン盤そしてショルティ盤の3バージョンを聞いたことで、いろいろと意味合いが分かってきたのだと思うのですが。いまちょうどジークフリートとブリュンヒルデが邂逅している場面なのですが、かなりテンポを落としてめちゃくちゃ情感的に演奏しています。あれ、ショルティってこんな芸風だったかしら、とまた思った次第。私のショルティ認識の誤りがはがれ落ちていくような気分です。そうかここまでテンポを落としてためてためてダイナミクスを引き出しているとは。

ただ、ブリュンヒルデのニルソンさんは、巧いのですけれど、ちょっと僕の好みとは違うようで、もう少し硬質な艶やかさが欲しいなあ、というところです。ニーナ・シュテンメさんに歌って欲しい気がいたします。ヴォータンのハンス。ホッターさんの声も時代を感じさせる声です。

最近の指環はどうなんでしょう? 今春の新国での上演はもちろん楽しみですが、最近覚えたウェブラジオで、今年こそバイロイトを聴こうと思います。

Opera,Richard Wagner

 今日はかなり早起きしました。何時に起きたのかは秘密です。明け方の静かな時間がとても好きでして、コーヒーを飲みながら、いろいろと頭の体操をするのは楽しいものです。基本的にインドア派なんでしょうね。海とか山とか行きたいけれど、それより家で本を読んだり音楽を聴いたりものを書いたりする方がリフレッシュ出来る気がします。

さて、今日も朝からずっとラインの黄金を聞いていました。最初はカラヤン盤を二回ほど聞いて、ショルティ盤を一回。これまであまりぱっとしない感じに思っていたショルティ盤が輝いて見え始めまたのには驚きました。カラヤン盤ばかり聞いていると、まだ若いショルティのアグレッシブな指揮ぶりに耳が行くようになったのです。驚いたのは、颯爽とかけていくと思っていたショルティが、あるところで強烈なタメを見せて、ダイナミズムを引き出しているところがあったということ。とてもスリリングな経験でした。相変わらず、ラインの乙女の場面がすてきでして、これをいい歌手が歌うのを生で聞いてみたい、と思ってみたり。

ともかく、3月のラインの黄金が楽しみ。無事に行けますように。

Opera,Richard Wagner

 立春を過ぎて、太陽の昇る時間は速まり、沈む時間は遅くなりました。いつも家を出るのが6時15分ぐらいなのですが、一ヶ月ほど前は本当に真っ暗でしたが、最近は白々明けるころになりました。ですが、寒さはまだまだ続きます。そう言えば、関東南部では今シーズンはまとまった雪がまだ降っていません。雪が降ると電車が止まるので憂鬱なのですが、そうはいっても一度ぐらいは雪のなかを歩いてみたいとも思います。もちろん、北国の方にとってみれば、何を言っているんだ! と言う感じだとは思いますが。

水曜日になりましょうか、本当に久方ぶりにパルジファルを聞きました。カラヤン盤です。この盤ではグルネマンツが私の大好きなクルト・モルさんなのですよね。揺らめく旋律の波に乗りながら、モルさんの艶やかで芯のある歌声を聞くことほど幸せなことはないですね。パルジファルはこれからも聞いていく予定。来年、ウルフ・シルマーさんがパルジファルをN響でふるという情報もありますし。コンサート形式だそうですが。

パルジファルは、二回ほど聞いて、今度はラインの黄金に取りかかりました。ラインの黄金は3月の新国立劇場の演目ですので予習と言うことでもあります。カラヤン盤を聞き終えて、ショルティ盤を聞いている感じ。最初は、ラインの黄金は取っつきにくいなあ、と思っていたのですが、このところは、冒頭のラインの乙女の部分がすばらしさが少しずつ分かってきたりして、とても面白いのです。ショルティ盤よりカラヤン盤の方が録音もよいですし、まとまった演奏です。ショルティ盤は歴史的名盤ではありますし、スター歌手を呼んでいるというところなのですが、ちょっと力が入りすぎているかな、と思うところがあります。音響効果が積極的に入っている点に引っかかる方がいらっしゃると聞いたこともありますし。

さて、明日からは休日ですが、久々に予定の入っていない休日です。とはいえ、近所の英会話には行くのですが。実は私のメインパソコンが壊れまして、大変な思いをしています。このブログはサブマシンのノートで書いているのですが。メインパソコンにはiTuneデータがたんまり入っていますし、新しいCDを取り込むのにも使っていましたので、音楽生活にリミットがかけられた感じです。そのほかにもいろいろ困っていて、ああ、本当にPCなしでは生きていけない世の中になったなあ、もとい、PCなしに生きられない体になったなあ、等と思ったり。

