Opera,Richard Strauss

いつも充実した記事を楽しませてくださるさまよえる歌人日記さん取り上げられたドホナーニのばらの騎士が届きまして、早速iPodにいれてみました。 教えてくださったさまよえる歌人日記さんにこの場をかりてお礼申し上げます。ありがとうございます。

グンドゥラ・ヤノヴィッツさんが元帥夫人、イヴォンヌ・ミントンさんがオクタヴィアン、クルト・モルさんがオックス男爵、ルチア・ポップさんがゾフィーと来れば、垂涎もの。加えて、カメオ出演のイタリア人歌手はパヴァロッティ様ですので、言うことはないです。

録音は1978年です。ライブ録音ですし、時代も時代ですので、録音状態は万全とはいえません。おそらくはFM放送のエアチェックをCDにしているはずで、ジジというFM特有の懐かしいノイズが乗っているのが分かります。音も少々揺れます。まあ、昔はこれぐらいの音質のエアチェック・テープをむさぼるように聴いていましたので、それを思えば何とやら、です。

まだざっとしか聴けていませんが、印象を。

1978年といえば、ヤノヴィッツさんは40歳ごろですので円熟期に差し掛かったころでしょうか。これまで聴いてきたヤノヴィッツさんよりもビブラートが強い、とも思います。私の大好きなベームとの「カプリッツィオ」の録音が1971年ですのでそれよりは少々お歳を召してからの録音となりましょうか。第一幕の元帥夫人のモノローグの部分を帰宅時の電車で何度もききましたが、ヤノヴィッツさんの新しい一面をみた感じ。意外と力強い元帥夫人です。「カプリッツィオ」の若々しい伯爵夫人(令嬢)でも、「ヴァルキューレ」でのはかないジークリンデとも違いますが、透き通るような高い声を聴くとうれしくなります。

クルト・モルさんはつややかな声質が感じられてこちらもうれしくて仕方がありません。ポップさんはゾフィーの持つはかなさというよりは、技巧的美しさとある種の力強さが出ています。心をしっかり持ったゾフィー像とでもいいましょうか。ミントンさんのオクタヴィアンは倍音を多く含んだ豊かな声質で、安定感があります。ドホナーニさんの指揮はあまり奇をてらうことのないさわやかな演奏ですが、聴かせどころでは、音量やテンポを少し大きめにコントロールして、心情表現をうまくやっておられます。

録音が今一つなところもありますし、ライヴならではの疵も少々ありますので、初めて聞くという方にはお勧めできないと思いますが、ばらの騎士ファンにはお勧めの一枚です。私も十二分に楽しんでいます。

Classical,Opera

Gundula Janowitz

<略歴> 1937年8月2日ベルリン生まれ(国籍はどうやらオーストリアの模様)のリリック・ソプラノ。グラーツのコンセルバトールで学んでいたときにはすでに高いレベルでの歌唱をものにしていて、1959年にはウィーン国立歌劇場にてカラヤンの振るフィガロの結婚でバルバリーナ役を歌っている。1960年代から1970年代にかけてバッハからリヒャルト・シュトラウスにいたるまでのレパートリーを持つ世界的な歌手となる。カラヤンはもちろん、クレンペラー、ヨッフム、バーンスタイン、クーベリック、ベーム、ショルティ、カルロス・クライバーと競演。1990年にウィーン国立歌劇場におけるグルックの「アウリスのイフィゲニア」への出演を最後に引退する。

 <私的な思い出>

ヤノヴィッツさんの歌をはじめて聴いたのは、リヒャルト・シュトラウスの「カプリッツィオ」のCDにて。ベームが振っているこの盤の魅力は、ヤノヴィッツさんの伯爵夫人の最後月光の音楽以降です。この歌唱でヤノヴィッツさんを一気に気に入ってしまいました(とあるサイトではあまりよい評価はされていないようですが)。

Capriccio
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次に衝撃を受けたのは、カラヤン盤の「ヴァルキューレ」でして、ジークリンデがすばらしくて、ジークリンデを神々しく歌っておられて、特に第一幕第三場のSchlafst du Gast? の歌唱はすばらしい。繊細なガラス細工のようないとおしさです。