PCはショップブランドのものでしたし、拡張性がありますので、マザーボードを変えて、CPUを載せ替えて、みたいに自作っぽいことをやってみる予定。これも一生に一度はやってみたかったことなので、いい機会だと思っています。しかし、自分でパーツを集めると、かなり安い値段でハイスペックマシンが組み立てられます。ちょっとオーバースペックかもしれませんが、長く使おうという魂胆なので、と自分で勝手に理由付けしています。

Opera

 新国立劇場2008/2009年シーズンもそろそろ後半戦にさしかかっています。今後の予定ですが、以下のような感じ。

  • 3月:ラインの黄金
  • 4月:ヴァルキューレ
  • 5月:ムツェンスク郡のマクベス夫人
  • 6月:チェネレントラ
  • 6月:修善寺物語

次の三ヶ月が楽しみにしても結構ハードです。ヴァルキューレは五時間以上缶詰になりそうですし、ラインの黄金は二時間半休憩なし。マクベス夫人もお題目的におもしろおかしい話しではないです。でもそう言う作品の方が強い衝撃を受けて、かえって生きる力がわいてくるのですが。

「マクベス夫人」は、お恥ずかしながら聞いたことがありませんでしたので、今日から予習を開始。ヤンソンスがネーデルラントオペラで振ったDVDをiPodに入れて鑑賞中です。この作品は1930年から1932年にかけて作曲されています。交響曲第四番作曲の少し前ですね。一番DSCHが過激だった頃でしょうか。ちょうどその頃ベルクは「ルル」を作曲しています。シュトラウスは「アラベラ」を作曲中。刺激的で何でもありな時代だったのですね。時代が変転を遂げるまさにその瞬間に生まれたオペラでしょうか。

聞いているとマーラー的な皮肉に満ちた旋律や突如現れる麗々とした旋律にハッとするのですが、晦渋で陰惨な旋律が取って代わる感じ。これから聞き込んでいくのが楽しみです。

Opera

いって参りました「こうもり」@新国立劇場。楽しいひと時でした。大人のジョーク満載で、私的にはまったくOKで、とても楽しかったのですが、中には鼻白んでいる人もいたようです。ヨーロッパ的なジョークだったとは思いますが。

さて、今回は3人の女性歌手が大変すばらしかったです。まずはアデーレ役のオフェリア・サラさん。この方は2007年の「ばらの騎士」でゾフィーを歌っておられた方。超高音域をらくらくコントロールして歌ってのけるさまは、デセイか、と思うほど。あそこまで気持ちよく高音域を出してくれると、聴いているほうも爽快な気分です。しかもピッチにまったく狂いはない。脱帽でした。オランピアを聴いてみたい、と思いました。

それから、ロザリンデ役のノエミ・ナーデルマンさん。深みのある豊かな声で、ロザリンデの大人っぽさやあだっぽさを巧く出しておられました。すばらしかったです。この方は「ばらの騎士」の元帥夫人もレパートリーにお持ちだそうですが、ぜひこの方の元帥夫人を聞いて見たいです。

注目は、オルロフスキーを歌ったエリザベート・クールマンさん。かなりの美人なのですが、男役ということで口ひげをつけておられる。台詞のところはわざと低い声を使うのですが、歌いだすと、これが見事な声質。柔らかい声では決してないのです。ガランチャさんとはまったく別の声質。つまり、すごく硬質で輝く声なのです。これはすばらしいと思います。ぜひにもオクタヴィアンを歌ってほしい! 絶対格好良いですし、凛としたオクタヴィアンが聴けるはずです。公式ページによれば、カルメンを歌っておられたり「カプリッチョ」のクレロンをうたっておられたりしています。

アイゼンシュタイン役のクレンツレさんもすばらしかった。歌唱もばっちり、演技もばっちり、ユーモアもばっちり。こういう方がいらっしゃるのですね。

ジョエル氏の指揮は、ためるところはためて、走るところは走るというような当世風の演奏。結構心地よかったです。

演出も面白くて、第一幕は色彩の舞台。第二幕はアールヌーヴォー的絢爛な世界。第三幕の最後にはびっくりする仕掛けがあったのですが、それが鮮やかで仕方がなかったです。 

  • 指揮者==アレクサンダー・ジョエル
  • 管弦楽==東京交響楽団
  • アイゼンシュタイン==テノール==ヨハネス・マーティン・クレンツレ
  • ロザリンデ==ソプラノ==ノエミ・ナーデルマン
  • アデーレ==ソプラノ==オフェリア・サラ
  • オルロフスキー公爵==メゾ・ソプラノ==エリザベート・クールマン
  • アルフレード==テノール==大槻孝志
  • フランク==バス・バリトン==ルッペルト・ベルクマン
  • ファルケ博士==バリトン==マルクス・ブリュック
  • フロッシュ==俳優==フランツ・スラーダ
  • イーダ==ソプラノ==平井香織