ワーグナー:ニーベルングの指環 全曲
トーマス(ジェス) ブリリオート(ヘルゲ) フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ) ヴィッカース(ジョン) シュトルツェ(ゲルハルト) スチュアート(トマス) カーンズ(ロバート)
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ヤノヴィッツさんの声がどうしてこんなに好きなんだろう、と考えていたのですが、Wikipediaに「ビブラートが小さく、ピュアで明るい歌声」と書いてあって、これだ! と思いました。私は、女声のビブラートがときに苦手と感じることがあって、振幅の激しくて強いビブラートしか聞こえないような声を聴くと気分が悪くなります。ビブラートをかけるとピッチの甘さがややもすると隠し通せるのです。ですが、ヤノヴィッツさんはビブラートはかけていますがかなり控えめでして、ヤノヴィッツさんの声が好きな理由の一つがこれなんだな、と思いました。

<参考文献>

Wikipedia

 

Opera

カラヤン盤、ドンジョバンニ、ライナーノートの対訳を読みながら全曲聴き終わりました。通勤時間にライナーを見ながらiPodで聴いていたのですが、4営業日ぐらいかかってようやく、というところ。楽しかったです。

(ネタバレありですので、ご注意下さい)

それにしても、このオペラって、ジョバンニ、レポレロ、エルヴィラが大変ですね。むしろ、レポレロ、エルヴィラの二人の出来不出来がこのオペラの成否を握っているのではないでしょうか? もちろん欲を言えば、アンナ、ツェルリーナ、オッターヴィオも巧い方に歌って欲しいですが。

今回聴いた中で、気に入ったアリアはエルヴィラのアリア、第一幕第三場「ああ! だれが私に告げてくれるでしょう」と、第二幕第21場の「あの人でなしは私をあざむき」でしょうか。アグネス・バルツァさんが細やかなレース織のような美しさを披露して下さいます。

エルヴィラは本当に不思議な女性です。ドン・ジョヴァンニに棄てられて怒っていると思いきや、まだあきらめきれずにいて、ドン・ジョヴァンニを改心させようとまでする。真面目一徹な女性。それでいて美しいとなると、得難い女性だと思うのですが、ドン・ジョヴァンニは質ではなく数な男なのですね。エルヴィラはドン・ジョヴァンニへの憎しみと愛情の板挟みで苦しみ続けます。ドン・ジョヴァンニが地獄落ちとなってからのエルヴィラの心情の動きはリブレットからは読み取れませんが、これから後も、相反する感情にしばらくは苦しむことになるのではないか、と思います。

しかし、騎士長が冒頭に殺されてしまい、どうなるかと思ったのですが、あんな形で復活するとは驚きました。最終幕部のドン・ジョヴァンニの振る舞いは尊敬に値しますね。あそこまで勇気を持ち潔いとあれば、騎士の名も廃ることはありません。

そもそもこのオペラを聴こうと思ったのは、新国立劇場で12月に公演があるからです。新国立劇場のアンサンブルは、ツェルリーナ、マゼット、騎士長は日本人で、そのほかは外国勢。別に日本の方の歌を否定するわけではありませんが、欧州のほうが裾野広く歴史も深いわけですので、当たる確率は高くなりますので。

Opera

昨日の記事に追記の形で。

このホフマン物語はコベントガーデンで収録されたものです。ホフマン物語では、ジュディッタ、オランピア、アントニアのソプラノ4人にくわえて、狂言回しとまでは生きませんが、舞台を鳥瞰する役割を担うズボン役のミューズ=ニクラウスのメゾソプラノが登場します。もちろん悪役のリンドルフもしっかりしたバスバリトンでなければだめ。主人公のホフマンだって、並大抵のテノールではなかなか勤め上げることはできないでしょう。

実は、「ホフマン物語」は二度見たことがあります。空恐ろしいことに1回目はウィーン国立歌劇場にて。2回目は東京の新国立劇場にて。ウィーンの「ホフマン」は演出、歌手どなたもすばらしくて、圧倒され続けました。ホフマンはサバティーニでした。あそこまでオペラの舞台は力を持っているのか、と本当に驚いたのでした。

桟敷が同じだった年配の女性(日本人の方です)と話す機会がありまして、その方は「ウィーンでみたあとだと、東京の「ホフマン」はがっかりされるかも知れませんよ」などとおっしゃっていたのですが、新国立劇場のほうも、ウィーンとまではいきませんでしたが、健闘が見られたと思いましたね。出色のできはエレナ・ガランチャさんのミューズ=ニクラウスでした。