これで、怒濤の一ヶ月は終わりました。1月3日から2月1日までサックスを吹いたり、オペラにいったり、コンサートに行ったりの割とハードなスケジュールでしたので。2月はちょっとお休み。次は3月の新国「ラインの黄金」です

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今週はなかなか忙しい日々でしたが、ずっと「指環」を聴いていました。そのわけをカミングアウトすると、またシュナイダーさんのコンサートに行ってしまいました@サントリーホールというわけです。いや、あの日曜日(25日)の演奏を聴いたら、また行きたくなりますよ……。あれやられちゃあなあ。写真はアークヒルズのライトアップです。

いつも愛読しているyokochanさんの「さまよえる歌人日記」でもこの演奏会のことを取り上げられていらっしゃいます。素晴らしいレポです。

幸いというか何というか、家族の用事で午後に都内に出たのですが、その用事を済ませて慌てて溜池山王から地下トンネルを走ってサントリーホールへ。間に合いました。サントリーホールは、昨年、ティーレマン&ミュンヘンフィルでブルックナーを聴いて以来。ホールの中に入ると、あれ、こんなに小さかったっけ、みたいな。新国ばかり行っているからでしょうか……。

最初はベートーヴェンの交響曲第四番。これがまた良いのですよ。日曜日の「ジュピター」のような繊細で端正で良心ある演奏とでもいいましょうか。東フィルを室内楽的な繊細さで鳴らしています。これがまめやかな演奏というのですね。しかも、ベートーヴェンがこんなに面白くて、複雑怪奇で、緊張と弛緩の波を乗り越えていくとは思いませんでした。そうした構造をより際だたせる指揮だったのだと思います。

先だって、ラトルが振る二番を聴いたときもかなり眼から鱗が落ちましたが、シュナイダーさんの指揮でもまたベートーヴェンをよりいっそう理解できた気がします。

それにしても、四番の演奏は特に音が良いと感じました。四楽章で弦楽器がフレーズをバトンしていくところがあるのですが、あのあたりの音が移動していくニュアンスは安いオーディオセットではなかなか再現できないのではないでしょうか。サントリーホールの残響音も柔らかく少し長めのリヴァーヴで、心地よかったです。    

15分の休憩のあと、いよいよリングです。これはオランダの作曲家であるヘンク・デ・ヴリーガーが1991年に編曲したもので、主要部分をオケ版に編曲したもの。つなぎに多少違和感がありましたけれど、おいしいところは詰め込んだ大のごちそうです。

個人的には、「ジークフリート牧歌」のフレーズをブリュンヒルデが歌う部分が盛り込まれなかったので残念だったのですが、十二分に楽しめました。

ホルンがジークフリートの角笛を吹くところも良かったですし、神々の黄昏のブリュンヒルデの愛のテーマのあたり、ヴァイオリンの高揚感がすさまじくて、涙が出そうになりました。凄いなあ、本当に。シュナイダーさんの指揮は、決して熱血的ではないのですが、指環の構造を熟知した上で抑制した棒振りのなかで十二分にオケの音を引き出している感じでした。

でもやっぱり最終部分の悲しみと寂しさを併せ持ったところに到達すると本当に寂しくなってしまいます。60分で指環を駆け足で回ってきて、ああ、これで終わったのか、という安堵感とともに寂寥感。あの何とも言えない気分は、指環を回った最後だからこそなのだと思います。

演奏が終わるとブラボーの嵐。私も叫ぼうかと思いましたが、ちょっと気恥ずかしかった。でも叫べば良かったなあ。日頃練習しないと。シュナイダーさんは何度も何度も拍手に呼び戻されていました。楽団員もシュナイダーさんに賛辞を浴びせていました。楽団員も演奏後は充実した顔をしていたように思えました。

ちょっと、しばらくは指環を聴けそうにありません。シュナイダーさんの演奏を出来るだけ長く記憶にとどめておきたいので。それで、頭の中は神々の黄昏の最終部分がぐるぐる回っている感じです。

またまたで大変恐縮ですが、明日は新国で「こうもり」を鑑賞予定。なんだかこの一ヶ月はコンサートばかりだった気がするなあ。良い一ヶ月でした。

やっぱり生のコンサートは凄いです。CDを聴いているだけでは分からないことがたくさんあります。けれども、時間と経済の制約がなければ良いのですが、それを望むのは無理というもの。ともかく日頃はせっせとCDで音楽を聴いて、時にコンサートに行くという感じになりそうです。