そこで、このDVDの紹介なのですが、ここではジュリエッタをアグネス・バルツァさんが歌っておられます。ドン・エルヴィアの時と同じように、やはりソプラノパートを、メゾソプラノも歌えるバルツァさんが起用されているわけです。ここでもやはり、「ドン・ジョヴァンニ」で感じた透き通る美しさを堪能することができます。どうやら僕はバルツァさんの高音域の力のある透明な声に魅せられているようです。だから「ばらの騎士」のオクタヴィアンの歌唱では焦点が良くあわすことができなかったのだ、というところだと思います。残念なのは、ジュリエッタの幕は他の幕に比べて少し短いところ。バルツァさんの歌がもっと聴きたかったのですが。もちろんホフマンを歌うプラシド・ドミンゴの若々しく張りのある歌声にも参った、という感じです。

Classical,Opera

「この方を聴きたい」というシリーズを始めることにしました。私の勉強したことを書きますので、お読みの方々にとっては自明のことかも知れませんが、どうかおつきあいを。

第一回は、最近の私的ブームであるアグネス・バルツァさんを取り上げたいと思います。

アグネス・バルツァAgnes Baltsa Aγνή Mπάλτσα)

<略歴>

1944年11月19日ギリシア生まれ。アテネ音楽院で学んだあと、ミュンヘン、フランクフルトで学ぶ。1964年、ジョルジュ・エネスコ声楽コンクールで第一位となる。1968年フランクフルトの歌劇場で「フィガロの結婚」のケルビーノ役でデビュー。翌年※1ウィーン国立歌劇場「ばらの騎士」でオクタヴィアンを歌う。1970年にはザルツブルク音楽祭に出演。世界的に有名になったのは1975年のザルツブルクイースター音楽祭でカラヤンがクリスタ・ルートヴィヒの代役として起用してから。「カルメン」のタイトルロールが当たり役。バルセロナオリンピックの開会式にも出演。レパートリーは、「カルメン」タイトルロール、「コジ・ファン・トゥッテ」ドラベッラ、「ナクソス島のアリアドネ」作曲家、「トロイ人」のディド、「ドンカルロ」エボリ公女、「アイーダ」アムネリス、「サムソンとデリラ」デリラなど幅広い。

※1:「ばらの騎士」「ドン・ジョヴァンニ」のライナーでは、「1968年の翌年」とあり、1969年と推測されるのだが、ウィキペディアでは1970年にウィーン国立歌劇場デビューとされている。

<私的思出>

アグネス・バルツァさんをはじめて聞いたのは、「ばらの騎士」をカラヤンが二回目に振った盤で、やはりオクタヴィアンを勤めていらっしゃる音源がはじめて。バーンスタインが振るマーラー交響曲第八番のDVDもアグネス・バルツァさんが登場しているのを見たりもしていました。ところが、不思議なことにあまり気になる存在の歌い手さんではいらっしゃらなかったのです。

それが覆ったのは、最近集中的に聞いている「ドン・ジョヴァンニ」カラヤン盤のドンナ・エルヴィラ役を聞いてから。この透徹とした、まるで雪の結晶のような美しさは! 高音域の声が録音場所のベルリン・フィルハーモニのリヴァーヴによく乗っていて、きいているだけでうれしくなります。

バルツァさんはこのCDでは子音を弱めに発音されているように思えます。イタリア語の子音の持つアタックが少し弱い感じなのですが、それが却って歌の旋律の流れを浮き立たせていて心地よいのです。

そうして改めて、「ばらの騎士」カラヤン盤のオクタヴィアン役を聞いてみると、自分がアグネス・バルツァさんの歌に焦点をまったく合わせていないことに気づいたのでした。「ドン・ジョヴァンニ」のエルヴィラ役のようなほとばしる輝きは見られないのですが、深みのある声で充実した歌声を聞かせてくれます。

調べてみると「カルメン」が当たり役だということを知りました(いまさらで申し訳ないですが)。是非にも聴いてみたいですね。課題です。

<私的な参考音源>

  • R・シュトラウス「ばらの騎士」(CD)
    R.シュトラウス:ばらの騎士
    トモワ=シントウ(アンナ) ウィーン国立歌劇場合唱団 ペリー(ジャネット) リップ(ビルマ) ポッシュナー(ブリギッテ) シマ(ガブリエレ) バルツァ(アグネス) ビンザワー(バルトラウト) ミュラー=モリナーリ(ヘルガ) ヒンターマイヤー(マルガレータ)
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  • モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(CD)
    モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
    カラヤン(ヘルベルト・フォン) レイミー(サミュエル) ブルチュラーツェ(パータ) トモワ=シントウ(アンナ) ウィンベルイ(エスタ) バルツァ(アグネス) フルラネット(フェルッチョ) マルタ(アレクサンダー) バトル(キャスリーン)
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<参考文献>

  • 黒田恭一「歌い手について」『ドン・ジョヴァンニ(F95G 20068/70)』 CDライナー
  • 「演奏者紹介」『ばらの騎士(POCG-3598/700)』CDライナー
  • 「アグネス・バルツァ」『ウィキペディア日本語版』2008/08/20 4:35JST

 

Opera

また、書いた記事を消してしまった。なんだかついてないな。しかも、「クラヲタへの100の質問」の下書きを整形中に……。こちらは明日以降にとっておきます。

今日もドン・ジョヴァンニのお勉強。第一幕まで完了。それにしても、エルヴィラ役のアグネス・バルツァさんがすばらしい。芯のある鋭利ながらも豊かな声です。ツェルリーナを歌うキャスリーン・バトルさん、良いですね。優しげに高い音で転がるような声で、速いパッセージも巧く歌いこなしている(ちょっと厳しいところもありますが)。バトルさんは最近はどうしていらっしゃるのでしょうか。昔、CMに出演されて有名になったことがありますが。ウィキペディアにはこういう記載がありますが、どこまで本当なのか……。

ドン・ジョヴァンニのサミュエル・ラミーさんは少し上品めなドン・ジョヴァンニ。まあ、ドン・ジョヴァンニのペルソナはそういうものなのでしょうけれど。外面上は上品だけれども、後ろにあるのは欲望。いや、これはもう欲望とは言えない。いみじくも歌っているようにまるで空気を求めるように女性を求めている。欲望よりもさらに純化された生きる糧と言っても良いぐらいなのでしょう。ここまで開き直ってくれると、逆に潔ささえ感じますね。こういうドン・ジョヴァンニ的な生き方は私には無理ですが、否定はいたしません。そこまで人間は自律的ではないですよ、おそらくは。だからこそこういうオペラに昇華される機会が生まれるというものです。

今日は久々に会社を早く出て図書館に。ぎりぎり間に合って、ドン・ジョヴァンニの古い録音を借りてきました。いろいろ録音比較して聞くともっと楽しくなりますよね。

今日は、半年後に稼働するシステム設計について打ち合わせ。私の放談状態でして、二時間半イニシアティブをとり続け、考えては喋って、考えては喋って。こういうのは喋っている当人は楽しいものなのですが、若手の女の子にとっては苦痛な二時間半だったようでして、少々悪いことをしてしまいました。ちょっと気をつけないとまずいですね。反省しております。まあ、お喋りを現実に置き換えていくのがシステム開発ですので、ここからが大変なのですが。

Opera

今日もドン・ジョヴァンニ。

昨日の帰りの電車で、ライナーを見ながらじっくり聞いていたのですが、まるで霧が晴れたようにドン・ジョヴァンニの暖かくもあり涼やかでもある豊潤な世界がぱっと開いてきました。すばらしすぎる! どうして私はこのよさが分からなかったのでしょうか? 聴き方に問題があったということなのでしょうけれど。こういう経験は何度してもうれしいものです。

第1幕第3場でのアンナ役のアンナ・トモワ=シントウさんの声のすばらしさ。トモワ=シントウさんの歌唱には、カラヤン指揮のリヒャルト・のシュトラウス「四つの最後の歌」で聞きなれていたのですが、そのCDのトモワ=シントウさんにはあまり良い印象をもっていなかったのですが、ところが、このドン・ジョヴァンニでの歌ではどうでしょうか! すばらしく力のある豊かにあふれ出る声を披露されているではないですか!

一緒に歌うオッターヴィオ役のエスタ・ヴィンベルイさんも高く透き通ったテノールで、このタイプのテノールを聴いた記憶がなく、とても新鮮ですばらしく思えます。

第5場にエルヴィラ役で登場するアグネス・バルツァさんの歌声もいいのですよ。透徹と凛とした歌声です。バルツァさんの歌は、カラヤン指揮の「ばらの騎士」でオクタヴィアンと歌っているのを聞いたことがあるのですが、なんだか印象がまったく違います。こんなに力のある透明感のある声だったとは。アリアに続くレチタティーヴォの声もすばらしい。ベルリン・フィルハーモニーの上質なリヴァーヴ感に上手く声が乗って心地よいのですよ。

しかし、この第1幕第5場のアリア「ああ! だれが私につげてくれるでしょう」は本当にいいアリアですね。四度進行(あってますか?)で進むところがたまらない。ここだけ繰り返し聞いていたいぐらいです。

モーツァルトのオペラには今までかなり苦手感を持っていたのですが、なんだか壁を乗り越えることができたかもしれません。レチタティーヴォを聞いていても楽しめるようになってきましたし。モーツァルト・オペラは、愉しまないと損ですね! またひとつ勉強になりました。

Opera

先だっての「旧約聖書物語」に 引き続き、「新約聖書物語」を読んでいます。理由はもちろん勉強のためでして、絵画やオペラを愉しむのに必要ではないか、というところから。西洋人は小さ いころから慣れ親しんでいるのでしょうが、私にしてみれば、努力しなければ知ることができません。 今日読んでいるところでは、洗礼者ヨハネがヘロデ王に捕縛される場面が現れました。これは、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」の題材になった話。

そ ういうわけで、本当は「ドン・ジョヴァンニ」を聞かなければならないところ、ちょっと息抜きに、ニーナ・シュテンメさんの歌う「サロメ」の最終部を聞きま した。何度か取り上げたことがありますね。うーむ、すばらしく力強いサロメ。パッパーノの指揮もすごくて、渦巻き混ざり合う音の感じがすばらしいです。こ れで全曲版があればいいのですけれど。

それから、再び「ドン・ジョヴァンニ」に戻りま した。カラヤンの指揮は本当にすっきりと理想的美しさ。弦の美しさは、厚みがあって豊かでありながら、透き通っている感じ。いいですね。1985年、ベル リン・フィルハーモニーでの録音。ベルリン・フィルハーモニーのリヴァーヴ感は程よく控えめで、教会での録音よりも粒がはっきりしています。

私 は、モーツァルトの旋律でも短調の旋律が好きでして、伸びやかで光の感じられる長調のフレーズの中に、急に千切れ雲に太陽が隠れてしまうように短調のフ レーズが入ってくるところがたまらないのです。それから、調性が一瞬ゆれるところも。第16曲、ドン・ジョヴァンニの誘惑の歌、弦のピチカートとマンドリ ンの伴奏なのですが、調性が時折ふっと色を変えるのがすばらしい(絶対音感があれば、具体的に調性を書けるのですが。あるいは譜面を読めればもっと書ける かもしれませんが)。それにしても、トモワ=シントウさんも、バルツァさんのすばらしい歌唱です。こちらについてはまた明日。

帰りの電車では、ようやく、「ドン・ジョヴァンニ」を楽しめるようになって来たかもしれません。やはり、アクティブに関わっていき続けないと音楽はこちらへと振り向いてくれないものですね。

Climbing,Opera

週末は富士登山でした。 結論から言いますと、頂上には到達できませんでした。というのも、激しい雷雨と雹(ひょう)に見舞われて、本七合目(3200メートル付近)で足止めされたからです。ニュースでは、落雷で亡くなった方もいらしたとのことでしたので、無事に下山できて良かったのです。

さらには、富士山の初冠雪記録になるかもしれないということ。雹で頂上付近は薄らと白く化粧が乗っていましたので、冠雪とみなされるそうです。ただ、その年の頂上の最高気温の後の冠雪が初冠雪となるそうで、今後頂上の最高気温が更新されなければ、これが初冠雪になるそうです。

 下の写真は、あっという間に振ってきた雹(ひょう)の写真です。白いつぶつぶが氷の塊なのです。

一緒に登ったベテランの山登り二人はとても怖がっていたのですが、私は登山という登山は初めてなので(富士山も登山といえるのか、というのは微妙なようですが)、怖さも知らずに振り落ちてくる雹が痛いなあ、などと思うぐらいでした。しかし、雷がすぐそばに落ちたときだけは恐ろしかったですね。光ると同時に強大な破裂音。きっとモーゼがシナイ山上で遭遇した神とは、稲妻ではなかったかと思うぐらいで、自然の強さに驚いた次第。 この雷鳴の中、歩いている方もいらしたので、そんなものか、と思っていましたが、良識ある方々は山小屋に避難されていましたね。

ちなみに、僕たちが登った須走口本七合目の山小屋は、雹と雷鳴のなかでも山小屋に誰一人として入れてくれない。雹が収まって、雷鳴が少しずつ遠ざかっていくのを見計らって、ひとつ下の七合目の山小屋まで降りたのですが、その山小屋はとても良心的で、小屋の中にブルーシートをひい て、避難する登山者達をどんどん中に入れてました。人命に関わることですからね。山小屋といえどもスタンスが違うというところです。 色々と勉強になった富士登山でした。

さて、音楽はといえば、「ドン・ジョヴァンニ」を引き続き勉強中。レチタティーヴォになかなか慣れないものですね。レチタティーヴォ抜きで聞いてみようかなあ、などと思ったり。イタリア語が分からないとだめなのかあ、と少々気落ち。がんばらねば。 今日は、キャスト表を載せますね。

  • 作曲==ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
  • 指揮者==ヘルベルト・フォン・カラヤン
  • 管弦楽==ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 合唱==ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
  • ドン・ジョヴァンニ==バリトン==サミュエル・ラミー(→レイミー)
  • 騎士長==バス==パータ・ブルシュラーゼ
  • ドンナ・アンナ==ソプラノ==アンナ・トモワ=シントウ
  • ドン・オッターヴィオ==テノール==エスタ(イェスタ)・ヴィンベルイ(→ウィンベルイ)
  • ドンナ・エルヴィラ==ソプラノ==アグネス・バルツァ
  • レポレロ==バス==ボナヴェントゥーラ・フルラネット
  • マゼット==バス==アレクサンダー・マルタ
  • ツェルリーナ==ソプラノ==キャスリーン・バトル

 

 これはちょっと本腰を入れて聞かないとだめですね。なかなか入っていけません。これはヴェルディのオペラより強敵かも知れません。真剣に頑張らねば。

Opera

相変わらずヴォツェックが気になって仕方がありません。今日も聞いています。第二幕第四場のスケルツォがマーラーにそっくり。クラリネットの使い方、レントラー風の物憂げでシニカルな音楽。夢に出てきます。それから、場ごとに情景が切れていくあたりとか、酒場の舞踏の音楽が少々ジャズっぽかったりするのが先日見に行ったツィンマーマン「軍人たちSoldaten」にも似ているのですよ。何が何だか分らなくなっています。

音楽之友社の「名作オペラブックス」にこの「ヴォツェック」も入っていまして、初めて聞いた10年ほど前に購入してありました。改めていろいろ読むとおもしろいですね。ちょっと真面目に取り組みたくなります。

私が聞いている。ヴォツェックのCDのキャストを挙げておきます。アバド盤はこのメンツです。

  • 作曲==アルバン・ベルク
  • 指揮者==クラウディオ・アバド[←アッバード]
  • 管弦楽==ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 合唱==ウィーン国立歌劇場合唱団
  • 合唱==ウィーン少年合唱団
  • ヴォツェック==バリトン==フランツ・グルントヘーバー
  • アンドレース==テノール==フィリップ・ラングリッジ
  • ハウプトマン==テノール==ハインツ・ツェドニク
  • マリー==ソプラノ==ヒルデガルト・ベーレンス
  • 鼓手長==テノール==ヴァルター・ラファイナー
  • 医者==バス==オーゲ・ハウグランド
  • マルグレート==アルト==アンナ・ゴンダ

ハインツ・ツェドニクさんは、少し前に新国立劇場にみえてましたね。CDではとても若い声です。ベーレンスさんのマリー、力強いけれど鬱蒼としたマリーの内面を巧く出しているように見えます。男達と渡り合うのに十二分なマリー。

今日は暑い一日。近所のカフェに出かけて、先日の旅行のまとめ。忘れないようにとにかく書き付けましたが、そちらも終わり。結構長くなってしまいました。

これからこのブログにも写真を出していきたいところなのですが、思ったより巧く撮れていなくてがっかり。教会のなかで撮った写真はほとんどだめです。すこし古いデジカメを持って行ったので、薄暗い教会での撮影は厳しい。今時のデジカメですとかなり感度が上がっていて、ISO3200なんてものもある。まあノイズは乗るとは思いますが、それでもぶれた写真やピントの合わない写真よりはマシです。また旅行に行くことがあったらデジカメを新調しようかな、と思いました。

しかし、明日から仕事ですね。今週は毎日更新したいです。